監修:和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会 大阪を拠点に、中小企業の企業法務と顧問弁護士サービスを提供。顧問先142社の外部法務部として、契約・債権回収・不動産賃貸のトラブルに伴走している。 毎月、滞納の一覧が数十件単位で上がってくる。督促状を送り、電話をかけ、つながらなければ訪問する。その繰り返しの中で、担当者が一度は迷う場面があります。「この先は、うちがやってよいのだろうか」という場面です。 分割払いの相談に応じてよいのか。入居者が「修繕してくれないから払わない」と言い出したら、誰が交渉するのか。退去の話まで管理会社が進めてよいのか。この線を曖昧にしたまま件数を回すと、弁護士法72条(非弁行為の禁止)や自力救済の禁止に触れるおそれが出てきます。 この記事は、滞納を件数で扱う賃貸管理会社・家賃保証会社・法人オーナーの担当者に向けて、自社でやってよい督促と、自社ではやってはいけない督促の線引きを、条文と最高裁判所の判断に沿って整理したものです。社内の督促マニュアルにそのまま転記できるよう、早見表を中心にまとめています。なお、個別の案件がどちらに当たるかは事情によって判断が分かれます。迷う案件は、この記事だけで結論を出さず、弁護士に確認してください。 「どこまで自社でやってよいか」を一度整理しませんか 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問より一歩、会社の中へ入って伴走します。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上。督促の線引きの確認から、滞納案件を件数ごと預ける形まで、大阪の事務所でご相談をお受けしています。 保証会社・管理会社向けのご依頼の受け方を見る 外部法務部サービスを見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00) 結論:自社でできる督促・できない督促の早見表 先に結論を示します。家賃の督促で自社が担えるのは、争いのない家賃について、支払いを促し、入金を受け、記録を残すところまでです。相手が支払義務や金額を争い始めた時点、あるいは契約の解除・明渡しに話が進んだ時点で、その案件は「法律事件」の性格を帯びます。そこから先の交渉・代理は、弁護士に渡すのが原則です。 下の表は、管理会社がオーナー(賃貸人)から委託を受けて督促する場面を想定しています。保証会社が自社の求償債権を回収する場面は、次の章で別に整理します。 督促の場面 判定 理由・注意点 支払期日の案内・請求書や督促状の送付(オーナー名義または管理会社名で、事実だけを記載) 自社で可 争いのない家賃の支払いを促す事務。文面に脅すような表現・事実と異なる法的措置の予告を入れない 電話・SMS・メールでの支払いの確認 自社で可 時間帯・回数・言葉づかいに配慮する。勤務先・家族への連絡は原則避ける 入金の受領・入金状況の管理 自社で可 管理委託契約の範囲内で行う。家賃等の分別管理は賃貸住宅管理業法上の義務 入居者から「来週払う」と支払日の申し出を受けて記録する 自社で可 申し出をそのまま記録してオーナーに報告する。条件をつけて交渉しない 分割払いの申し出を受け、オーナーの承諾を得て事務的に伝える 要注意 条件を決めるのはオーナー。管理会社が独自の判断で減額・免除・分割条件を決めて合意させるのは避ける 入居者が「修繕されていないから払わない」など支払義務を争う 不可 法的な言い分が出た時点で紛争性がある。反論・交渉は弁護士へ切り替える 「払わなければ訴える」「明日までに出ていけ」と伝える 不可 威圧的な告知は刑法(脅迫・強要)に触れるおそれ。実行予定のない法的措置の予告も避ける 契約解除の通知・退去(明渡し)の交渉を代理で行う 不可 解除・明渡しは紛争性が高く、最高裁判所も立退き交渉について弁護士法72条違反を認めている 鍵の交換、室内への立入り、荷物の搬出・処分 不可 自力救済の禁止に当たる。不法行為責任・刑事責任の問題になり得る 連帯保証人・相続人への請求交渉の代理 不可 新たな当事者との間で法的な争点(保証の有効性・相続の範囲)が生じやすい 自社の督促マニュアルが線を越えていないか確認したい方へ 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問より一歩、会社の中へ入って伴走します。