この記事の執筆者・監修者
笹野 皓平(ささの こうへい)
弁護士法人ブライト|労災事故部統括弁護士
大阪弁護士会所属 登録番号45457|修習64期(登録2011年・弁護士歴15年)
労災事故・安全配慮義務違反の損害賠償を専門に担当。フォークリフト・機械事故による重篤災害の解決実績多数。
監修
和氣 良浩(わけ よしひろ)
弁護士法人ブライト 代表弁護士|大阪弁護士会所属
この記事のポイント
- フォークリフト事故で請求できる慰謝料は「傷害慰謝料」「後遺障害慰謝料」の2種類で、労災保険では一切支払われない
- 後遺障害14級で慰謝料+逸失利益の合算額は数十〜100万円超、12級・10級なら数百万円規模になることがある
- 会社への損害賠償請求(安全配慮義務違反)は労災保険給付と別ルートで同時に請求できる
- 「自分にも落ち度がある」「会社に申し訳ない」と感じていても、弁護士に相談すれば過失割合・請求可否を正確に判断できる
- ブライトの解決事例では後遺障害10級・フォークリフト系で自賠責含め最高503万円の受領実績がある
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フォークリフト事故の慰謝料とは?労災保険との違い
フォークリフト事故で職場の同僚や会社の管理下で怪我をした場合、多くの被災者が「労災保険で治療費や休業補償が出るから大丈夫」と思い込んでしまいます。しかし、労災保険には慰謝料という制度がありません。精神的苦痛への補償は、会社に対する損害賠償請求(安全配慮義務違反・民法709条に基づく不法行為責任)によってはじめて受け取ることができます。
フォークリフトによる事故は製造業・物流業・倉庫業を中心に年間数百件が発生し、なかでも「はさまれ・巻き込まれ」「激突され」の類型は骨折・挫滅・腱断裂・切断など重篤な損傷をもたらしやすい事故です。厚生労働省の「労働者死傷病報告」統計では、フォークリフト等の荷役機械による死傷者数は全産業の死傷災害に占める割合が高く、後遺障害が残るケースが後を絶ちません(出典:厚生労働省 令和4年労働災害発生状況)。
慰謝料が受け取れる2つのルート
| 項目 | 労災保険給付 | 会社への損害賠償請求 |
|---|---|---|
| 慰謝料 | ×(支払われない) | ○(請求可能) |
| 治療費 | ○(療養補償給付) | ○(差額・自費分) |
| 休業損害 | ○(給付基礎日額の60%) | ○(差額20〜40%) |
| 後遺障害逸失利益 | ○(障害補償給付) | ○(全額・追加で請求可) |
注意すべき点は、労災保険給付と損害賠償請求の間で損益相殺(調整)が行われる点です。療養補償・休業補償・障害補償給付として受領した金額については、同項目の損害賠償から控除されます。ただし、慰謝料は労災保険の対応項目が存在しないため、控除なく全額を会社に請求することができます(『労災保険・民事損害賠償 判例ハンドブック』青林書院・2017 参照)。
傷害慰謝料の相場(入院・通院期間別)
フォークリフト事故による入院・通院中の精神的苦痛に対して支払われるのが「傷害慰謝料」です。入院・通院月数をもとに算定され、重傷になるほど高額になります。
実務では、弁護士が主張する「弁護士基準(裁判基準)」を用いると、保険会社や会社側が当初提示する金額より大幅に増額できます。専門書(『民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準(赤い本)』日弁連交通事故相談センター東京支部・2024年版)に掲載されている算定表が実務の基準となります。
| 通院期間(入院なし) | 弁護士基準の目安 |
|---|---|
| 1か月 | 約28万円 |
| 2か月 | 約52万円 |
| 3か月 | 約73万円 |
| 4か月 | 約90万円 |
| 5か月 | 約105万円 |
| 6か月 | 約116万円 |
入院が伴う場合はさらに高額になります。たとえば入院1か月+通院3か月であれば傷害慰謝料は約150万円前後の水準になることが多いです。
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後遺障害が残った場合の慰謝料・逸失利益(等級別相場)
フォークリフト事故で骨折・腱断裂・挫滅などの重傷を負った場合、症状固定後に後遺障害等級が認定されると、追加で「後遺障害慰謝料」と「逸失利益」を請求できます。後遺障害等級は重篤なものが1級(最重度)、軽微なものが14級(最軽度)となり、等級によって請求額が大きく変わります。
実務上の専門書(『詳説 後遺障害(補訂版)等級認定と逸失利益算定の実務』創耕舎・2017)に基づく弁護士基準での目安を示します。
| 後遺障害等級 | 典型的な症状(機械・フォークリフト事故) | 後遺障害慰謝料(弁護士基準目安) | 逸失利益の目安(年収400万・40代) |
|---|---|---|---|
| 7級 | 手指4本・片足の機能廃絶等 | 約1,000万円 | 約1,500〜2,000万円 |
| 9級 | 手指3本・足の機能廃絶等 | 約690万円 | 約900〜1,200万円 |
| 10級 | 手指2本・足首の機能障害等 | 約550万円 | 約600〜800万円 |
