会社が残業代請求された時の対応ガイド【使用者側 弁護士解説・大阪】

会社が残業代請求された時の対応ガイド【使用者側 弁護士解説・大阪】

和氣 良浩

監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会

大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上(2026年6月時点)に透明性の高いリーガルサポートを実践している。

🏢 この記事は経営者・人事担当者(使用者側)向けです

残業代請求を受けた会社が取るべき対応を、会社側弁護士の立場から解説します。労働者側の請求方法・計算方法は対象外です。

「元社員の弁護士から内容証明が届いた。800万円の残業代を請求する、と書いてある」——大阪の中小企業の経営者から、このような相談が毎月届きます。タイムカード終了後のSlackメッセージまで証拠として提出される時代、会社側の対応は初動が勝負です。この記事では、残業代請求を受けた会社がすべき対応を5つのステップと、見落としがちな「付加金リスク」まで解説します。

残業代請求が届いた — 今すぐ使用者側弁護士に相談してください

弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上(2026年6月時点)を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。残業代請求・労働審判への対応を会社側弁護士が担当します。

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残業代請求の現状:大阪の中小企業で増えているパターン

弁護士法人ブライトに寄せられる残業代請求の相談には、共通のパターンがあります。

典型例1:退職管理職からの800万円請求

退職した管理職が「自分は管理監督者ではなかった」として残業代を請求するケースです。タイムカード打刻後のSlackメッセージ・社用PCのログイン記録まで証拠として提出されます。

労働基準法41条2号が定める「管理監督者」は、①経営者と一体的立場、②勤務時間の自由裁量、③相応の待遇 の3要件を満たす必要があります。名ばかり管理職がこの要件を満たさないと判断されれば、残業代の支払い義務が生じます。

典型例2:運送会社で1,000万円請求→争点整理で大幅圧縮

運送会社で複数ドライバーから総額約1,000万円の請求があったケースでは、争点の整理によって請求額を大幅に圧縮できました。主な争点は3つです。

  • 就業時間の認定(日報記載と実際の開始時間の差異)
  • 歩合手当が基礎賃金に含まれるかどうか
  • 実際の休憩時間(会社算定1時間 vs 実態2時間超)

これらを適切に主張・立証することで、認容額を600〜700万円程度まで縮小できた事例です。

典型例3:変形労働時間制廃止の誤算で700万円追加支払い

変形労働時間制を廃止した後の残業代計算を誤り、専門家2人の見解が分かれたために追加700万円が生じたケースもあります。制度変更時は弁護士・社労士の確認が不可欠です。

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弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上(2026年6月時点)を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。請求額の見直し・労働時間の事実確認・労働審判対応を会社側でサポートします。

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会社が取るべき5つのステップ

STEP1|請求書を受け取ったら内容を正確に把握する

内容証明や請求書が届いたら、まず以下を確認します。

  • 請求対象期間(いつからいつまでか)
  • 算定根拠(時給・残業時間の計算方法)
  • 未払いとされる残業代の種類(法定外残業・深夜・休日)
  • 消滅時効の適用関係(2020年4月以降は労基法115条により3年)

STEP2|証拠を保全する(証拠隠滅は厳禁)

タイムカード・勤怠システム・PCのログイン記録・交通系ICカードの入退館記録を、請求対象期間にさかのぼって保全します。廃棄や改ざんは後に証拠隠滅として不利に働き、付加金(労基法114条)が認定されるリスクもあります。

STEP3|固定残業代・みなし労働の有効性を確認する

「固定残業代を設定しているから追加支払い不要」という認識が誤りであることは多くあります。固定残業代が法的に有効と認められるには、時間外労働等への対価として支払われるものであること(対価性)と、通常の賃金部分と判別できること(判別可能性)が必要です(最高裁判所第一小法廷 平成30年7月19日判決(平成29年(受)第842号/判例秘書 L07310033)参照)。実務上は、以下の設計を満たしておくことが安全です。