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上。文面・手順の点検から承ります。 保証会社・管理会社向けのご依頼の受け方を見る 外部法務部サービスを見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00) 線引きの根拠は弁護士法72条|禁止されている行為の中身 早見表の「不可」の多くは、弁護士法72条から来ています。条文は次のとおりです。 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。(弁護士法72条) 問題になるのは「報酬目的」「業として」「他人の法律事件」の3点がそろう場面 72条が禁じるのは、①報酬を得る目的で、②業として(反復継続して)、③他人の法律事件について、代理や和解などの法律事務を取り扱うことです。 管理会社は、オーナーから管理委託料を受け取り、毎月多数の物件で督促を繰り返しています。つまり①②は、多くの場合そろっている前提で考えるべきです。したがって実務上の分かれ目は、扱っている案件が「法律事件」の性格を帯びているか、そして自社がしているのが「代理・交渉」なのか、単なる「事務」なのか、の2点になります。 争いのない家賃について支払日を案内し、入金を確認するのは、紛争を解決する事務ではありません。一方、入居者が支払義務を争い、その言い分に反論して条件を詰めていくのは、紛争の解決そのものです。同じ「督促」という言葉でも、中身はまったく違います。 最高裁判所平成22年7月20日決定|立退き交渉は「その他一般の法律事件」 管理会社・不動産会社にとって最も参考になるのが、最高裁判所第一小法廷平成22年7月20日決定(平成21年(あ)第1946号・刑集64巻5号793頁)です。 この事件では、弁護士資格のない不動産会社が、ビルの所有者から委託を受け、報酬を得て、ビルの賃借人74名と賃貸借契約の合意解除・明渡しの交渉を行いました。最高裁判所は、この業務が「立ち退き合意の成否、立ち退きの時期、立ち退き料の額をめぐって交渉において解決しなければならない法的紛議が生ずることがほぼ不可避である案件」に係るものであり、弁護士法72条にいう「その他一般の法律事件」に関するものだと判断し、同条違反の罪の成立を認めました。 この決定は、賃借人に不安や不快感を与える振る舞いがあったという具体的な事情も踏まえた判断です。ただ、「賃借人と契約の終了・明渡しを交渉する業務は、法的紛議がほぼ避けられない」という見方が示された点は、管理会社が退去交渉を引き受けるかを判断するうえで重く受け止めるべきです。 違反したときの責任と、弁護士側の義務 72条違反には、2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金という罰則があります(弁護士法77条3号)。会社として督促業務を受けている以上、担当者個人の問題では終わりません。 また、弁護士の側にも、72条に違反する者から事件の周旋を受けてはならないという義務があります(弁護士法27条)。さらに、依頼者の紹介に対する謝礼その他の対価を支払うことも受け取ることも、弁護士職務基本規程13条で禁じられています。弁護士法人ブライトが、ご紹介に対する謝礼・対価を、名目や金額の決め方を問わず一切授受しないのは、これらの規定があるためです。 ⚖️ 督促の線引きに関わる主な規定 弁護士法72条:報酬目的で業として他人の法律事件の代理・和解などを扱うことの禁止 弁護士法73条:他人の権利を譲り受けて、訴訟・和解などでその権利を実行することを業とすることの禁止 弁護士法77条:72条・73条違反などは2年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金 弁護士法27条:弁護士は72条〜74条に違反する者から事件の周旋を受けてはならない 根拠:弁護士法27条・72条・73条・77条(e-Gov法令検索で2026年9月30日に条文を確認) 管理会社・保証会社・オーナー会社で線引きはどう変わるか 同じ滞納でも、誰の債権を回収しているのかで、72条との距離は変わります。