ステマ規制で社内が止まる場面と確認の順番|「事業者の表示」の線引きと不明瞭と評価されやすい8つの型

ステマ規制で社内が止まる場面と確認の順番|「事業者の表示」の線引きと不明瞭と評価されやすい8つの型


和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士

大阪弁護士会

取扱分野:顧問弁護士・企業法務・広告表示・債権回収

「このインフルエンサーの投稿、PR表記は要るのか」「社員が自社商品をSNSに上げているが止めるべきか」「ECのレビューに割引クーポンを配るのは大丈夫か」——広告を出す側の社内で、この種の確認が回ってくるたびに手が止まる、というご相談が増えています。

止まる理由は、たいてい調べ方の順番が決まっていないことにあります。ステルスマーケティング規制は、条文を1本読めば結論が出る作りになっていません。2つの問いを順番に通す構造になっていて、その順番を社内で共有できていないと、毎回ゼロから議論することになります。

この記事では、大阪で企業法務を扱う弁護士法人ブライトが、広告を出す側の担当者(販促・EC・マーケティング・法務)に向けて、規制の骨格、施策別の確認点、PR表記の書き方と置き場所、社内で残すべき記録、指摘を受けたときの初動を、消費者庁が公表している告示と運用基準の原文に沿って整理します。なお、個別の表示が規制に触れるかどうかは、表示内容全体と事業者・第三者の関係の実態によって判断が分かれる領域です。この記事は一般的な整理であり、個別の表示について結論を示すものではありません。

その表示、出してよいか毎回止まっていませんか

「判断の線引き」と「渡す先」が決まっていれば、社内の確認は止まりません。弁護士法人ブライトは大阪で、広告表現の確認を継続的にお預かりしています。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。

広告審査の継続受託を見る

外部法務部サービスを見る

06-4965-9590(企業法務窓口)LINEで相談する

結論——ステマ規制の判断は、2つの問いを順番に通すだけ

判断の構造は単純です。次の2つの問いを、この順番で通します。

  1. 問い1:それは「事業者の表示」か(=事業者が表示内容の決定に関与したと認められるか)
  2. 問い2:事業者の表示であることが、一般消費者にとって明瞭か

問い1が「いいえ」なら、そこで終わりです。規制の対象になりません。問い1が「はい」で、問い2が「いいえ」のときだけ、規制に触れる表示になります。逆にいえば、問い1が「はい」でも、問い2を満たせば(=広告であることが明瞭なら)問題にならない。ここが実務で最も誤解されている点です。

問い1:事業者の表示か 問い2:明瞭か 評価 典型例
いいえ(第三者の自主的な意思) — 規制の対象外 対価も依頼もない一般ユーザーの投稿
はい はい(明瞭) 問題にならない 「PR」「広告」と冒頭で明示したタイアップ投稿
はい いいえ(不明瞭) 規制に触れる 表記なしの案件投稿・表記が埋もれている投稿
いいえ (表記あり) 問題にならない 必要以上にPR表記を付けても違法にはならない

社内の確認フローをこの4象限に合わせておくと、「表記が要るかどうか」の議論が「関与したかどうか」の事実確認に置き換わります。事実確認であれば、担当者が答えられます。

規制の位置づけ——新しい法律ができたのではなく、景表法の告示が1本増えた

実務担当者が最初に押さえるべきは、ステマ規制は独立した法律ではないということです。景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)5条3号に基づいて、内閣総理大臣が不当表示を指定する形で置かれた告示です。

景品表示法5条3号(不当な表示の禁止)

事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

この5条3号を受けて指定されたのが「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号)で、令和5年(2023年)10月1日から適用されています。その読み方を示したのが「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)です。以下、この記事では前者を「告示」、後者を「運用基準」と呼びます。

課徴金の対象ではない。直罰の対象でもない

これは社内説明のときに効く事実です。景品表示法8条1項は、課徴金の対象となる行為を「第5条の規定に違反する行為(同条第三号に該当する表示に係るものを除く。)」と定義しています。つまり、ステマ告示違反は課徴金納付命令の対象から明文で外されています。

