Amazonの売上金が90日以上留保されたまま返ってこない|留保解除と不当利得返還を弁護士が解説

Amazonの売上金が90日以上留保されたまま返ってこない|留保解除と不当利得返還を弁護士が解説

和氣 良浩

監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会

弁護士歴20年目。大阪で中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上に透明性の高いリーガルサポートを実践している。

「アカウントが停止されて3か月が過ぎた。売上金がまだ留保されたままだ」「90日経っても何の説明もなく送金されない」——このような状態が続いているAmazonセラーからの相談は増えている。

Amazonは利用規約上、返金・返品リスクへの備えとして一定期間、売上金を留保することができる。しかし、90日以上が経過し、返品・返金の可能性も消滅しているのに留保が続く場合、その留保の法的根拠は別に問われる。

この記事では、長期留保の法的問題と「不当利得返還」という法的手段を、大阪の弁護士が解説する。なお、この記事は一般的な情報提供であり、個別の法的判断は弁護士への相談が必要だ。

90日以上留保が続いている方、法的手段を確認する

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1. Amazonが売上金を「留保」する仕組みと期間

留保とは何か

Amazon出品者アカウントの「支払い」ページを見ると、「転送予定額」「保留中の支払い」「調整」などの項目がある。アカウントが停止・閉鎖になると、この「保留中の支払い」が動かなくなる。

Amazonが売上金を留保する目的として利用規約が掲げるのは、主に以下の2点だ。

  1. 返品・返金・A-to-Z保証申請・チャージバック等の将来発生リスクへの備え
  2. 規約違反調査期間中の資金保全

「90日」という期間の意味

Amazonの返品ポリシーは通常、商品到着後30日以内が基本だ(カテゴリにより異なる)。A-to-Z保証の申請期限は、配達予定日から90日とされている。

つまり、90日を超えた時点では、通常の返品・A-to-Z保証の申請は期間経過で受け付けられない可能性が高い。返金リスクの根拠が消えているにもかかわらず留保が続く場合、「将来の損害担保」という留保目的が実質的に失われている状態になる。

長期留保が問題になるケース

次のような状況が重なると、留保の正当性が法的に問われる可能性がある。

  • 返品・返金申請期間がすでに経過している
  • Amazonから新たな損害額の提示や説明がない
  • 「調査中」という理由のみで、いつ解除されるか不明なまま数か月が経過
  • アカウントが恒久停止・閉鎖となり、今後の取引も生じない

Amazonの売上金留保 長期化の問題構造

期間 状況 留保の正当性
停止直後〜30日 返品期間・調査開始 合理性が認められやすい
30日〜90日 A-to-Z保証申請期限内 まだ担保目的が存在する
90日以上 返品・A-to-Z保証の申請期限経過 担保目的が実質消滅→不当利得になる可能性

※A-to-Z保証の申請期限は配達予定日から90日(Amazonポリシー)。ただし個別案件の事情により異なる場合あり。

2. 「不当利得返還」とは何か

民法上の不当利得返還の考え方

民法703条は「法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者は、その利益を返還する義務を負う」と定める。

Amazonが留保している売上金は、もともとセラーが受け取るべき財産だ。その支払いが止まっていることで、Amazonは利益(資金の保有)を受け、セラーは損失(資金の未回収)を被っている。留保に法律上の正当な根拠がなくなった時点から、不当利得返還請求が成立する余地が生まれる。

不当利得と「担保目的の留保」の境界

Amazonは「損害担保のために留保している」と主張するだろう。これが法的に認められるためには、少なくとも以下が必要になると考えられる。

  • 具体的な損害の発生(またはその相当な蓋然性)が存在すること
  • 損害額の範囲が合理的に算定されていること
  • 留保額が損害額と比例していること(全額・無期限・包括留保はこの要件を満たしにくい)

