分割払いの合意書を作るときの注意点|期限の利益・連帯保証・遅延損害金

分割払いの合意書を作るときの注意点|期限の利益・連帯保証・遅延損害金

分割払いの合意書を作るときの注意点|期限の利益・連帯保証・遅延損害金

取引先から「今は払えないので分割にしてほしい」と言われた。

断るよりは分割でも回収できる方がいいと判断するのは自然なことです。ただし、合意書の内容が不十分だと「分割払いに合意した後、また払ってくれなくなった」という状況が生まれます。

合意書は、回収を確実にするための設計書です。 何を入れるかで、その後の回収力がまったく変わります。


合意書に必ず入れるべき5つの項目

1. 債務の承認

「相手方が債務の存在を認めている」という記載を入れることで、後から「そんな債務はない」「金額が違う」という言い逃れを防げます。

例:甲は乙に対して、○年○月○日時点において、○○万円の債務を負っていることを認める。


2. 分割払いのスケジュール(具体的な日付と金額)

「毎月○日に○万円」という形で、具体的な日付と金額を明記します。「月末に払います」「来月には払います」という曖昧な約束を書面化しても意味がありません。


3. 期限の利益喪失条項

これが最も重要です。

「期限の利益」とは、分割払いを許した場合に相手が持つ「期日まで払わなくていい」という権利のことです。

この条項がないと、相手が1回分の支払いを怠っても、残りの分割払いを全部まとめて請求することができません。「今月分だけ払え」という状況が続き、実質的に回収が進まないケースが生まれます。

期限の利益喪失条項を入れることで、「1回でも支払いが遅れたら、残額を一括で請求できる」という設計になります。

例:甲が本合意に定める分割払いの一回でも遅滞したとき、甲は当然に期限の利益を失い、乙は残額全額を直ちに請求することができる。


4. 遅延損害金

支払いが遅れた場合の遅延損害金(利息)を定めます。

法定の遅延損害金率は年3%ですが、合意書に記載しなければその計算が曖昧になります。遅延損害金を明示しておくことで、「払わない方が損」という意識を相手に持たせる効果もあります。


5. 連帯保証人の設定(可能な場合)

相手方の信用力に不安がある場合は、代表者個人または第三者を連帯保証人として設定することを交渉してください。

連帯保証人がいれば、相手が払えなくなった場合でも保証人に請求できます。特に相手方の会社の財務状況が悪い場合は、この条項の有無が回収の可否を左右することがあります。


こんな相談がよくあります

商業施設関連の顧問先で、元従業員による窃盗被害の回収を行ったケースがあります。

刑事処分(起訴猶予)の後、民事で被害金額を確定し、「強制執行認諾文言付き公正証書」の形で毎月7万円の分割払い合意を結びました。

この合意には期限の利益喪失条項が含まれており、相手が支払いを怠った際には即座に強制執行に移行できる設計になっていました。公正証書形式にしたことで、訴訟なしに差押えが可能になった点がポイントです。


「分割払いを認める前に、合意書を作りたい」という段階からご相談ください。

作り方を間違えると、合意した後の回収が困難になります。

→ 売掛金回収・債権回収のご相談はこちら:/corporationlaw/

電話:0120-929-739(受付 9:00〜18:00)


公正証書にするか書面合意にするか

分割払いの合意をする場合、公正証書(強制執行認諾文言付き)で作成することを強くお勧めします。

普通の合意書(私文書)と公正証書の違いは、強制執行の手順にあります。

  • 私文書の合意書:相手が払わない場合、訴訟を提起して判決を得てから強制執行する必要がある
  • 公正証書(強制執行認諾文言付き):訴訟なしに、直接強制執行(差押え)に移行できる

公正証書の作成には公証人役場での手続きが必要ですが、弁護士が代理で手配できます。


口頭合意だけで終わらせないために

「払うと言ってくれているから大丈夫」という判断で書面を作らずに済ませる会社が多いです。しかし、口頭合意だけでは法的な回収の手段が大幅に制限されます。

分割払いを認めるときは必ず書面化する。これを社内のルールにしておくだけで、未回収リスクが格段に下がります。

顧問弁護士がいれば、分割払い合意のテンプレートを整備し、現場担当者でも使える形にできます。

→ 顧問弁護士サービスの詳細はこちら:/corporationlaw/service/

電話:0120-929-739(受付 9:00〜18:00)



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よくある質問

Q. 分割払いの合意書は、普通のWordファイルで作っても有効ですか?

A. 私文書として法的には有効ですが、相手が支払いを止めた際に訴訟が必要になります。可能であれば強制執行認諾文言付きの公正証書で作成することで、訴訟なしに差押えへ移行できます。弁護士への相談をお勧めします。

Q. 「期限の利益喪失条項」が入っていない合意書を既に結んでしまいました。どうすればよいですか?

A. 合意書の差し替えや覚書の追加交渉ができる可能性があります。また、支払いが止まった場合の対応手段を別途検討する必要があります。早めに弁護士にご相談ください。

Q. 費用はどのくらいかかりますか?

A. 事案の内容・複雑さによって異なります。みんなの法務部では初回相談無料でご案内しています。


監修:弁護士法人ブライト

大阪・神戸を拠点に企業法務・顧問弁護士サービスを提供。みんなの法務部として中小企業の法的リスク対応を日々サポートしています。

本記事は一般的な法的情報の提供を目的としており、個別の法律相談に代わるものではありません。具体的な案件については、弁護士にご相談ください。

よくある質問

Q. 期限の利益喪失条項がない合意書で、1回の遅延があった場合どう対応すればいい?

A. 期限の利益喪失条項がないと、1回の遅延では残額一括請求ができず、実質的に回収が進みません。既に合意書がある場合は、差し替えや覚書の追加交渉ができる可能性があります。早めに弁護士にご相談ください。

Q. 分割払いの合意書作成に費用はかかる?弁護士に依頼すべき?

A. 事案の内容・複雑さで異なります。相手の信用力が低い場合や重要な取引では、公正証書の作成や連帯保証人設定などで弁護士のサポートが回収力を大きく高めることが一般的です。

Q. 公正証書と普通の書面での合意書、何が違う?

A. 公正証書は強制執行認諾文言付きなら訴訟なしに直接差押えできます。普通の書面は支払い停止時に訴訟が必要です。回収を確実にするには公正証書の作成をお勧めします。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。
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