罰則についても同じです。景品表示法48条が定める100万円以下の罰金(いわゆる直罰)は、著しく優良と誤認させる表示(優良誤認相当)と著しく有利と誤認させる表示(有利誤認相当)を対象としており、告示違反そのものは含まれていません。

では何が起きるのか。措置命令(景品表示法7条1項)です。行為の差止め、再発防止に必要な事項、これらの実施に関連する公示などを命じられます。命令は当該違反行為が既になくなっている場合でも出すことができるとされており、「もう投稿を消したから終わり」にはなりません。そして措置命令は事業者名とともに公表されるため、実務上の打撃は金額ではなく公表と取引先対応に出ます。

ここを取り違えて「課徴金3%がかかる」と社内に説明してしまうと、後で説明し直すことになります。課徴金3%がかかるのは優良誤認・有利誤認の場合です。景表法全体の枠組みは景表法(景品表示法)違反とは|措置命令・課徴金3%・罰則と業種別の違反事例で整理しています。

責任を負うのは広告主。インフルエンサー本人は告示の対象ではない

運用基準は、告示の対象となるのは景品表示法2条1項の「事業者」が行う同条4項の「表示」であり、事業者でない者が行う行為については何ら告示の対象とならないと明記しています。つまり、依頼を受けて投稿したインフルエンサー個人が、この告示で行政処分を受けることはありません。責任を負うのは、商品・役務を供給する事業者=広告主です。

この非対称が実務に効きます。「先方(インフルエンサー)が表記してくれなかった」は、広告主にとって言い訳になりません。表記をさせるところまでが広告主の設計事項です。

「表示」は広告枠に限らない

景品表示法2条4項の「表示」は、顧客を誘引するための手段として、商品・役務の内容や取引条件その他これらの取引に関する事項について事業者が行う広告その他の表示をいいます。出稿という形を取らなくても、投稿・口コミ・レビュー・比較記事は「表示」になり得ます。広告予算が動いていないから対象外、という整理は成り立ちません。

「これは事業者の表示か」で社内が割れたときに

関与の有無は、やり取りの実態で判断されます。自社だけで白黒を付けにくい場面こそ、外からの確認が効きます。弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の外部法務部として大阪から広告表現をお預かりしています。

広告審査の継続受託を見る

外部法務部サービスを見る

06-4965-9590(企業法務窓口)LINEで相談する

施策別の確認点——インフルエンサー/アフィリエイト/自社スタッフ/口コミ

ここからは、実際に社内で止まりやすい施策ごとに、運用基準が示している考え方を確認していきます。

インフルエンサー起用・ギフティング

金銭を支払って投稿してもらう場合は、当然に事業者の表示です。判断が割れるのは商品を無償提供しただけのケース(ギフティング)です。

運用基準は、明示的な依頼・指示がない場合でも、事業者と第三者との間に事業者が第三者の表示内容を決定できる程度の関係性があり、客観的な状況に基づき第三者の自主的な意思による表示内容とは認められない関係性がある場合には、事業者の表示になるとしています。考慮要素として挙げられているのは、やり取りの態様と内容(メール・口頭・送付状等の内容)、提供する対価の内容と主な提供理由、関係性の状況(過去にどの程度対価を提供してきたか、今後どの程度続くか)です。

そのうえで運用基準は、事業者の表示となる例として「自らの商品について表示してもらうことを目的に商品を無償提供し、提供を受けた第三者が当該事業者の方針や内容に沿った表示を行う場合」を、事業者の表示とならない例として「無償提供してSNS等での表示を依頼するものの、第三者が自主的な意思に基づく内容として表示を行う場合」を挙げています。分かれ目は提供したかどうかではなく、表示の中身を事業者が決めたかどうかです。

