執筆・監修
笹野 皓平(ささの こうへい)
弁護士法人ブライト|労災事業部 部長
大阪弁護士会(2011年登録)|修習64期
代表監修
和氣 良浩(わけ よしひろ)
弁護士法人ブライト 代表弁護士
この記事の結論
製造業のプレス機・ベルトコンベア・フォークリフトなど機械による巻き込まれ・挟まれ事故では、会社の安全配慮義務違反(労働契約法5条)・労働安全衛生法違反を立証することで損害賠償請求が可能です。安全装置の未設置・無資格運転・安全教育不足が主な立証ポイント。ブライト解決実績:プレス機事故で解決金300万円(後遺障害12級・50代女性)・フォークリフト積み荷崩落で分割払い和解(月額20万円)。
プレス機に手を挟まれた、ベルトコンベアに巻き込まれた、フォークリフトに轢かれた——製造業の機械事故(巻き込まれ・挟まれ)は、一瞬で重篤な後遺障害をもたらします。
「労災保険を使ったから、もう会社には請求できない」と思っていませんか?労災保険では慰謝料が一切支払われず、休業損害も給付基礎日額の60%しか補填されません。会社に安全管理の問題があった場合は、損害賠償請求で追加の補償を受けられます。
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製造業の機械事故で会社が負う法的責任
機械別の安全基準と会社責任のポイント
プレス機・せん断機については、安全装置(両手操作式・光線式・ガード式等)の設置が義務付けられています(安衛則131条・134条)。安全装置の未設置・不作動のまま作業させた場合、会社の安全配慮義務違反は明らかです。作業開始前の点検・記録も義務付けられており(安衛則135条)、点検記録の欠如は会社の義務違反の証拠になります。
ベルトコンベア・ローラー等については、巻き込まれ防止のためのガード(覆い・囲い)の設置が義務付けられています(安衛則101条)。清掃・点検等の危険作業は運転停止が原則で、停止不可能な場合はガード設置・防護具使用が必要です。
フォークリフトについては、最大荷重1トン以上のフォークリフト運転には技能講習修了が義務付けられており(安衛則151条の67)、無資格者を運転させた場合は会社の過失が明確です。作業通路のマーキング・歩行者との分離・バックブザーの動作確認も義務(安衛則151条の3)。
「初めての機械操作」「安全教育なし」は責任が重い
ブライトが実際に対応した案件では、「プレス機を初めて操作した際に安全装置の説明が不十分だった」という事実が会社の過失として認定されています。初回・不慣れな機械操作で事故が発生した場合は、会社の安全教育義務違反(安衛法59条)が問われやすい状況です。
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証拠収集のポイント
- 死傷病報告書・災害調査復命書:労働基準監督署への情報開示請求で入手可能
- 機械の点検記録:安全装置の動作確認・定期自主検査の実施状況
- 運転者の技能講習修了証のコピー:フォークリフト・クレーン等の資格確認
- 作業指示書・安全教育記録:危険性の説明が行われていたか
- 5号用紙(会社作成の事故報告書):事実と異なる記載がある場合は修正申し入れが可能
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損害賠償で請求できる項目と金額の目安
機械事故でよく残る後遺障害と賠償額の目安
| 後遺障害等級 | 製造業機械事故での主な症状 | 後遺障害慰謝料(弁護士基準) |
|---|---|---|
| 6〜8級 | 手・指の切断・高度の機能障害 | 512〜830万円 |
| 9〜10級 | 指・手の関節機能障害 | 550〜690万円 |
| 12〜14級 | 指の可動域制限・局部神経症状 | 94〜290万円 |
労災保険でカバーされない損害項目
- 慰謝料(入通院・後遺障害):労災保険に慰謝料の概念はなく、一切支払われません
- 休業損害の差額20%:労災保険の休業補償給付は給付基礎日額の60%。残り40%のうち特別支給金20%を除く20%は会社への請求が必要
- 逸失利益の不足分:障害補償給付では将来の収入損失の全額を補填できません
損害賠償請求権の時効は、損害および加害者を知った時から5年(改正民法724条の2・166条1項)です。症状固定の時点が通常の起算点となります。労災保険給付の時効(療養・休業補償は2年、障害補償は5年)とは別計算ですので注意が必要です。
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弁護士法人ブライトの解決事例
