カスハラとは|定義・罰則・対応フロー・業種別対応まで企業の完全ガイド【弁護士解説】

カスハラとは|定義・罰則・対応フロー・業種別対応まで企業の完全ガイド【弁護士解説】

2025年4月から施行される東京都カスタマー・ハラスメント防止条例に対応するための企業向けガイドラインを徹底解説。カスハラガイドラインに基づく基本方針の策定から相談窓口の設置、従業員保護対策まで、企業が今すぐ実践すべき具体的な対応策をわかりやすく紹介。事例を交えながら、法的責任を果たしつつ従業員と顧客の良好な関係を構築するためのポイントを網羅しています。

和氣 良浩

監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会

大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上に透明性の高いリーガルサポートを実践している。

「お客様対応が限界を超えている。でも会社として何ができるかわからない。」

カスタマーハラスメント(カスハラ)への対応は、感情論ではなく法的な枠組みで判断する経営課題です。2025年6月に公布された改正労働施策総合推進法(2026年10月1日施行)により、事業主のカスハラ対策措置義務が明確化されました。企業規模を問わず、対応の枠組みを整えることは法的義務となっています。

このページは、カスハラに直面した大阪・近畿の中小企業の経営者・総務部長が「何から手をつけるか」を判断するための正規ハブページです。定義・罰則・対応フロー・相談窓口・業種別対応まで、15本以上の詳細解説ページへの入り口として機能します。

カスハラ対応、どこから手をつけるかわからない方へ

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1. カスハラとは何か——定義・線引き・厚生労働省指針の核心

カスタマーハラスメント(カスハラ)の定義は、厚生労働省が2022年2月に公表した「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」に明記されています。

厚生労働省によるカスハラの定義(2022年マニュアル)

  • 顧客等からのクレーム・言動のうち
  • 要求内容の妥当性に照らして、要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当であり
  • 就業環境が害されるもの

根拠:厚生労働省「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」2022年2月

重要なのは「要求の内容」ではなく「手段・態様」で判断する点です。製品不良に対する返金要求は正当なクレームです。しかし、返金を求めながら2時間怒鳴り続ける、担当者個人を攻撃する、SNSで拡散すると脅す、という手段は「社会通念上不相当」と評価されます。

カスハラの具体的な行為類型

行為類型 具体例
身体的攻撃 暴行・傷害(刑法208条・204条が適用)
精神的攻撃 侮辱・名誉毀損・脅迫・暴言(刑法222条・230条・231条が適用)
不当要求 土下座強要・過剰な謝罪・金品要求・交換に応じない要求
業務妨害 長時間・繰り返しのクレーム電話・不退去(刑法234条・130条が適用)
個人攻撃・拡散脅し SNS投稿・口コミ投稿の脅し・特定従業員への執拗な接触

正当なクレームとカスハラの判断基準

現場で判断が難しいのは「どこまでが正当なクレームか」です。判断の軸は2点です。

  • 要求の内容が合理的か:製品不良への返金・謝罪・改善要求は正当
  • 手段・態様が相当か:社会通念上の許容範囲を超えた言動はカスハラ

例として、「クレームを入れるために30分並んで話した」は正当なクレーム対応の範囲です。しかし、「閉店後も居座り、退去要求を無視して2時間説明を求め続ける」は不退去罪(刑法130条)が成立しうる状況です。大阪の飲食・小売業では、顧問弁護士に相談した結果「これはカスハラです。法的措置を取れます」と明確化できたことで、担当スタッフが自己責任視をやめ、毅然と対応できた事例が複数あります(匿名化・一次情報由来)。

→ 詳細な判断基準についてはカスハラ判断基準・正当なクレームとの線引き【弁護士解説】をご覧ください。

「これはカスハラか」の判断から弁護士がサポートします

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2. カスハラの罰則・法的根拠——企業が使える法律ツール

カスハラに直接の罰則規定を設けた単独法はまだ存在しません(2026年6月時点)。ただし、行為類型に応じて複数の既存法令を適用できます。

カスハラ行為に適用される主要法令

  • 刑法208条(暴行罪):身体への有形力の行使
  • 刑法204条(傷害罪):傷害を負わせた場合。懲役15年以下または罰金
  • 刑法222条(脅迫罪):「どうなっても知らないぞ」等の害悪の告知。2年以下懲役または30万円以下罰金
  • 刑法249条(恐喝罪):恐怖心を利用した財物・利益の要求。10年以下懲役
  • 刑法234条(威力業務妨害罪):繰り返しクレーム・大声による業務の不能化。3年以下懲役または50万円以下罰金
  • 刑法130条(不退去罪):退去要求を無視して居座る。3年以下懲役または10万円以下罰金
  • 刑法230条(名誉毀損罪)刑法231条(侮辱罪):SNS投稿・口コミ
  • 民法709条(不法行為):損害賠償請求の根拠
  • 改正労働施策総合推進法(2026年10月1日施行):事業主のカスハラ対策措置義務を明記

