後継者不在の中小企業がM&Aで会社を売却する流れと弁護士の役割【大阪の弁護士が解説】

後継者不在の中小企業がM&Aで会社を売却する流れと弁護士の役割【大阪の弁護士が解説】

和氣 良浩

監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会

大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上に透明性の高いリーガルサポートを実践している。

「後継者が見つからないまま70歳を迎えてしまった」「廃業しか選択肢がないと思っていたが、M&Aで会社を売れると聞いた」――大阪の中小企業経営者からこうした相談が増えている。

後継者不在の場合のM&A(第三者承継)は、事業・従業員・取引先を守りながら経営者が引退するための現実的な手段だ。本記事では、後継者不在の中小企業がM&Aを選ぶ際の流れ・費用・弁護士の役割を大阪の弁護士が解説する。

後継者不在・事業承継でお悩みの経営者へ

弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。

顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る

無料で相談する

後継者不在とM&A:選択を急ぐべき理由

中小企業庁の資料によると、2025年時点で後継者が未定の中小企業は127万社以上に上り、その多くが廃業予備軍とされている。廃業を選んだ場合、雇用・取引先・技術が消失するだけでなく、経営者自身の退職後の収入(売却益)も得られない。

M&Aで会社を売却することで、①従業員の雇用を維持②取引先との関係を継続③経営者は売却益を得て引退という3点を同時に実現できる。中小企業庁「中小M&Aガイドライン」(2020年策定・2023年改訂)では、後継者不在を理由とする第三者承継を政策的に促進しており、M&A支援機関への補助金制度も整備されている。

後継者不在でのM&A:5つのステップ

ステップ1:会社の価値(企業価値)の把握

M&Aの売却価格は「企業価値評価(バリュエーション)」に基づく。中小企業M&Aで一般的に使われる評価方法は次の3つだ。

  • 修正純資産法:貸借対照表の純資産を時価修正して計算。財産保有型企業に向く。
  • DCF法(ディスカウントキャッシュフロー法):将来のキャッシュフローを現在価値に割り引く。成長企業向き。
  • EBITDA倍率法(類似上場会社比較法):EBITDA(利払前・税引前・償却前利益)に業種別倍率をかける。実務で最も使われる。

中小企業のM&Aでは修正純資産+EBITDA倍率を組み合わせる方法が多い。売却前に会計・税務を整理し、不良在庫・不稼働資産・簿外債務を解消しておくことで評価額が上がる。

ステップ2:M&A仲介業者またはFAの選定

M&Aの進め方には「仲介型(売主・買主双方を同一業者が担当)」と「FA型(売主側・買主側でそれぞれ別の代理人)」の2種類がある。

仲介型は費用が抑えやすい反面、中立立場のため条件交渉で売主の利益を代理できない。FA型は費用がかかるが、売主の利益を最大化するために動く。中小企業庁ガイドラインは、利益相反の観点からFA型を推奨しているが、実態として仲介型が多く使われている。

弁護士は仲介・FA機能を持たないが、最終契約書(SPA)の交渉・法務DDへの対応において売主の代理人として独立した立場で動くことができる。

ステップ3:買収候補先の探索と秘密保持契約(NDA)

M&A仲介業者を通じて買収候補先をリストアップし、ノーネーム資料(会社名を伏せた概要書)を提示して関心の有無を確認する。関心を持った候補先と秘密保持契約(NDA: Non-Disclosure Agreement)を締結した上で詳細情報を開示する。NDAには秘密情報の定義・目的外使用禁止・損害賠償条項を盛り込む必要がある(詳細は「NDAのチェックポイント」参照)。

ステップ4:基本合意書(LOI)締結と法務DD

売主・買主の基本的な条件が合意に達したら「基本合意書(LOI: Letter of Intent)または意向表明書(MOU: Memorandum of Understanding)」を締結する。この時点では法的拘束力は限定的(秘密保持・独占交渉期間のみ拘束力を持つことが多い)だが、以後の交渉の土台になる。

基本合意後、買収側が売主会社の法務DD(デューデリジェンス)を実施する。法務DDの主な対象は①重要契約(取引先・賃貸借・業務委託)②訴訟・紛争の有無③許認可・コンプライアンス④労務(36協定・社会保険・未払残業代)⑤知的財産(商標・特許)だ。

