MBO(マネジメント・バイアウト)による中小企業の事業承継:手続きと法的注意点【大阪の弁護士が解説】

MBO(マネジメント・バイアウト)による中小企業の事業承継:手続きと法的注意点【大阪の弁護士が解説】

和氣 良浩

監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会

大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上に透明性の高いリーガルサポートを実践している。

「役員や幹部社員に会社を継いでもらいたい」「MBOという手法があると聞いたが、具体的にどういう手続きが必要か」――事業承継を検討する大阪の中小企業経営者からこうした相談が増えている。

MBO(マネジメント・バイアウト)は、役員・従業員が会社の株式を買収して経営権を取得する事業承継手法だ。親族外承継の代表的スキームで、大阪の中小企業でも活用されている。本記事では、MBOの仕組み・手続き・法的注意点を弁護士が解説する。

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MBOとは何か:事業承継における役割と特徴

MBO(マネジメント・バイアウト:Management Buyout)とは、会社の役員・管理職などの経営陣が、金融機関等からの借入または投資ファンドの出資を活用して、現在の株主(オーナー経営者)から株式を買収し、経営権を取得する取引を指す。

事業承継の文脈では、「親族に後継者がいないが、長年会社を支えてきた役員・部長クラスに継いでもらいたい」という場合に有効なスキームだ。後継者にとっては会社を買収する資金が問題になることが多いが、銀行融資・中小企業基盤整備機構の支援・売り手オーナーによる分割支払(アーンアウト)等の組み合わせで解決することが多い。

MBOの基本スキームと手続き

スキームの全体像

中小企業のMBOの典型的なスキームは次の通りだ。

  1. SPC(特定目的会社)の設立:後継者がMBO用の受け皿会社(SPC)を設立する(任意。個人名義での取得も可)
  2. 資金調達:銀行融資(LBO融資・MBO融資)・売り手オーナーへの分割払い・投資ファンドの出資を組み合わせる
  3. 株式譲渡契約(SPA)の締結:現オーナーとSPC(または後継者個人)の間で株式の売買条件を合意
  4. 株式の取得・名義書換:会社法130条1項に基づき株主名簿の名義書換を行う
  5. 借入金の返済:買収後、会社の収益で融資を返済する(LBO構造)

株式評価と売買価格の決定

MBOの株式売買価格はオーナーと後継者の合意で決まるが、現実には企業価値評価の結果を基準とする。非上場株式の評価には類似業種比準価額方式・純資産価額方式・EBITDA倍率法等が使われる。価格が高すぎると後継者の返済負担が重くなり、低すぎると税務リスク(低額譲渡として贈与税課税の可能性)がある。税理士・弁護士と連携した価格設計が重要だ。

MBOの法的論点:弁護士が関与すべき3つのポイント

論点1:利益相反取引への対応(会社法356条・365条)

後継者が会社の取締役である場合、自社株を自己取得する取引は「利益相反取引」(会社法356条1項2号・3号)に該当しうる。この場合、取締役会の承認(取締役会設置会社)または株主総会の承認(非設置会社)が必要だ(会社法356条1項・365条1項)。承認なしの取引は無効リスクと取締役の損害賠償責任が生じる。

論点2:LBO融資の財務制限条項(コベナンツ)

MBOでLBO融資を使う場合、融資契約に「財務制限条項(コベナンツ)」が設定される。典型的には「純資産維持義務(純資産が一定額を下回ったら期限の利益を失う)」「EBITDA比率維持」「設備投資上限」などだ。条項違反は期限の利益喪失(即時返済義務)につながるため、融資契約締結時に弁護士が条項内容を精査し、現実的な水準かどうかを確認することが重要だ。

論点3:少数株主対策

MBOで株式の大半を買収した後も、少数株主(他の役員・元役員・親族等)が残存する場合がある。少数株主は株式買取請求権(会社法116条・785条等)を行使できる場合があり、また重要な決議(定款変更・合併等)に対して拒否権を行使できる可能性もある。MBO後にスムーズな経営を実現するには、少数株主の株式の取得(キャッシュアウト・スクイーズアウト)を並行して検討することが重要だ。

特別支配株主(総株主の議決権の90%以上保有者)は、他の株主全員に対して株式等売渡請求(会社法179条)を行使できる。MBO後に90%超を確保することを計画に組み込んでおくとよい。

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中小企業MBOの費用と成功のポイント

主な費用の概要

費用項目 目安 備考
株式買収価格 企業価値評価による EBITDA×3〜5倍が中小規模の目安
LBO融資利子・手数料 融資額・銀行による 固定or変動金利
弁護士費用(SPA交渉・法的整理) 50万〜200万円程度 案件規模による
税理士・会計士費用(評価・税務) 30万〜100万円程度 案件規模による

MBOを成功させる3つのポイント

  • 早期から資金計画を立てる:銀行の審査には時間がかかる。少なくとも1〜2年前から金融機関との関係構築と事前相談を始めることが重要。
  • 少数株主問題を先送りしない:MBO後に少数株主が残ると経営の機動性が低下する。スクイーズアウトの計画を先に立てる。
  • 売り手オーナーとの合意形成を丁寧に行う:価格・支払条件・自分の引退後の処遇(相談役・顧問等)について明確に合意し書面化しておくことで、後のトラブルを防ぐ。

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MBOに関するよくある質問(FAQ)

MBOとM&Aの違いは何ですか?

M&Aは外部の第三者(別の会社・投資家等)が会社を買収する取引の総称です。MBOはそのM&Aの一形態であり、「買収主体が会社の内部者(役員・従業員)」という点が特徴です。社外の見知らぬ相手に会社を売るのではなく、自社をよく知る内部の人間が引き継ぐため、事業継続性が高く従業員・取引先の不安が少ない点がMBOのメリットです。

後継者に資金がない場合でもMBOはできますか?

資金調達の方法によっては可能です。主な方法は①銀行のMBO・LBO融資(会社の収益・資産を担保)②売り手オーナーへの分割払い(アーンアウト)③中小企業基盤整備機構のファンド活用です。いずれも返済計画が現実的かどうかの検討が必要で、資金計画は税理士・弁護士と事前に設計することを強く勧めます。

大阪でMBOの法的サポートを依頼できる弁護士はいますか?

弁護士法人ブライト(大阪)では、MBOの株式譲渡契約(SPA)作成・利益相反取引への対応・少数株主対策・融資契約のコベナンツ確認など、MBOに必要な法的サポートを提供しています。弁護士歴平均14年以上・顧問先130社以上の実名公開という実績があります。まずは初回無料相談をご利用ください。

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