なお、対価は金銭に限りません。運用基準は、物品のほか「その他の経済上の利益(例えば、イベント招待等のきょう応)など、対価性を有する一切のもの」が含まれるとしています。招待・試写・宿泊・体験の提供も対価です。

さらに注意が要るのが言外の示唆です。運用基準は、明示的に依頼しなくても、投稿すれば今後の取引の実現可能性があると言動から推認させた結果として第三者が表示を行った場合を、事業者の表示となる例に挙げています。「今後もお付き合いしたいので、よければ」という一言が、関与の側に評価される可能性があるということです。

アフィリエイト

運用基準は、事業者がアフィリエイトプログラムを用いた表示を行う際にアフィリエイターに委託して自らの商品・役務について表示させる場合を、事業者の表示となる例として挙げています。そして、アフィリエイトサイトに当該事業者の表示であることを記載していない場合を、事業者の表示であることが記載されていない例として挙げています。

つまり、表記すべき場所は広告主の自社サイトではなくアフィリエイトサイトの側です。ASPに任せきりで、実際の掲載面を誰も見ていない状態が最も危険です。

一方で、複数の商品・役務の価格情報や内容等を比較するアフィリエイトサイトについては、サイト自体が事業者の表示であることが明瞭であれば、掲載されている全ての商品・役務についてそれぞれ表記する必要はないとされています。また、事業者とアフィリエイターとの間で表示に係る情報のやり取りが直接にも間接にも一切行われていないなど、広告主による広告とは認められない実態にある表示は、事業者の表示になりません。

自社スタッフ・子会社社員のSNS投稿

ここは社内で最も判断が割れるところです。運用基準は、事業者と一定の関係性を有し事業者と一体と認められる従業員や、子会社等の従業員が行った表示も、事業者が自ら行う表示に含まれ得るとしたうえで、従業員の地位・立場・権限・担当業務・表示目的等の実態を踏まえて総合的に判断するとしています。

該当する例として挙げられているのは、販売を促進することが必要とされる地位や立場にある者(例として、販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員)が、その商品・役務の販売を促進するための表示を行う場合です。他の者に指示をして表示を行わせる場合も含まれます。

該当しない例として挙げられているのは、従業員ではあるものの販売を促進することが必要とされる地位や立場にはない者が、一般消費者でも知り得る情報を使うなどして、販売促進の目的ではない表示を行う場合です。

実務の落としどころは、「社員の私的アカウントを一律に禁止する」ではなく、販促に関わる部署・役職の範囲を先に決め、その範囲の人が自社商品に触れるときは所属を明示するという運用です。全社禁止は守られませんし、守られないルールは記録も残りません。

ECレビュー・口コミ施策

運用基準は、ECサイトに出店する事業者が、レビュー等を募集するブローカーや自らの商品の購入者に依頼して、購入した商品についてレビューを通じて表示させる場合を、事業者の表示となる例に挙げています。また、他の事業者に依頼して、競合事業者の商品について自社商品と比較した低い評価を投稿させる場合も同様です。

他方で、レビュー投稿への謝礼として次回割引クーポン等を配布する場合であっても、事業者(委託を受けた仲介事業者を含む)と購入者との間で投稿内容について情報のやり取りが直接にも間接にも一切行われておらず、購入者が自主的な意思により投稿内容を決定したと認められるのであれば、事業者の表示にはならないとされています。

この「情報のやり取りが一切行われていない」の一線は、運用としてはかなり細いものです。星の数を指定する、感想の方向性を例示する、投稿文のテンプレートを配る——いずれも「やり取り」の側に倒れます。クーポン施策を続けるなら、文面に触れないことを社内ルールとして明文化しておく必要があります。

自社サイトに載せる「お客様の声」

見落とされやすい論点です。運用基準は、事業者自身のウェブサイトにおける表示は一般に事業者の表示であることが明らかである一方で、特定のページにおいて当該事業者の表示ではないと誤認されるおそれがある場合——例えば、専門家や一般消費者等の第三者の客観的な意見として表示しているように見えるものの、実際には事業者が依頼・指示をして特定の内容の表示をさせた場合や、そもそも事業者が作成し第三者に何らの依頼すらしていない場合——には、事業者の表示であることを明瞭に表示しなければならないとしています。