社内で線を引く前に、自社がどの立場で動いているかを確認してください。 立場 回収している債権 72条との関係 特に注意する場面 賃貸管理会社 オーナーの家賃債権(他人の債権) 争いが出た時点で「他人の法律事件」に近づく 分割・減額の交渉、解除通知、退去交渉、連帯保証人への請求 家賃保証会社(代位弁済後) 自社の求償債権(自分の債権) 自社の債権を自社で回収する限り、72条の「他人の事件」ではない オーナーの明渡し請求や、保証範囲外の債権(原状回復費など)まで代わりに交渉すること 法人オーナーの管理部門 自社の家賃債権(自分の債権) 自社の債権なので72条の問題は生じにくい 自力救済の禁止・督促方法の規制は同じようにかかる 賃貸管理会社|「オーナーの代わりに交渉する」ところで線を越えやすい 管理会社は、賃貸住宅管理業法上、維持保全とあわせて家賃・敷金などの金銭の管理を行う事業者です(賃貸住宅管理業法2条2項)。家賃の入金管理や支払いの案内は、この業務の延長にあります。 難しいのは、入居者の言い分が出たあとです。たとえば「エアコンが壊れたまま直らないので、その分は払わない」という主張は、賃料減額や同時履行の抗弁といった法的な論点を含みます。ここで管理会社が「では今月は半額で」とオーナーに代わって落としどころを決めるのは、他人の法律事件について和解の交渉をしていると見られるおそれがあります。言い分が出たら、内容を記録してオーナーに報告し、対応方針はオーナーと弁護士で決めるのが安全です。 家賃保証会社|自社の求償債権と、オーナーの請求を混ぜない 保証会社が代位弁済をしたあとに入居者へ請求するのは、自社が取得した求償権の行使です。自社の債権を自社で回収する限り、72条の「他人の法律事件」には当たりません。 注意が要るのは、保証会社がオーナーのための交渉まで一緒に引き受けてしまう場面です。契約の解除や明渡しを求めるのは、原則として契約当事者であるオーナーです。オーナーのために保証会社が退去交渉を行う、保証の範囲外の請求をオーナーに代わって交渉する、といった動き方は、他人の事件の取扱いになり得ます。また、他人の債権を譲り受けて訴訟や和解で回収することを業とするのは、弁護士法73条で禁じられています。 弁護士法人ブライトが、求償債権の回収は保証会社をご依頼者、解除・明渡しはオーナーをご依頼者として、案件を分けてお受けしているのもこのためです。同じ物件でも、2つの請求は立場が違います。 債権回収会社(サービサー)は法律上の例外だが、対象は限られている 72条のただし書が想定する「他の法律に別段の定め」の代表が、債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)です。法務大臣の許可を受けた株式会社は、弁護士法の特例として、業として債権の管理・回収を行えます(サービサー法1条・3条)。 ただし、扱える債権は同法2条1項が列挙する「特定金銭債権」に限られます。「サービサーに委託すれば何でも回収してもらえる」わけではなく、委託先を選ぶ際は、その債権が対象に入るかの確認が欠かせません。無許可の業者に回収を委ねた場合、依頼した側もトラブルに巻き込まれるおそれがあります。 72条と並ぶもう一つの線|自力救済の禁止と督促の方法 ここまでは「誰が交渉するか」の問題でした。もう一つの線は、誰がやっても許されない行為です。自社の債権を回収する保証会社や法人オーナーにも、同じようにかかります。 自力救済の禁止|最高裁判所昭和40年12月7日判決 最高裁判所第三小法廷昭和40年12月7日判決(昭和38年(オ)第1236号・民集19巻9号2101頁)は、私力の行使は原則として法の禁止するところであり、法律に定める手続によったのでは権利に対する違法な侵害に対抗して現状を維持することが不可能または著しく困難であると認められる緊急やむを得ない特別の事情がある場合に限り、その必要の限度を超えない範囲で例外的に許される、と述べています。 この事件自体は家賃の滞納ではなく敷地上の板囲いをめぐる争いですが、示された考え方は滞納対応にもそのまま当てはまります。家賃を払わない入居者がいても、裁判所の手続(明渡し訴訟・強制執行)を使えば権利は実現できます。