これらを立証できない状況での留保は、不当利得になる可能性がある。

関連する主な法的根拠

  • 民法703条(不当利得返還):法律上の原因なく利益を受けた者は返還義務を負う
  • 民法704条(悪意の受益者):悪意の受益者は受けた利益に利息を付して返還し、なお損害があれば賠償義務を負う
  • 民法415条(債務不履行):売上金の支払い義務を履行しない場合、損害賠償請求の根拠になり得る

根拠条文:民法703条・704条・415条

留保の法的根拠を弁護士に確認する

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3. 弁護士による請求の流れ

ステップ1:受任判断(事情ヒアリング)

アカウント停止の原因・留保残高の規模・経過期間・Amazonとのやり取りの履歴を弁護士が確認し、受任可否を判断する。刑事犯罪が関係するケースは受任しない。

ステップ2:内容証明郵便による請求書送付

弁護士名義で内容証明郵便を送付し、留保の法的根拠の開示・留保額の説明・返還期限の設定を求める。この時点でAmazonが対応(交渉・返還)することがある。

ステップ3:交渉または訴訟

内容証明に対するAmazonの回答を踏まえ、交渉または訴訟を選択する。訴訟の場合、管轄(BSAの仲裁条項等)の取り扱いが論点になるため、弁護士の判断が必要だ。

ステップ4:解決

和解または判決による解決。弁護士法人ブライトの報酬は回収額の20〜30%(税別)の成功報酬型を基本としている。実費・回収不能時の負担は相談時にご案内する。

4. 長期留保に備えて今できること

長期留保が続く間に、以下を記録・保全しておくことを勧める。

  • Amazonセラーセントラルの「支払い」「残高」「保留中の支払い」のスクリーンショット(定期的に保存)
  • Amazonから届いた通知・メールの保存
  • 送付したアピール内容とAmazonの返答の保存
  • 仕入証憑・納品書・請求書(正規ルートでの仕入れを示す書類)

これらは、後に法的手続きを進める際の証拠となる。時間が経つほど取得が難しくなる資料もあるため、早めの保全を推奨する。

5. 大阪の弁護士法人ブライトへのご相談

弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は、大阪を拠点に中小企業の企業法務・外部法務部機能を提供している。顧問先130社以上の実名を公開しており、弁護士歴平均14年以上のチームが対応する。

Amazonセラーの売上金留保・返還請求は、売掛債権の回収請負代金の回収と法的構造が共通する部分が多く、金銭回収の実務経験を持つチームが担当する。

大阪・梅田での対面相談のほか、オンライン・電話での相談も対応している。企業法務トップページも参考にしてほしい。

長期留保について、今すぐ弁護士に相談する

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よくある質問

売上金が90日以上留保されたままですが、これは違法ですか?

一概に違法とは言えませんが、返品・返金リスクが消滅した後も留保が続く場合は、不当利得返還の問題が生じる可能性があります。90日を超えてもAmazonから留保の根拠・期間・解除条件について具体的な説明がない場合は、弁護士への相談を検討してください。大阪の弁護士法人ブライトでも対応しています。

不当利得返還請求に時効はありますか?

あります。不当利得返還請求権は、民法上、権利を行使できることを知った時から5年(または権利が発生した時から10年)で消滅時効にかかります(民法166条)。留保が長期化するほど時効の問題が生じる可能性があるため、早めの相談をお勧めします。

Amazonに内容証明を送っても無視されませんか?

弁護士名義の内容証明を無視し続けることは、企業として法的リスクが大きくなります。Amazonほどの大企業であれば、弁護士からの正式な請求書を受け取った場合、対応窓口を通じて何らかの反応がある場合が多いです。内容証明後に交渉が始まったケースも実際に存在します。まずは弁護士にご相談ください。

留保が解除されたことを確認する方法はありますか?

Amazonセラーセントラルの「支払い」ページで確認できます。「保留中の支払い」がゼロになり「転送予定額」に表示が移れば、留保が解除された状態です。アカウントが閉鎖・アクセス不能の場合は、弁護士を通じてAmazonに書面で残高証明・支払い状況の開示を求める方法もあります。

時効が来る前に、まずご相談を

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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。
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