  • 固定残業代の金額と対応する時間数が雇用契約書に明示されていること
  • 固定時間を超えた分は別途支払うことが明示されていること
  • 基本給と固定残業代が判別できること

時間数が記載されていない固定残業代は無効と判断されるリスクがあります。

STEP4|弁護士と対応方針を決める

請求額・証拠・会社の実態を整理した上で、弁護士と以下の方針を検討します。

選択肢 特徴・メリット 注意点
和解交渉 早期解決・費用抑制 請求額より低い水準での解決が条件
労働審判 3回以内の期日で解決 審判不服→訴訟に移行
訴訟 主張を全面的に展開できる 時間・費用がかかる

対応方針を弁護士と決める — 労働審判・訴訟対応も対応可

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STEP5|労基署対応と全社的な労務整備

残業代請求と合わせて、元社員が労働基準監督署(労基署)に申告するケースも増えています。労基署が調査に入れば、会社全体の労働時間管理が問われます。個人1名の問題が全社問題に波及するため、請求への対応と並行して労務管理全体の見直しを進めることが重要です。

付加金リスク:請求額の2倍になる可能性

残業代請求で会社が見落としがちなリスクが「付加金」(労基法114条)です。裁判所は、会社側の違反が悪質であると判断した場合、未払い残業代と同額を上限に付加金の支払いを命じることができます。つまり、残業代の支払い義務が100万円なら、最大200万円(残業代+付加金)の支払いになる可能性があります。

付加金は、早期に誠実な対応を行うことで認定を避けられることがあります。証拠保全を含む初動対応が重要な理由の一つです。

付加金リスクを回避する — 早期の弁護士相談が重要

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弁護士に相談すべきケース

  • 内容証明・請求書が届いた(即相談)
  • 労働審判の申立書が届いた(期日指定があり期限が短い)
  • 固定残業代の有効性に不安がある
  • 管理職に残業代を払っていない
  • 労基署から調査・是正勧告を受けた
  • 複数社員から一斉請求を受けた

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よくある質問(FAQ)

Q. 残業代請求の消滅時効は何年ですか?

A. 2020年4月1日以降の賃金については3年(労基法115条)、それ以前の賃金については2年です。請求書に記載された対象期間を確認し、時効の適用関係を弁護士に確認することをお勧めします。

Q. 固定残業代があれば追加支払いは不要ですか?

A. 固定残業代が法的に有効と認められるには、時間外労働等への対価性と、通常の賃金部分との判別可能性が必要です(最判平成30年7月19日)。実務上は「金額と対応する残業時間数の明示」「超過分の別途支払い」を満たす設計をお勧めします。時間数の記載がない場合は無効リスクがあります。ご自身の規程を弁護士に確認いただくことをお勧めします。

Q. 「管理職だから残業代不要」はなぜ問題になるのですか?

A. 労基法41条2号の「管理監督者」は①経営者と一体的な立場②勤務時間の自由裁量③相応の待遇の3要件が必要です。これを満たさない「名ばかり管理職」には残業代の支払い義務があります。肩書だけで判断すると高額請求を受けるリスクがあります。大阪の中小企業では顧問弁護士に定期確認をすることで事前防止できます。

Q. SlackやメールのやりとりはADで残業代の証拠になりますか?

A. 業務上のSlackメッセージやメールは、労働時間を証明する補助証拠として活用されることがあります。ただし「全ての通信=労働時間」ではなく、その通信が業務指示に基づくものか、自発的なものかが争点になります。タイムカード打刻後の業務指示に基づく連絡は労働時間と認定されるリスクが高く、会社側は記録管理を徹底することが重要です。

Q. 大阪で残業代請求(使用者側)を依頼できる弁護士はいますか?

A. 弁護士法人ブライトの「みんなの法務部」は大阪を拠点に、中小企業の使用者側として残業代請求対応・労働審判対応を専門的に扱っています。顧問先130社以上(2026年6月時点)に、企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。まずは無料相談をご利用ください(06-4965-9590・平日9:00〜18:00)。

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