売主側として準備しておくべきは、DDで問題が発覚した際の対応方針(価格調整・補修・事前開示)を弁護士と事前に検討しておくことだ。大阪の中小企業案件では、個別の業務委託契約に「チェンジオブコントロール条項(取引先変更禁止)」が含まれており、M&A後に既存契約が自動失効するリスクが問題になることがある。

ステップ5:最終契約(SPA)の締結・クロージング

法務DDの結果を踏まえて最終的な売買価格・条件を確定し、株式譲渡契約(SPA: Stock Purchase Agreement)を締結する。SPAの主要条項は次の通りだ。

  • 表明保証(Representations and Warranties):売主が「訴訟なし・重要な契約に変更なし・財務諸表の正確性」等を保証する条項。違反時には損害賠償責任が生じる。売主にとって表明保証の範囲と免責条件の交渉が最重要。
  • 補償条項(Indemnification):表明保証違反等の損害を補償する条項。補償上限額(キャップ)・補償期間・最低請求額(バスケット)が交渉ポイント。
  • クロージング条件:許認可取得・規制当局の承認・主要取引先の同意等を条件とする場合がある。

M&Aで会社を売却したい経営者へ:弁護士に相談する

弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。

顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る

無料で相談する

後継者不在のM&A:弁護士が必要な3つの場面

場面1:NDA・LOIのチェックと交渉

M&A仲介業者が用意するNDFやLOIのひな形は買収側に有利な内容になっていることが多い。特に「独占交渉期間の長さ」「違約金の有無」「情報漏洩時の損害賠償範囲」は売主側が確認すべき重要ポイントだ。弁護士がチェックすることで不当条件を排除できる。

場面2:法務DDへの対応準備

買収側のDDチームが提出するチェックリスト(数百項目になることもある)に対応するため、売主側も弁護士と事前にリスク整理をしておく必要がある。簿外債務・未払残業代・許認可の問題を事前に開示・修復しておくことで、価格交渉での不利を防げる。

場面3:SPAの条件交渉

M&A仲介業者は中立のため、SPAの条件交渉で売主の利益を代理できない。弁護士が売主代理人として表明保証の範囲を絞り込み・補償上限額と期間を交渉することで、売却後のリスクを大幅に軽減できる。

弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業のM&A・事業承継法務に対応する。弁護士歴平均14年以上・顧問先130社以上の実名公開という実績で、後継者不在の経営者が安全にM&Aで引退できるようサポートする。

後継者不在・M&Aを大阪の弁護士に相談したい方へ

弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。

顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る

無料で相談する

後継者不在・M&Aに関するよくある質問(FAQ)

後継者不在でもM&Aで会社を売れますか?

売れます。後継者不在による第三者承継(M&A)は現在政策的にも推進されており、支援機関・補助金制度も整備されています。業種・規模・財務状況によって買収候補が見つかりやすいかどうかは異なりますが、大阪・近畿圏の中小企業であれば事業内容によってはスムーズに進むケースも多いです。まず現状の会社の価値評価を確認することから始めることをお勧めします。

M&Aで売却する際、弁護士費用はどのくらいかかりますか?

弁護士費用は依頼内容・売却価格の規模によって異なります。NDAのチェック・LOI交渉・法務DD対応・SPA条件交渉を一括して依頼するケースが多く、数十万円〜数百万円の範囲になります。M&A仲介手数料(売却価格の3〜5%程度が多い)と比較して弁護士費用は決して高くなく、SPA交渉での条件改善額で十分に回収できることが多いです。弁護士法人ブライトでは初回無料相談を実施しています。

大阪でM&A・事業承継の弁護士を探しています。

弁護士法人ブライト(大阪市)では、後継者不在の中小企業のM&A・第三者承継に対応しています。NDA・LOI・SPA交渉から法務DDへの対応まで、売主側の代理人として一貫サポートします。弁護士歴平均14年以上・顧問先130社以上の実名公開という実績があります。初回無料相談をご利用ください。

事業承継・M&Aを大阪の弁護士に相談する

弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。

顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る

無料で相談する

関連記事:事業承継の方法と法的手続き完全ガイド事業承継準備のロードマップ50項目顧問弁護士サービス「みんなの法務部」企業法務トップ

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。
  • 記事カテゴリ
  • 成功事例
    インタビュー
契約
人事労務
債権回収
消費者
炎上
会社運営