| 12級 | 指の欠損・関節可動域制限等 | 約290万円 | 約200〜400万円 |
| 14級 | 頸部・腰部疼痛(神経症状) | 約110万円 | 約50〜100万円 |
上記はあくまで弁護士基準の目安であり、年収・年齢・就労可能年数・具体的な障害内容によって変動します。労働災害の後遺障害等級は「労災の障害等級」と「自賠責の後遺障害等級」が並立するケースもあり(第三者行為が絡む場合)、認定機関・基準の選択が受取額に大きく影響します。
会社への損害賠償請求の法的根拠
安全配慮義務違反(労働契約法5条・民法415条)
フォークリフト事故で会社に損害賠償を請求する場合の主要な法的根拠は、労働契約法第5条の安全配慮義務違反です。会社は労働者が安全に働けるよう必要な措置を講じる義務を負っており、この義務に違反した結果として事故が起きた場合、民法415条(債務不履行責任)または民法709条(不法行為責任)に基づき損害賠償責任を負います。
フォークリフトに関して会社が負う具体的な安全義務は、労働安全衛生法・同規則に定められています。
- 労働安全衛生規則第151条の3:フォークリフトの作業計画の作成・労働者への周知義務
- 同規則第151条の4:作業指揮者の選任義務
- 同規則第151条の9:最高速度の制限(制限速度を定めて遵守させる義務)
- 同規則第151条の11:作業区域内への労働者立入禁止義務
- 労働安全衛生法第61条・同規則第36条:最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転技能講習修了者に限る義務(無資格運転の禁止)
これらの法令義務に違反している事実があれば、安全配慮義務違反はほぼ自動的に認定されます。条文の存在が会社の過失を根拠付けるため、証拠収集の方向性も明確になります。
使用者責任(民法715条)
フォークリフトを運転していたのが同僚社員(加害者)であり、その会社員による過失が事故の直接原因となっている場合、会社は民法715条の使用者責任を負います。会社が「相当の注意をした」または「注意をしても損害が生ずべきであった」と証明しない限り、責任を免れることができません。実務上、この免責が認められるケースは極めて稀です。
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フォークリフト事故で慰謝料が増額されるケース
無資格運転が判明した場合
最大荷重1トン以上のフォークリフトを、技能講習未修了者に運転させていた場合、会社の過失は重大な法令違反として評価されます。弁護士法人ブライトが対応した実案件では、フォークリフトの無資格運転と通路マーキング不備という2つの安全管理違反を証拠化することが交渉の核心となり、月20万円・約3年間の分割払いでの解決を実現した事例があります(50代の工場作業員・アキレス腱断裂3回手術)。
この事例では、労働基準監督署への死傷病報告書・災害調査復命書を情報開示請求で取得し、無資格運転の事実を客観的な書面で立証したことが決め手となりました。
後退時の死角事故で安全装置が未設置だった場合
フォークリフトの後退時死角による接触事故は、作業員が後方に立っていることに気づかないまま後退するケースが典型です。後退時警報装置(バックブザー)の故障・未設置、後方確認ミラーの未設置は、労働安全衛生規則上の安全管理義務違反として会社の過失を強く基礎付けます。これらの事実が証拠として確認されると、過失相殺割合の交渉でも有利に働きます。
同一職場で安全指導が繰り返されていなかった場合
ブライトの実案件では、同じ職場でフォークリフト同士の衝突事故が同年に2回発生したケースがあります。第1事故後に安全対策が講じられていなかったことは、会社の組織的な安全管理の欠如を示す証拠として機能しました。複数回の事故・ヒヤリハット事案の記録は、安全配慮義務違反の立証において強力な材料になります(解決金合計188万円・笹野皓平弁護士担当)。
慰謝料・損害賠償を請求するまでの手順
ステップ1:労災申請を先行させる
損害賠償請求の前に、まず労災保険の申請(療養補償・休業補償)を行います。労災認定を受けると、会社が安全義務を果たしていなかったという客観的な行政判断が得られるため、損害賠償請求の場面でも有利に働きます。労災申請は会社の同意は不要で、被災者本人または弁護士が労働基準監督署に直接申請できます(フォークリフト事故・労災と損害賠償の全体像はこちら)。
ステップ2:治療と後遺障害の認定
治療を続け、症状固定まで通院します。症状固定後、後遺障害等級の申請を行います。等級認定の結果が損害賠償額を大きく左右するため、弁護士に依頼している場合は申請書類の作成段階から関与してもらうことが重要です。
ステップ3:証拠の収集
損害賠償交渉の準備として、以下の証拠を収集します。弁護士であれば情報開示請求・弁護士会照会を活用できます。
- 労働基準監督署への死傷病報告書・災害調査復命書
- フォークリフト点検記録・運転資格証の控え
- 作業計画書・安全教育記録
- 現場の通路マーキング・安全装置の状況(写真・動画)
- 目撃者の供述・現場配置図
ステップ4:内容証明送付→交渉→解決
