「うちの広告、問題ないよな」——そう思いながらも、どこかにひっかかりを感じている社長はいませんか。とくに住宅や不動産を扱う会社では、チラシの価格表示、モデルルームでの案内資料、ウェブ上のキャンペーン告知など、日々大量の広告が生まれます。営業担当が「お客様に伝わりやすいように」と善意で作った表現が、実は法律上アウトだったという話は、決して大手だけの問題ではありません。 2023年から2024年にかけて、飯田グループホールディングスの子会社が景品表示法に基づく措置命令を受けたことが報じられました。大手グループでさえこうした問題が起きる背景には、広告に携わる現場と法務・コンプライアンスの間に生まれやすい「判断の空白」があります。この記事では、その構造を紐解きながら、自社の広告リスクをどう点検・予防すればいいかを具体的に整理します。 飯田グループホールディングスの事案から何を読み取るか 飯田グループホールディングスは、一建設・飯田産業・東栄住宅・アーネストワン・タクトホームなど、分譲住宅を手がける複数の会社を傘下に持つ大手グループです。2024年、消費者庁はこのグループの子会社複数社に対し、住宅の販売広告における価格表示が景品表示法の「有利誤認表示」にあたるとして措置命令を出しました。 問題となったのは、「特別価格」「限定価格」などの表示です。実際には多くの物件がその表示価格で継続的に販売されており、消費者が「今だけ安い」と誤解するような表現が問題視されました。消費者庁は、通常価格が存在しないにもかかわらず、割引・特別感を演出する表示は有利誤認にあたると判断したわけです。 この事案が示すのは、「現場が善意でやっていた」では通らないという現実です。担当者が「お客様のために伝わりやすく工夫した」という行為が、会社全体に行政処分という形でのしかかってきます。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) なぜ「よかれ」の判断が景品表示法違反になるのか 【図解】飯田グループホールディングスの事案から何への対応フロー ① 問題発生 → ② 事実確認・記録 → ③ 顧問弁護士に相談 → ④ 対応策の実行 ※ 弁護士に早期相談することで、リスクを最小化できます。 景品表示法は、消費者が商品やサービスを選ぶ際に「よりよいもの・よりお得なもの」と誤解させる表示を禁止しています。大きく分けると、実際よりも品質・内容が優れていると見せる「優良誤認表示」と、実際よりも取引条件がお得だと見せる「有利誤認表示」の2種類です。 住宅・不動産業界で起きやすいのは、おもに以下のようなケースです。 「モデルハウス価格」「今月限定価格」などの特別感を演出する価格表示(実態は通常販売価格) 「最終〇棟」「残りわずか」など希少性を煽る表現(在庫が実際には多数ある) 土地面積・建物仕様の表示が実物と乖離している 比較対象となる「通常価格」が実際には存在しない、または設定期間が極端に短い 問題が起きやすい構造として、次の3点が挙げられます。 ① 現場担当者が法律ではなく「売れるかどうか」で判断している 営業や広告担当は、顧客の反応をよくするために表現を工夫します。「特別」「限定」という言葉は効果的だからこそ使われますが、その言葉を使う条件(実際に特別・限定である根拠)を確認する習慣がない場合、意図せず違反表示になります。 ② 承認フローに法務・コンプライアンスが入っていない チラシやウェブ広告が「マーケティング部→営業部長→印刷・公開」という流れで処理され、法的な確認が省略されているケースは少なくありません。スピードを優先するほど、このリスクは高まります。 ③ 「大手もやっている」という横並び意識 業界内で同様の表現が広く使われていると、「みんなやっているから大丈夫」という判断が生まれます。しかし行政は業界慣行を理由に免責しません。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 問題が起きる前にできること——広告リスクの予防策 景品表示法の問題は、事前に仕組みを整えれば、かなりの部分を防げます。予防的に動くための具体的なステップを整理します。 広告表示チェックリストを作る 「特別」「限定」「最安」「No.1」などのワードが含まれる場合に、その根拠資料が社内に存在するかを確認する仕組みを作ります。チェックリストは1枚でも構いません。「この言葉を使うなら、この書類を添付する」というルールを明文化するだけで、現場の意識は変わります。 広告の承認フローに法務の目を入れる 全ての広告を弁護士がチェックするのは現実的ではありませんが、新しいキャンペーンや価格訴求を含む広告については、法的な確認を挟む設計にします。顧問弁護士がいれば、定型的な広告表現のガイドラインを一度作成してもらい、社内で運用することも可能です。 根拠資料を残しておく 景品表示法では、行政から「その表示の根拠を示せ」と求められたとき(不実証広告規制)、根拠を示せなければ違反と推定される仕組みがあります。広告を打つ前に、価格の根拠・比較対象の根拠・効果の根拠を文書化して保存しておくことが、事後の証明に直結します。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 問題が発生したときの対応フロー 消費者庁や都道府県から「表示について確認したい」という連絡が来た場合、あるいは適格消費者団体から申し入れが届いた場合、初動が極めて重要です。 