表記の例として運用基準が挙げているのは「弊社から○○先生に依頼をし、頂いたコメントを編集して掲載しています。」という書き方です。依頼して書いてもらった推薦コメントは、その旨を書けば載せられる——これが結論です。

また、第三者のSNS投稿をそのまま引用する場合は、恣意的な抽出(評判を向上させる意見のみを抽出していることが判別困難な方法で表示する)と内容の変更(良い点・悪い点の両方が書かれているのに一方だけを取り上げ、もう一方がないかのように表示する)をしないことが条件とされています。

施策 関与ありと評価されやすい事実 社内で確認する一点
インフルエンサー起用 金銭・物品・招待等の対価、投稿内容の指定、投稿前チェック 対価の有無と、文面に口を出したか
ギフティング(無償提供) 表示してもらう目的での提供、方針や内容に沿った投稿 提供時のメッセージ文面を保存しているか
アフィリエイト ASP経由の委託、成果報酬、掲載素材の提供 掲載面(アフィリエイトサイト側)に表記があるか
自社スタッフの投稿 販促に関わる地位・立場、販売促進目的 その人は販促側の役職か、目的は販促か
ECレビュー謝礼 投稿内容についての直接・間接のやり取り 文面・星数・方向性に触れていないか
お客様の声・推薦コメント 依頼・指示、恣意的抽出、内容の改変 依頼した旨を書いているか/原文のままか

施策ごとの確認点を、社内の型に落とし込む

チェックリストは作れても、グレーの判断と根拠資料の評価は社内だけでは決めきれません。確認の作業ごと外へ預ける形をご用意しています。大阪から、顧問先142社の企業法務に対応しています。

広告審査の継続受託を見る

外部法務部サービスを見る

06-4965-9590(企業法務窓口)LINEで相談する

PR表記の書き方と置き場所——「書いたのに不明瞭」で落ちる型

問い1が「はい」(事業者の表示である)なら、次は問い2です。運用基準は、一般消費者にとって事業者の表示であることが明瞭かどうかを表示内容全体から判断するとしています。「PRと書いたかどうか」ではなく「全体として伝わるか」です。

明瞭と認められる書き方

運用基準が挙げているのは、①「広告」「宣伝」「プロモーション」「PR」といった文言による表示、②「A社から商品の提供を受けて投稿している」といった文章による表示です。ただし①については、これらの文言を使用していても表示内容全体から明瞭と認められない場合があると注記されています。文言を置けば足りる、という作りにはなっていません。

そもそも告示の対象にならない例としては、放送のCMのように広告と番組が切り離されている表示、新聞紙の広告欄のように「広告」等と記載されている表示、商品・役務の紹介自体が目的である雑誌その他の出版物における表示、事業者自身のウェブサイトにおける表示、事業者自身のSNSアカウントを通じた表示、観光大使等のように事業者の依頼を受けて表示を行うことが社会通念上明らかな者を通じた表示などが挙げられています。

不明瞭と評価されうる型

運用基準が「事業者の表示であることが不明瞭な方法で記載されているもの」として挙げている例を、そのまま社内チェック項目にできます。

# 不明瞭と評価されうる型 直し方
1 事業者の表示である旨について、部分的な表示しかしていない 表示全体にかかる位置に置く
2 冒頭に「広告」と書きながら、文中に「これは第三者として感想を記載しています」と書くなど、事業者の表示かどうかが分かりにくい 相反する記載を消す
3 動画で、一般消費者が認識できないほど短い時間しか表示しない 冒頭に、読める長さで出す
4 長時間の動画で、冒頭以外(中間・末尾)にのみ表示する 冒頭に置く(中間・末尾は追加)
5 一般消費者が事業者の表示であることを認識できない文言を使う 平易な日本語にする
6 視認しにくい表示の末尾の位置に置く 冒頭・本文の先頭に移す
7 周囲の文字より小さい・薄い色・長文にして認識しにくくする 本文と同等以上の大きさ・濃さにする
8 大量のハッシュタグの中に事業者の表示である旨を埋もれさせる ハッシュタグ群の外に、本文として書く

