解決金の分割払いが滞った場合の仮差押え・強制執行 解決金の分割払い合意を取り付けたのに、相手が払わなくなった。そのような状況に直面した会社が知っておくべき法的手段をまとめました。適切なタイミングで動けば、預金口座や売掛金を差し押さえて確実に回収できます。 📋 この記事の法律問題について、顧問弁護士に相談しませんか? 弁護士法人ブライトは大阪の中小企業の外部法務部として、継続的に法務課題をサポートします。顧問先141社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する(お問い合わせ) 分割払い合意後の「不払い」はなぜ危険か 解決金の分割払い合意は、あくまで任意の約束です。相手に支払い意思がなくなれば、合意書があっても自動的にはお金が入ってきません。 特に問題なのが「相手が資産隠しを始めるリスク」です。分割払い中に相手の経営状況が悪化すると、財産が減少したり、名義を変えられたりすることがあります。払い渋りが始まった段階で早急に動くことが重要です。 また、解決金の合意書の内容によっては「公正証書」として作成されていない場合があります。公正証書でなければ、すぐに強制執行はできず、改めて訴訟提起か仮差押えの手続きが必要になります。 STEP1|合意書の種類を確認する 最初に確認すべきは「手元にある合意書で強制執行できるか」という点です。 すぐに強制執行できる書類 公正証書(強制執行認諾文言付き) 確定判決・仮執行宣言付き判決 裁判上の和解調書・調停調書 強制執行できない書類 双方署名の私的合意書(示談書・解決金合意書) メール・LINEの合意記録 私的合意書しかない場合は、仮差押えか訴訟提起を先行させる必要があります。 STEP2|支払いが滞ったらすぐに弁護士へ連絡する 「もう少し待てば払うかもしれない」という判断が最もリスクの高い選択です。 相手が資産を処分し始めるのは、支払い停止の直後から始まることがあります。1〜2回の不払いで弁護士に連絡し、次の対応方針を決めるのが原則です。 このような相談は中小企業からよく寄せられます。「1回は振り込まれたが2回目から連絡が取れなくなった」「担当者が退職したと言われてそれきり」という経緯で、最終的に仮差押えを申立てるケースが多くあります。 STEP3|仮差押えの申立を検討する 仮差押えとは、裁判所を通じて相手の財産を一時的に凍結する手続きです。本格的な訴訟を起こす前でも申立でき、相手に「逃げられない」という状況を作ります。 仮差押えに必要な要件 被保全権利(解決金請求権)の疎明 保全の必要性(相手が財産を隠す・逃げる恐れ) 合意書が手元にあれば、被保全権利の疎明は比較的容易です。担保金(通常は請求額の10〜30%程度)を裁判所に預ける必要があります。 差押えの対象となる財産の例 預金口座(相手のメインバンクが分かっている場合) 売掛債権(取引先への請求権) 不動産(登記情報で確認可能) STEP4|強制執行への移行 仮差押え後、または公正証書・判決がある場合は、強制執行の申立ができます。 預金口座への強制執行(差押え)の場合、申立から2〜3週間程度で口座が差し押さえられ、残高があれば回収に動けます。口座が特定できていれば手続きはシンプルです。 公正証書のない私的合意書の場合は、支払督促または訴訟提起を経て判決を取得する必要があります。相手が争わなければ1〜2か月で判決相当の効力が得られることもあります。 よくある相談例 ある製造業の顧問先では、取引トラブルで合意した解決金の分割払いが2回目から途絶えました。担当者に連絡しても「社内確認中」と繰り返すだけで振り込みがない状態が続きました。 早い段階で顧問弁護士に相談し、相手のメインバンクを事前に把握していたことから、仮差押えの申立に即座に移行できました。口座に残高があり、分割払い残額に近い金額を回収することができました。 弁護士に相談するタイミングの目安 分割払いが1回以上止まった 相手から「待ってほしい」という連絡があった 相手の経営状況が悪化しているという情報を得た 相手との連絡が取れなくなった 早く動くほど、回収できる可能性が高まります。 → ご相談はこちら:/corporationlaw/ 電話:06-4965-9590(受付 9:00〜18:00) 仮差押えを早期に検討するための仕組みづくり 合意書作成の段階から、強制執行に備えた対策を取っておくことが重要です。 解決金合意時にやっておくべきこと 公正証書で作成する(強制執行認諾文言付き) 相手の口座情報・取引先情報を確認しておく 期限の利益喪失条項を入れる(1回でも滞れば全額一括請求できる) 顧問弁護士がいる場合、合意書の作成段階から関与することで、後から「強制執行できない」という事態を防ぐことができます。 → 関連:分割払いの合意書を作るときの注意点 → 関連:内容証明を送る前に会社が確認すべきこと まずはご相談ください 解決金の不払いは、弁護士が早期に関与するほどスムーズに解決できます。「仮差押えが必要かどうかわからない」という段階からご相談いただけます。 → みんなの法務部サービスの詳細はこちら:/corporationlaw/service/ 電話:06-4965-9590(受付 9:00〜18:00) 関連記事 取引先が支払ってくれないときの初動対応 分割払いの合意書を作るときの注意点 取引先が倒産しそうなときに会社がやるべきこと ⚖️ 債権回収・強制執行に関する判例・法的根拠 民事保全法21条(仮差押えの要件):仮差押えは被保全権利の疎明と保全の必要性の両要件が必要。担保(保証金)の提供が命じられることが多い 民事執行法43条以下(強制執行):確定判決・仮執行宣言付き支払督促等の債務名義に基づき強制執行が可能。不動産・預金・給与等が対象 破産法2条(倒産処理):取引先が倒産した場合、破産手続開始申立後は原則的な取立が禁止される。早期の仮差押えが債権保全の鍵となる 根拠条文:民事保全法21条・民事執行法43条以下・破産法2条 よくある質問 Q. 解決金の合意書があれば仮差押えなしでも強制執行できますか? A. 公正証書(強制執行認諾文言付き)や裁判上の和解調書であれば直接執行できます。私的な合意書の場合は、訴訟提起か仮差押えが必要になります。具体的な書類の確認は弁護士にご相談ください。 Q. 仮差押えを申立てた後、相手が任意に支払ってきたらどうなりますか? A. 任意に支払われた場合は仮差押えを取り下げることができます。仮差押えは「強制的に払わせる」手段ではなく、財産を凍結して交渉・回収を進めるための手続きです。 Q. 相手の銀行口座がわからない場合でも仮差押えはできますか? A. 口座情報が不明な場合でも、財産開示手続きや第三者からの情報取得手続きを利用して特定できる場合があります。まずは弁護士にご相談ください。 Q. 費用はどのくらいかかりますか? A. 事案の内容・複雑さによって異なります。みんなの法務部では初回相談無料でご案内しています。 監修:弁護士法人ブライト 大阪・神戸を拠点に企業法務・顧問弁護士サービスを提供。みんなの法務部として中小企業の法的リスク対応を日々サポートしています。 本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、特定の事案に対する法律アドバイスではありません。個別の対応については弁護士にご相談ください。 企業法務の関連記事 相続財産に会社株式が含まれる場合の注意点|評価・手続き・トラブル防止【弁護士解説】 不動産売買で重要事項説明が不十分だった場合の損害賠償【弁護士解説】 顧問弁護士契約の社内稟議を通すための説明方法【弁護士解説】 物流・運輸業でよくある法律トラブルと弁護士が必要なタイミング【弁護士解説】 ホテル・観光業でよくある法律トラブルと弁護士が必要なタイミング【弁護士解説】