東京都カスハラ防止条例(2024年10月施行)の影響

東京都が全国初となる「カスタマーハラスメント防止条例」を2024年10月に施行しました(東京都条例第168号)。大阪・近畿では現時点(2026年6月)で同等の条例は施行されていませんが、東京都条例が全国的な立法の先例となり、大阪府でも議論が進んでいます。東京都条例の核心は「カスハラをしてはならない」という行為者への義務規定と、事業者が対策を講じる努力義務を明記した点です。

→ 条例・法改正の詳細はカスハラ防止条例と法改正の動向【弁護士解説】をご覧ください。

→ 罰則・刑事手続きの詳細はカスハラの罰則・刑事責任【弁護士解説】をご覧ください。

3. 企業が取るべき対応フロー——発生から法的措置まで7段階

カスハラは発生してから動き始めると対応が後手に回ります。会社として「どの状況になったら何をするか」のフローを事前に決めておくことが最重要です。

段階 フェーズ 具体的な行動
1 記録・録音 対応開始から記録。電話は「録音しています」を冒頭告知。来店は日時・言動・対応者を書面記録
2 上長への即時報告 一定の時間・回数(社内基準に基づく)を超えたら、担当者一人で対応を続けない
3 窓口一本化 「担当者は〇〇のみ。他のスタッフは対応不可」と明示。電話はいったん折り返しに切り替える
4 顧問弁護士への相談 「これはカスハラか」の判断から、書面送付・法的措置の方針を即日で確認できる体制
5 弁護士名義の警告書 書面で「これ以上の行為は法的措置を取る」と通知。多くのケースはこの段階で収束
6 出禁・取引停止 財産権(民法206条)に基づく正当な権利行使として来店禁止を通知。不退去には刑法130条を適用
7 警察・法的措置 刑事告訴・被害届・民事訴訟(損害賠償請求)へ移行。記録の蓄積がここで機能する

対応フローを顧問弁護士と一緒に整備したい方へ

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4. 就業規則・対応マニュアルの整備——2026年法改正で義務化された対策

2025年6月に公布された改正労働施策総合推進法は2026年10月1日に施行されます。事業主にカスハラ対策の措置義務が課せられ、「知らなかった」では済まなくなります。

就業規則へのカスハラ条項の盛り込み方

就業規則にカスハラ条項を明記することで、「会社の方針に基づいて対応を打ち切ることができる」という法的根拠が生まれます。ポイントとなる記載事項は2つです。

  • 「従業員はカスハラと判断した場合、上長の指示のもとで対応を終了することができる」
  • 「会社はカスハラ行為への対応として、弁護士への相談・警察への相談・法的措置を含めた対応を行う」

対応マニュアルに盛り込む5要素

  • カスハラの定義と判断基準(自社業種に合わせた具体例付き)
  • 対応フロー(段階別の行動指示。「何時間で上長に引き継ぐか」を数値で決める)
  • 記録様式(日時・相手・言動・対応内容・次のアクション)
  • エスカレーションルール(「上長への報告は弱さではなく正しい手順」という文化を明示)
  • 弁護士連携のタイミング(警告書送付・法的措置の判断ラインを事前に決定)

→ 詳細な就業規則の書き方と体制整備の手順はカスハラ対策義務化|企業が取るべき就業規則整備・体制構築の全手順【弁護士解説】で解説しています。

→ 義務化法改正の詳細はカスハラ対策の法改正・義務化(2025年)|企業が今すぐ取るべき対応ガイドで解説しています。

5. カスハラ相談窓口の設置——内部・外部窓口の選び方

改正労働施策総合推進法は、相談窓口の設置を義務化の対象措置として明記しています。従業員が「言いにくい」と感じる環境では、カスハラ被害が上長に届かないまま深刻化します。

  • 内部窓口:人事担当者・管理職・コンプライアンス部門が対応。「上長がカスハラを軽視している」場合に機能しないリスクがある
  • 外部窓口(顧問弁護士:従業員が経営者・上長への遠慮なく相談できる。匿名での一次相談にも対応可能

大阪・近畿の中小企業では、顧問弁護士が外部相談窓口を兼ねることで、カスハラの早期発見・早期対応が実現しているケースが増えています(顧問先130社以上での実践事例・弁護士法人ブライト)。

→ 詳細はカスハラ相談窓口の設置方法|内部・外部窓口の選び方・運用ルール・義務化対応【弁護士解説】をご覧ください。

6. 弁護士に相談すべきケース——判断のライン

すべてのカスハラ事案で最初から弁護士を使う必要はありません。ただし、以下のいずれかに該当する場合は早期の弁護士相談が有効です。

  • 脅迫・恐喝の言動がある(「訴えてやる」「SNSに晒す」等)
  • 担当者が精神的・身体的に疲弊している(安全配慮義務違反リスク)
  • 繰り返しのクレームが1か月以上続いている
  • 書面・内容証明を送る・受け取る状況になっている
  • 相手から民事訴訟を起こされる可能性がある
  • 警察に被害届を出すかどうか判断に迷っている