この8型のうち、実務で最も多いのは3・4・8です。いずれも「表記を入れた」という報告は上がってくるのに、掲載面を見ると読めない、という形で起きます。報告ではなくスクリーンショットで確認する運用にしておくと、この3つはほぼ消えます。

社内で残すべき記録——後から「関与していない」を説明できるか

ステマ規制の判断は、関与の実態という事実認定に依存します。事実認定である以上、後から示せる記録があるかどうかで結論が変わり得ます。指摘を受けてから思い出して書いた説明は、記録には勝てません。

残す4点

  1. 依頼文そのもの——依頼した/していないは、DMやメールの原文で示すのが最も早い。送信文面をスクリーンショットではなく原本で残す
  2. 対価の内容と理由——金銭だけでなく、物品・招待・体験・優待も記録する。「何のために渡したか」を1行書き添える
  3. 指示の有無と範囲——文面に触れたか、触れていないか。触れた場合はどこまでか(誤記の訂正依頼なのか、内容の方向づけなのか)
  4. 掲載面の実物——公開直後のスクリーンショット。表記の位置・大きさ・色が後から検証できる形で

4点目は特に軽視されがちですが、投稿は後から編集・削除されます。公開時点の実物が無いと、こちらの言い分を裏づける資料が何も残りません。

発注書・契約書に入れておく観点

インフルエンサー・アフィリエイター・制作会社との書面には、次の観点を入れておくと、運用が記録として残ります。条項の作り方は取引の形によって変わるため、ひな形の流用ではなく実態に合わせて組むことをおすすめします。

  • 事業者の表示である旨を、どの位置に・どの文言で表示するかを具体的に定める
  • 表示方法を事業者が指定でき、指定に従わない場合の取扱いを定める
  • 掲載面のスクリーンショット提出を成果物の一部とする
  • 投稿の編集・削除をする場合の事前連絡を定める
  • 再委託(ASP経由の二次アフィリエイター等)の範囲と、その場合の表示義務の承継を定める

契約書のチェックの進め方そのものは契約書チェック(リーガルチェック)完全ガイドで整理しています。

保管場所を1か所に決める

記録が部署ごとのチャットとメールに散っていると、いざというときに集まりません。案件単位のフォルダを1つ決め、依頼文・対価・指示・掲載面の4点をそこに入れる、というだけで十分です。凝った台帳より、全員が同じ場所に置くことのほうが効きます。

記録の型を、外部の目で一度作っておく

「何を残せばよいか」は、実際に指摘を受ける場面から逆算すると決まります。弁護士法人ブライトは大阪で、広告表現の確認と記録の設計を継続的にお預かりしています。企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。

広告審査の継続受託を見る

外部法務部サービスを見る

06-4965-9590(企業法務窓口)LINEで相談する

指摘を受けたときの初動

指摘は、消費者庁からの連絡という形で来るとは限りません。SNS上での指摘、媒体やプラットフォームからの照会、取引先からの問い合わせ、報道機関からの取材依頼——入口は複数あります。入口が違っても、最初にやることは同じです。

最初にやること

  1. 事実を1枚にまとめる——いつ・誰に・何を渡し・何を依頼し・どこに出たか。推測と事実を分けて書く
  2. 掲載面を保全する——現状のスクリーンショット・URL・投稿日時。消す前に、まず残す
  3. 同型の案件を洗い出す——1件の指摘で終わることは少ない。同じ発注ルート・同じ担当・同じ時期の案件を機械的に拾う
  4. 窓口を1つにする——現場が個別に回答すると、説明が食い違う