そのため、滞納を理由とする鍵の交換、ドアロック、室内への立入り、荷物の搬出・処分が、この「緊急やむを得ない特別の事情」に当たる場面は極めて限られると考えるべきです。これらは不法行為による損害賠償のほか、住居侵入(刑法130条)や器物損壊(刑法261条)などの問題にもなり得ます。 保証会社の契約条項も最高裁判所で問題にされた|令和4年12月12日判決 最高裁判所第一小法廷令和4年12月12日判決(令和3年(受)第987号・民集76巻7号1696頁)は、家賃保証会社の契約書にあった次の2つの条項について、消費者契約法10条により消費者の利益を一方的に害する条項に当たると判断しました。 賃料等の滞納が3か月分以上に達したとき、保証会社が無催告で賃貸借契約を解除できるとする条項 2か月以上の滞納・連絡不通・長期不使用などの要件を満たすとき、賃借人が明示的に異議を述べない限り建物の明渡しがあったものとみなすとする条項 判決は、後者について、賃借人は使用収益権が消滅していないのに契約当事者でもない保証会社の一存でそれを制限され、明渡請求権が「法律に定める手続によることなく実現されたのと同様の状態に置かれる」と指摘しています。契約書に書いてあれば自社の判断で明渡しを実現できる、という運用は通らないということです。自社の保証委託契約書・管理委託契約書に同じ趣旨の条項が残っていないか、一度点検しておく価値があります。 督促の「やり方」にも規制がある 督促の方法そのものが違法になる場面もあります。生命・身体・財産などに害を加える旨を告げれば脅迫罪(刑法222条)、脅して義務のないことをさせれば強要罪(刑法223条)の問題になります。退去を求められても居座れば、不退去罪(刑法130条)の問題も生じます。 国土交通大臣の登録を受けた家賃債務保証業者には、家賃債務保証業者登録規程(平成29年国土交通省告示第898号)が適用されます。同規程は、賃借人その他の者の私生活や業務の平穏を害するような言動をしないよう求め(11条)、支払を催告する書面には商号・連絡先・求償権の額と内訳・相談窓口などを記載することを求めています(19条)。また、国土交通大臣が登録をしない場合として、債権の取立てにあたり貸金業法21条1項(取立て行為の規制)に違反して罰金刑を受け、一定期間を経過しない者などが挙げられています(6条1項4号)。 貸金業法21条1項は家賃の督促に直接適用される規定ではありませんが、社会通念に照らし不適当な時間帯の電話・訪問、正当な理由のない勤務先への連絡・訪問、退去を求められても居座ること、貼り紙などで借入れの事実を第三者に明らかにすることなどを、私生活や業務の平穏を害する言動の例として挙げています。督促マニュアルを作る際の目安として参考になります。 督促の方法・保証委託契約書の条項を点検したい方へ 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問より一歩、会社の中へ入って伴走します。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上。滞納・明渡し案件は、継続でお預かりすることを前提に、当初3か月は1件ごとにお見積りしています。 保証会社・管理会社向けのご依頼の受け方を見る 外部法務部サービスを見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00) 社内の督促マニュアルに落とすときの4つのルール 線引きを理解していても、現場の担当者が迷わなければ意味がありません。件数を回す会社ほど、判断を担当者の感覚に任せず、手順として固定しておくことが大切です。 ルール1|督促文面はテンプレートで管理し、担当者が書き換えない 督促状・SMS・メールの文面は、あらかじめ社内で承認したものだけを使います。事実(未払いの月・金額・支払先)と、連絡先を書くのが基本です。「法的措置を取ります」「信用情報に登録されます」など、実際に予定していない措置や事実と異なる内容を書かないよう、禁止表現の一覧も作っておきます。 ルール2|分割・減額の申し出は「受けて、記録して、上げる」 分割の申し出は、滞納対応でいちばん多い場面です。担当者は申し出の内容(いくらを、いつまでに、何回で)を記録し、オーナーまたは保証会社の決裁者に上げます。条件を決めるのは債権者です。担当者が「それなら半分でいいですよ」と独自に判断しない仕組みにしておきます。 