証拠が揃ったら、弁護士名義の内容証明郵便を会社側に送付し、損害賠償請求を開始します。会社側に保険会社・弁護士が就いている場合でも、受任弁護士が対等に交渉します。交渉で合意できない場合は訴訟(労働審判・通常訴訟)へ移行します。ブライトの実案件では、訴訟前の交渉段階で解決するケースも多く、早期解決を希望する依頼者のニーズに応えています。
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ブライトの解決事例(フォークリフト・機械事故)
事例1. フォークリフト同士の衝突2回・後遺障害14級・解決金合計188万円
同じ工場内でフォークリフト同士の衝突事故に2回遭った40代男性。頸部・腰部疼痛で後遺障害14級が残存。第1事故5万円・第2事故183万円・合計188万円の和解成立。第1事故後に十分な安全対策が講じられていなかった事実が、第2事故での会社責任の評価を高める材料となりました(笹野皓平弁護士担当)。
事例2. フォークリフト積み荷崩落・アキレス腱断裂・月20万円分割払いで完済
工場勤務の60代男性が、フォークリフトで運搬中の鉄枠の崩落を受けアキレス腱断裂・3回手術。後遺障害等級取得後、無資格運転と通路マーキング不備という2つの安全管理違反を証拠化し、月20万円・約3年間の分割払いで完済という解決を実現(有本喜英弁護士担当)。
事例3. クレーン吊具・後遺障害10級・自賠責+解決金で合計503万円
クレーン吊具に指を挟まれ後遺障害10級。ユニック車への自賠責保険適用という視点も活用し、和解解決金40万円+自賠責461万円の合計503万円を受領。弁護士費用は弁護士特約で実質ゼロ(和氣良浩代表弁護士担当)。(製造業の機械事故・巻き込まれの詳細はこちら)
時効:損害賠償請求はいつまでできるか
フォークリフト事故による損害賠償請求(生命・身体の侵害に基づく損害賠償)の時効は、改正民法(2020年4月1日以降の事故)では、損害および加害者を知った時から5年(民法724条の2・166条1項1号)です。なお、労災保険給付(療養補償・休業補償)の時効は2年、障害補償・遺族補償給付は5年と、制度ごとに異なりますので混同しないよう注意が必要です。
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よくある質問(FAQ)
Q1. フォークリフト事故の慰謝料はいくらになりますか?
事故態様・入院通院期間・後遺障害の有無・等級によって大きく異なります。後遺障害がない場合でも傷害慰謝料として通院3か月で約73万円(弁護士基準)が目安です。後遺障害が残った場合、12級で後遺障害慰謝料290万円+逸失利益200〜400万円、10級で550万円+600〜800万円が目安になります。正確な試算はブライトの無料相談でご確認ください。
Q2. 自分にも不注意があった場合でも損害賠償を請求できますか?
はい、請求できます。被災者に一定の過失がある場合でも「過失相殺」として減額されるだけで、請求権は消滅しません。会社側が強調する過失割合を弁護士が交渉で争い、適正な範囲に収めることが可能です。「自分も悪かった」と感じていても、まず弁護士に相談することをお勧めします。
Q3. 会社が労災を認めてくれない場合はどうすればよいですか?
労災保険の申請は会社の同意なしに労働者本人が直接、労働基準監督署へ申請できます。会社が協力しない・書類にハンコを押してくれない場合でも、弁護士が申請書類の作成・提出を代行します。また、会社が「業務外」と主張していても、労災認定の可否は労基署が独自に判断しますので、あきらめずに申請することが重要です。
Q4. 症状固定前でも弁護士に相談できますか?
はい、治療中・症状固定前からの相談を推奨しています。症状固定のタイミングや後遺障害診断書の記載内容が等級認定に直結するため、早期に弁護士が関与することで受取額が変わる可能性があります。「まだ治療中だから」と相談を後回しにすることで不利益を受けるケースがありますので、できるだけ早い段階でご相談ください。
Q5. 弁護士費用はいくらかかりますか?
ブライトは完全成功報酬制のため、着手金はかかりません。費用は解決時の受取額から差し引く形になります。また、任意保険に「弁護士費用特約」が付いている場合は費用が保険でカバーされます。費用の不安がある方も、まず無料相談でご確認ください。
まとめ
- フォークリフト事故の慰謝料は、労災保険では一切受け取れない。会社への損害賠償請求(安全配慮義務違反)によってはじめて請求できる
- 後遺障害等級によって慰謝料+逸失利益は数十万円〜数百万円・数千万円規模になる
- 無資格運転・安全装置未設置・通路マーキング不備は安全配慮義務違反の根拠となり、損害賠償額を増額する要因になる
- 損害賠償請求の時効は事故を知った時から5年(生命・身体侵害)。労災保険給付の時効(2年・5年)と混同しないこと
- ブライトでは後遺障害10級フォークリフト系の解決事例で最高503万円の受領実績がある
フォークリフト事故の慰謝料・損害賠償についてお悩みの方は、弁護士法人ブライトの労災専門チームへの無料相談をご活用ください。全国対応・電話・Zoom相談対応。
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