事例1. プレス機で指が挟まれ後遺障害12級・解決金300万円(製造業パート・50代女性)
製造会社のパート社員として勤務する50代の女性が、動力プレス機を初めて操作した際に指が挟まれ、後遺障害12級が残存した事例です。初めての機械操作にもかかわらず安全装置の説明が不十分だったことが問題となりました。ブライトは、プレス機の安全装置の有無と安全教育体制を分析し、内容証明送付後の交渉を経て解決金300万円で和解成立(依頼者手残り約222万円)を実現しました。
担当弁護士のコメント
「プレス機事故では安全装置の有無が責任論の中心になります。今回は初回操作中の事故であったため、会社の安全教育体制にも問題があると判断しました」(笹野 皓平 弁護士)
事例2. フォークリフト積み荷崩落・アキレス腱断裂3回手術・分割払い和解(工場・60代男性)
製造会社に15年以上勤務する60代男性が、フォークリフトで運搬中の鉄枠の積み荷が崩落し、左足アキレス腱を断裂。3回にわたる手術を余儀なくされました。フォークリフトの無資格運転・作業通路マーキング不備など会社側の安全管理に複数の問題点が判明しました。ブライトは情報開示請求で証拠を確保し、合意書に基づく分割払い(月額20万円)による解決を実現しました。
事例3. 勤務初日にフォークリフトに轢かれ骨折・訴訟提起(工場パート・30代女性)
工場に勤務開始した初日に、後方走行中のフォークリフトに接触し、左脛骨骨幹部骨折・立方骨骨折を負った30代女性の事案。ブライトは損害賠償請求訴訟を提起し、5号用紙の記載修正を労基署へ申し入れ、協力医に医学意見書を依頼して後遺障害立証を進めています。
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よくある質問(FAQ)
Q1. プレス機に手を挟まれました。安全装置はありましたが説明がありませんでした。会社に請求できますか?
安全装置の説明・安全教育の実施は会社の義務です(安衛法59条)。特に初めての機械操作で説明が不十分だった場合は、安全教育義務違反として会社の過失が認定されやすい状況です。ブライトには同様の案件で300万円の解決実績があります。
Q2. ベルトコンベアに巻き込まれました。機械に問題はありませんでしたが会社に請求できますか?
機械自体に問題がなくても、作業手順の指示・危険区域への立入管理・安全教育に問題があった場合は安全配慮義務違反となります。清掃・点検時の機械停止義務の有無も重要な論点です。まずは弁護士にご相談ください。
Q3. 機械事故でパートやアルバイトでも会社に損害賠償を請求できますか?
雇用形態にかかわらず、会社の安全配慮義務は同様に適用されます。ブライトではパート社員(50代女性)のプレス機事故で解決金300万円の実績があります。
Q4. 事故当日に会社に「訴えないでほしい」と言われました。口頭で約束してしまいました。
口頭での約束に法的拘束力はありません。書面に署名した場合でも、内容が著しく不当な場合は弁護士が争える可能性があります。諦めずにまず弁護士にご相談ください。
Q5. 後遺障害認定を受けました。今から損害賠償請求できますか?
後遺障害認定後からでも損害賠償請求は可能です。ただし、時効(損害・加害者を知った時から5年)に注意が必要です。後遺障害認定後は賠償額の計算がより確定的になるため、交渉を進めやすい段階でもあります。
Q6. 機械事故の損害賠償請求の時効はいつまでですか?
生命・身体の侵害による損害賠償請求権の時効は、損害および加害者を知った時から5年(改正民法724条の2)です。症状固定の時点が通常の起算点となります。労災保険給付の時効(療養・休業補償は2年、障害補償は5年)とは別の計算なので混同しないことが重要です。
まとめ
- 製造業の機械事故(プレス機・ベルトコンベア・フォークリフト等)では、安全装置の未設置・無資格運転・安全教育不足が立証できると損害賠償請求が可能(労働契約法5条・民法415条)
- 労災保険でカバーされない慰謝料・休業損害差額・逸失利益は会社への損害賠償請求でのみ回収可能
- 「初めての機械操作」「不十分な安全説明」は会社の安全教育義務違反(安衛法59条)として責任が重くなる
- 口頭での「訴えないでほしい」という約束に法的拘束力はない
- ブライト解決実績:プレス機事故で解決金300万円(後遺障害12級・50代パート女性)・フォークリフト積み荷崩落で分割払い和解(月額20万円)
- 損害賠償請求の時効(生命・身体侵害)は損害・加害者を知った時から5年(民法724条の2)
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