投稿を消す前に考えること

反射的に削除したくなりますが、2つの理由で慎重に考える必要があります。第一に、削除しても措置命令は出せます。景品表示法7条1項は、措置命令は当該違反行為が既になくなっている場合においてもすることができると定めています。消せば終わり、にはなりません。第二に、削除すると自社に有利な事実(表記があったこと、範囲が限定的だったこと)も一緒に消えます。保全してから、表記の追加で足りるのか、削除すべきなのかを判断する順番です。

是正措置計画(確約手続)という枠がある

景品表示法には、違反の疑いのある行為について、事業者が自ら是正措置計画を作成して認定を申請できる枠が置かれています。26条は、違反の疑いがある行為をしている者に対し、行為の概要・違反する疑いのある法令の条項・認定の申請ができる旨を書面で通知することができると定めています。27条は、通知を受けた者が、通知を受けた日から60日以内に是正措置計画を提出して認定を申請することができると定めています。認定されると、その認定に係る行為については措置命令と課徴金納付命令の規定が適用されません(28条)。

この枠を使うかどうかは、事実関係・影響範囲・公表の見通しを踏まえた判断になります。期限が60日と決まっているため、通知を受けてから検討を始めると間に合わない類の手続です。どういう場面で選択肢になり得るのかは、平時のうちに整理しておく価値があります。

SNS上で広がった場合の対応は会社のSNS炎上対応|初動の手順・法的リスク・削除請求・再発防止策、事実と異なる書き込みへの対応は風評被害対策|削除請求・発信者特定・損害賠償の3つの法的手段も併せてご覧ください。

自社でできること、自社では決められないこと

最後に、社内で線を引いておくべき範囲を整理します。

段階 内容 誰がやるか
① 自社でできること 2つの問いのフロー化/施策別チェック項目の運用/PR表記の書式統一/記録4点の保管/掲載面のスクリーンショット確認 販促・EC・マーケ部門+管理部門
② 自社では決めきれないこと 関与の有無がグレーな案件の評価/根拠資料が足りるかの判断(優良誤認・有利誤認と重なる場合)/薬機法・特商法など他法令との重なり/行政からの照会への回答方針 外部の弁護士
③ 確認の作業ごと預ける形 出稿前の表現確認を継続的に回す/同型案件の棚卸し/発注書・ガイドラインの整備/指摘時の窓口 継続受託(顧問・広告審査)

②は、社内で結論を出しても最終的な責任が会社に残るタイプの判断です。とくに表示が優良誤認・有利誤認と重なる場合は、課徴金と直罰の射程に入ってくるため、判断の重みが変わります。景品表示法5条1号・2号の線引きは景品表示法の広告表現ルール|優良誤認と有利誤認の違い・不実証広告規制・媒体別の注意点、実際の事例からの点検は優良誤認表示の違反事例から学ぶで扱っています。化粧品・健康食品の表現は薬機法の広告規制チェックガイドが入口になります。

③については、弁護士法人ブライトが広告審査の継続受託としてお引き受けしています。単発の確認ではなく、出稿の流れに入って確認を回す形です。

広告表現の確認を、社内の作業から外す

弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の外部法務部です。大阪を拠点に、顧問先142社の企業法務を担い、企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームで広告表現・契約・労務をお預かりしています。まずは現状の確認フローをお聞かせください。

広告審査の継続受託を見る

外部法務部サービスを見る

06-4965-9590(企業法務窓口)LINEで相談する

よくあるご質問

「PR」と書いておけば、どんな表現でも問題ありませんか?

いいえ。事業者の表示であることを明瞭にすれば告示の対象からは外れますが、表示の中身が実際よりも著しく優良・著しく有利だと誤認させるものであれば、景品表示法5条1号・2号の問題として別に検討が必要です。こちらは課徴金(8条)と罰金(48条)の射程に入ります。「PR表記さえあれば何を書いてもよい」という整理にはなりません。

インフルエンサー本人が表記を入れてくれませんでした。責任はどちらにありますか?