ルール3|「争い」が出た瞬間に止める切替え条件を決めておく 次のどれかが出たら、担当者は督促をいったん止め、案件を弁護士に回す、というルールを文書にしておきます。 切替えのきっかけ 例 次の担当 支払義務・金額を争う言い分 「修繕されていない」「契約内容が違う」「もう払った」 オーナー(債権者)と弁護士 相手に代理人がついた 弁護士・司法書士から受任通知が届いた 以後の連絡は代理人宛て。弁護士へ 解除・明渡しを進める判断 滞納が続き、契約を終わらせたい オーナーから弁護士へ(明渡しはオーナーが依頼者) 当事者が変わる・所在が分からない 入居者の死亡、連帯保証人への請求、夜逃げ 弁護士(相続人調査・公示送達などの手続が必要になり得る) 相手が破産・個人再生を申し立てた 裁判所や代理人から通知が届いた 督促を止めて弁護士へ ルール4|記録は「あとで裁判に出せる形」で残す 督促の日時・方法・相手の反応は、すべて記録します。のちに訴訟になったとき、支払いを求め続けてきた経過や、相手が支払いを約束した事実は重要な資料になります。電話の内容は、日時・相手・話した内容を当日中にメモに残し、書面やメールは送付したものを保存しておきます。相手が債務を認める発言や一部の支払いは、時効の更新にもかかわる事実です。 家賃の督促状の書き方は、内容証明・督促状の書き方と文例も参考にしてください。法人テナントの滞納については、法人テナントの家賃滞納回収の段階別対応で詳しく整理しています。 自社では決められないこと|弁護士に渡すべきタイミング ここまでの整理を、判断の順番にまとめ直します。自社で抱え続けるほど、時効や証拠の面で不利になる案件もあります。 相手が争っているとき・代理人がついたとき 支払義務や金額に争いが出た時点で、その案件は交渉と法的判断の対象になります。管理会社が代わりに反論を組み立てると、72条の問題に加え、言った内容が後の訴訟で不利な材料になることもあります。相手に弁護士がついた場合は、以後、相手本人への直接の督促は控え、代理人を通すのが原則です。 契約の解除・明渡しに進むとき 解除通知の出し方、信頼関係が壊れたといえるだけの滞納があるかの見極め、明渡し訴訟、強制執行と、解除から明渡しまでは法的判断の連続です。最高裁判所平成22年決定が示したとおり、明渡しの交渉は法的紛議がほぼ避けられない分野です。管理会社がオーナーに代わって退去を交渉するのではなく、オーナーが弁護士に依頼する形にしておくのが安全です。明渡しの全体の流れは賃貸借トラブル解決ガイドにまとめています。 当事者が増える・変わるとき 入居者の死亡、連帯保証人への請求、所在不明(夜逃げ)は、請求の相手や手続が変わる場面です。相続人の調査、保証契約の有効性(2020年4月以降の契約では個人の連帯保証に極度額の定めが必要)、公示送達など、専門的な判断が必要になります。残置物の扱いも含め、自社だけで進めないでください。 「この案件は自社で続けてよいか」を弁護士と確認できます 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問より一歩、会社の中へ入って伴走します。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上。滞納案件を継続でお預かりする形を、件数と対象範囲をうかがって設計します。 保証会社・管理会社向けのご依頼の受け方を見る 外部法務部サービスを見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00) 件数ごと預けるという選択肢|弁護士法人ブライトの受け方 滞納案件が毎月一定数出る会社では、1件ごとに弁護士を探していては間に合いません。弁護士法人ブライトでは、保証会社・管理会社の皆さまから、滞納・明渡し案件を件数ごと預ける形でのご相談をお受けしています。ただし、ご依頼のたびに利益相反の有無と資料の状況を確認したうえで、お受けできるかをご回答します。 ご依頼者は「保証会社」と「オーナー」に分けてお受けする 代位弁済された家賃の求償債権の回収は保証会社さま、賃貸借契約の解除・建物の明渡しはオーナー(賃貸人)さまがご依頼者です。管理会社さまには日々のご連絡の窓口をお願いし、委任状はご依頼者ご本人からいただきます。