弁護士名義の警告書を送るだけで収束するケースが大半です。一方、スポット依頼(都度依頼)では「相談→方針決定→書面送付」に1〜2週間かかり、その間に状況がエスカレートします。顧問弁護士がいれば即日で方針を確認でき、書面も翌日には送れます(大阪・宿泊施設での実例・匿名化)。

→ 詳細はカスハラを弁護士に相談すべき理由【企業・経営者向け】|判断基準・対応フロー・費用【弁護士解説】をご覧ください。

カスハラが起きてから動くより「起きる前の体制整備」が重要です

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7. 業種別カスハラ対応——自社の業種を選んで確認

カスハラの具体的な行為類型と法的対応は、業種によって異なります。業種別の詳細解説ページを用意しています。

業種 特徴的なカスハラ事案 詳細ページ
医療・病院 診察室での暴言・医師への不当要求・不退去 医療・病院のカスハラ対応
介護 利用者・家族からの暴力・過度な要求・SNS拡散脅し 介護業のカスハラ対応
飲食 異物混入クレームの悪用・長時間居座り・土下座強要 飲食業のカスハラ対応
ホテル・宿泊 チェックアウト拒否・部屋のアップグレード強要・恐喝的要求 ホテル・宿泊業のカスハラ対応
不動産 管理会社へのクレーム長期化・修繕要求のエスカレート 不動産業のカスハラ対応
タクシー・バス 乗客による暴言・暴行・遠回り要求・降車後のクレーム タクシー・バス業のカスハラ対応
民泊・旅館 チェックアウト後の不当補償請求・SNS脅迫 民泊・旅館業のカスハラ対応
労災認定 カスハラを受けた従業員の労災認定と企業の安全配慮義務 カスハラ労災認定と企業対策

8. テーマ別詳細解説ページ一覧

定義・判断基準

対応・手続き

体制整備・義務化対応

条例・訴訟対応

関連する企業法務テーマ

よくある質問

カスハラとクレームの違いは何ですか?大阪でも同じ基準ですか?

カスハラと正当なクレームの違いは「要求の内容」ではなく「手段・態様」で判断します。製品不良への返金要求は正当なクレームです。ただし、2時間怒鳴り続ける・担当者個人を攻撃する・SNSで拡散すると脅すといった手段が「社会通念上不相当」と評価されればカスハラに該当します。この基準は大阪でも東京でも全国共通です(厚生労働省ガイドライン・2022年2月公表)。

カスハラをした顧客に対して損害賠償を請求できますか?

民法709条(不法行為)に基づく損害賠償請求は可能です。従業員が精神的損害(うつ病・適応障害等)を受けた場合は特に有力な根拠になります。ただし、損害額の立証・相手の資力・訴訟コストとの比較が必要なため、弁護士との相談のうえで請求方法(訴訟・内容証明・交渉)を選択することをお勧めします。弁護士法人ブライトでは大阪を中心に企業のカスハラ対応を支援しています。

2026年のカスハラ義務化で、中小企業も対応が必要ですか?

2026年10月1日施行の改正労働施策総合推進法は企業規模を問わず適用されます。中小企業であっても、カスハラへの対応方針策定・相談窓口設置・事後対応措置が義務として求められます。規模に応じた合理的な措置が認められますが、まず就業規則へのカスハラ条項追加・社内周知から始めることが実務的な出発点です。顧問弁護士がいれば、業種・規模に合わせた整備をサポートできます。

顧客を出入り禁止(出禁)にできますか?法的な根拠は何ですか?

店舗・施設への出入り禁止措置は、財産権(民法206条)に基づく正当な権利行使として可能です。事前通知なしの出禁も法的には許容されますが、書面で通知のうえ実施するほうが対応としての説得力があります。出禁後も不退去の場合は刑法130条(不退去罪)が成立しうるため、警察への通報も選択肢となります。出禁通知の書面作成は弁護士法人ブライトが対応しています(大阪・近畿エリア)。

カスハラ対応を顧問弁護士に頼む場合の費用と流れは?

弁護士法人ブライトの顧問弁護士サービス「みんなの法務部」では、警告書の送付・法的措置への移行判断・社内規程整備のアドバイスを顧問契約の範囲でサポートしています。スポット依頼では警告書送付のみでも数十万円になるケースがありますが、顧問契約があれば対応スピードと費用効率が大きく改善します。まず無料相談でご自社の状況をお聞かせください。電話:0120-929-739(受付9:00〜18:00)

カスハラ対応を「仕組み化」して従業員を守りたい方へ

弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。

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飲食・小売・サービス業の店員へのカスハラ対応(具体的な法的手順・実務対策)については、こちらの記事で詳しく解説しています。
飲食・小売業の店員へのカスハラ対応はこちら

カスタマーハラスメント対策を会社として整備したい経営者の方へ

2026年10月1日から、カスハラ対策はすべての企業の義務になります。弁護士法人ブライト(大阪)は、就業規則・対応フローの整備から悪質クレームの個別対応まで一貫してサポートします。
カスタマーハラスメント対応サービスの詳細はこちら

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。
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