告示の対象は、商品・役務を供給する事業者が行う表示です。運用基準も、事業者でない者が行う行為は告示の対象とならないと明記しています。したがって、行政対応の場面で前に立つのは広告主です。委託先が表記しなかったという事情は、広告主の責任を当然に免れさせるものではありません。表示方法を書面で指定し、掲載面を確認する運用まで含めて広告主側の設計事項と考えるのが安全です。

社員が個人のSNSで自社商品を褒めるのは、すべて違反になりますか?

すべてが対象になるわけではありません。運用基準は、販売を促進することが必要とされる地位や立場にある者(販売や開発に係る役員、管理職、担当チームの一員など)が販売促進のための表示を行う場合を事業者の表示に該当する例として挙げる一方、そうした地位や立場にない従業員が、一般消費者でも知り得る情報を使うなどして販売促進目的ではない表示を行う場合を該当しない例に挙げています。全社一律禁止ではなく、販促に関わる範囲を決めて所属を明示する運用が現実的です。

ECサイトのレビューに割引クーポンを配る施策は続けられますか?

運用基準は、レビュー投稿への謝礼として次回割引クーポン等を配布する場合であっても、事業者(委託先の仲介事業者を含む)と購入者との間で投稿内容について情報のやり取りが直接にも間接にも一切行われておらず、購入者が自主的な意思により投稿内容を決定したと認められる投稿であれば、事業者の表示にはならないとしています。星の数の指定、感想の方向づけ、文例の配布はいずれも「やり取り」の側に評価され得るため、文面に触れないことを社内ルールとして明文化しておくことをおすすめします。

大阪の会社ですが、出稿前の表現確認を継続して相談できますか?

ご相談いただけます。弁護士法人ブライトは大阪を拠点に、広告表現の確認を出稿の流れに入って継続的にお預かりする形をご用意しています。媒体・商材・出稿頻度によって進め方が変わりますので、まずは現在の確認フローと、直近で判断に迷った案件をお聞かせください。企業法務窓口:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)

判断に迷った案件から、お持ちください

「この1本をどう扱うか」は、確認の型を決めるいちばん良い材料になります。大阪から、広告を出す側の社内の確認作業ごとお預かりします。

広告審査の継続受託を見る

外部法務部サービスを見る

06-4965-9590(企業法務窓口)LINEで相談する

この記事と併せて読まれている記事

広告表現の確認を継続的に相談できる弁護士をお探しの事業者は、弁護士法人ブライトにお問い合わせください。大阪を拠点に、顧問先142社の企業法務を担っており、企業法務部の弁護士歴平均14年以上の弁護士が対応します。企業法務窓口:06-4965-9590(平日9:00〜18:00)

法務部がない会社の、外部法務部。

顧問より一歩、会社の中へ——これが弁護士法人ブライトの顧問サービス(みんなの法務部プラン)の基本姿勢です。社内に法務部を置けない規模でも、広告表示・契約書・労務・債権回収まで日常的に相談できる体制を。企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームで、142社の顧問先と向き合っています。

▶ 外部法務部サービスを詳しく見る

【参照した一次資料】不当景品類及び不当表示防止法(昭和37年法律第134号)2条1項・2条4項・5条3号・7条1項・8条1項・26条・27条・28条・48条/「一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示」(令和5年内閣府告示第19号。令和5年10月1日から適用)/「『一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示』の運用基準」(令和5年3月28日 消費者庁長官決定)。条文はe-Gov法令検索、運用基準は消費者庁ウェブサイト掲載のPDF原文で確認しています(2026年9月20日時点)。本記事では、消費者庁が公表している個別の措置命令事例について、事業者名・処分日を特定した記述は行っていません。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。
  • 記事カテゴリ
  • 成功事例
    インタビュー
契約
人事労務
債権回収
消費者
炎上
会社運営