保証会社さまとオーナーさまのご意向が分かれている場合(早く明け渡したい/分割で回収を続けたい、など)は、どちらか一方のご依頼としてお受けします。 費用は工程ごとに分けて見積もる|紹介の対価は授受しない お見積りは、①家賃・求償債権の回収、②建物明渡し(催告・解除/訴訟/強制執行)、③継続でのお預かり、の工程に分けてお出しします。弁護士報酬と、裁判所に納める費用などの実費は分けてご案内します。ご紹介に対する謝礼・対価は、名目や金額の決め方を問わず、お支払いもお受け取りもいたしません。また、回収できる金額や回収の見込みをお約束するものではありません。 当初3か月は1件ごとのお見積りから 継続でお預かりする場合も、最初の3か月は1件ごとにお見積りし、実績が見えた時点で月ごとの枠をご相談します。どなたに・何を報告するかは、最初に1枚の表にして契約書に添付します。お受けする単位・情報のやりとり・費用の考え方の詳細は、保証会社・管理会社向けのご依頼の受け方のページにまとめています。 不動産会社・管理会社の日常の法務を継続して相談したい場合は、不動産会社の顧問弁護士のページもご覧ください。企業法務全般は企業法務トップから探せます。 よくある質問 管理会社が家賃の督促状を送るだけでも弁護士法72条違反になりますか? 争いのない家賃について、未払いの事実と支払先を知らせる督促状を送ることは、一般に支払いを促す事務の範囲と考えられています。問題になりやすいのは、入居者が支払義務を争っているのに反論や条件交渉を代わりに行う場合や、契約解除・明渡しの交渉を代理する場合です。文面に脅すような表現や、予定していない法的措置の予告を入れないことも大切です。個別の案件が線を越えるかは事情によって判断が分かれるため、迷う場合は弁護士にご確認ください。 保証会社が代位弁済後に入居者へ請求するのは問題ありませんか? 代位弁済によって取得した求償債権を保証会社が自社で回収するのは、自社の債権の回収であり、弁護士法72条の「他人の法律事件」には当たりません。ただし、脅迫的な言動や鍵の交換などの自力救済は許されません。また、オーナーのために契約解除や退去の交渉まで引き受けると、他人の事件の取扱いになり得ます。求償と明渡しは、依頼者を分けて考えるのが安全です。 分割払いの申し出に管理会社の担当者が応じてもよいですか? 申し出の内容を記録してオーナーに伝え、オーナーが決めた条件を事務的に伝えることは、一般に問題になりにくいと考えられます。避けたいのは、担当者が独自の判断で減額・免除・分割条件を決めて合意させることです。条件を決めるのは債権者であるオーナー(保証会社の求償債権であれば保証会社)だという整理を、社内ルールとして明文化しておくことをおすすめします。 滞納している入居者の部屋の鍵を交換してもよいですか? 滞納を理由とする鍵の交換やドアロック、室内への立入り、荷物の搬出は、自力救済の禁止に当たるおそれが高い行為です。最高裁判所は、私力の行使は法律の手続では権利を守れない緊急やむを得ない特別の事情がある場合にのみ例外的に許されるとしています。家賃の滞納は明渡し訴訟と強制執行で解決できるため、この例外に当たる場面は極めて限られます。契約書に定めがあっても同じです。 大阪以外の物件の滞納案件も相談できますか? 弁護士法人ブライトは大阪市北区に事務所があり、大阪を中心に関西の案件を多くお受けしていますが、物件の所在地によってはご相談いただけます。明渡し訴訟や強制執行は物件所在地の裁判所で行うのが通常のため、移動の要否や費用の見込みを含めて、ご依頼前にご説明します。お電話(06-4965-9590)の際は「家賃回収・建物明渡しの件」とお伝えください。 滞納案件を件数ごと預ける形をご検討の方へ 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問より一歩、会社の中へ入って伴走します。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上。継続でのお預かりを前提に、当初3か月は1件ごとのお見積りから始められます。 保証会社・管理会社向けのご依頼の受け方を見る 顧問サービス(みんなの法務部プラン)を見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00)