当該広告の即時保全:問題とされている広告の現物・データ・配布記録をすべて保存します。削除・訂正は弁護士の判断を得てから行います。 事実関係の整理:いつ、誰が、どのような意図で、どの根拠に基づいてその表示をしたのかを記録します。担当者への聞き取りは、できるだけ早く行い、メモを残します。 弁護士への即時相談:行政への対応は、回答内容・タイミングが重要です。早期に弁護士を関与させることで、措置命令や課徴金命令に至る前に自主申告・是正で収められる余地が広がります。 社内・社外への情報管理:行政対応中に社内で情報が錯綜したり、社外に不正確な情報が流れたりしないよう、窓口を一本化します。 証拠の観点でいうと、「広告を出した当時の判断根拠」が残っていないことが、最も対応を難しくします。「担当者がいた頃の話でもう資料がない」「当時の担当者はすでに退職した」という状況は、行政からみると悪意がなくとも不利に映ります。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 失敗事例の構造——なぜ相談が遅れ、なぜ証拠がなかったのか ブライトへの相談の中でも、広告表示に関する案件は「問題が顕在化してから相談が来る」パターンが多いです。なぜ予防的な相談が遅れるのか、構造的な理由があります。 「法律の問題だとは思っていなかった」 チラシの文言は、マーケティングや営業の話だと捉えられています。「それが違法になるとは思っていなかった」という状況は、業種を問わず起きます。ホテル運営会社の顧問先では、宿泊プランに付帯する商品券が景品表示法の規制対象となるかどうかという相談が入り、「そういう観点で確認が必要とは知らなかった」という反応が返ってきました。日常業務の中に潜んでいるからこそ、問題になりにくいのです。 「前回もこの表現で問題なかったから」 過去に使った表現を流用する場合、「以前OKだったから今回も大丈夫」という判断が働きます。しかし行政の方針が変わっていたり、業界全体への監視が強まっていたりすることで、同じ表現でも突然問題化するケースがあります。 「根拠を残す習慣がなかった」 「価格を設定したときの会議メモはない」「比較対象の価格調査の記録はない」——こうした状況は、問題が起きてから初めて認識されます。証拠は、紛争になってから急に作れるものではありません。日頃の運用の中で自然に記録が残る仕組みを作っておくことが、唯一の対策です。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) うちの会社ではどう考えればいいのか 飯田グループホールディングスのような大手企業の事案は、「自社には関係ない」と感じるかもしれません。しかし、景品表示法の対象は企業規模を問いません。中小企業であっても、消費者庁や都道府県の調査対象になりますし、適格消費者団体からの差止請求を受ける可能性もあります。 「結局、うちの会社でどう考えればいいのか」——そのための判断軸をシンプルに整理すると、次の3つです。 表示に「根拠」があるか:「特別」「限定」「お得」と言える客観的な事実が存在するか。それを示す資料が社内にあるか。 消費者が「誤解するか」:その表現を見た一般的な消費者が、実態と異なる印象を持つ可能性はないか。自社の視点ではなく、受け取る側の視点で確認できているか。 広告承認のフローに「確認の目」が入っているか:営業・マーケティングだけで完結しておらず、第三者的な確認が入る設計になっているか。 この3点を社内で意識するだけで、リスクの大部分は事前に察知できます。逆にいえば、この確認がない状態で広告を打ち続けることは、ゆっくりと地雷を踏み続けているようなものです。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) 再発防止策——広告リスクを会社の仕組みに組み込む 一度問題が起きてから対応を整えることは当然ですが、最もコストが低い再発防止は「次の広告を出す前に仕組みを整えること」です。 広告表示に関する社内規程の整備:どのような表現を使う場合にどんな確認が必要かを明文化する。特に「特別価格」「限定」「比較表現」「効果・機能の訴求」はチェック必須項目とする。 根拠資料の保存ルールの設定:広告を公開した日付・根拠資料のセットを一定期間保存するルールを作る。クラウドストレージへの自動保存でも十分機能します。 定期的な広告棚卸しの実施:現在進行中のキャンペーン・継続掲載している広告を定期的に見直し、古くなった根拠や変わった市場環境との乖離がないか確認する。 新しいキャンペーン前の事前チェック体制:新しい価格訴求や新しいキャッチコピーを使う際は、リリース前に法務確認のステップを設ける。 景品表示法に関する問題は、一件対応しても「次の広告」でまた同じリスクが生まれます。重要なのは、その都度の対応ではなく、広告の承認フローそのものに法務の視点を埋め込むことです。顧問弁護士がいれば、社内規程の整備から個別の広告チェック、さらに行政対応まで継続してサポートを受けられます。弁護士法人ブライトでは、顧問先 142社 の実名を公開しており、企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが不動産・住宅業界をはじめとした広告表示リスクの相談に日常的に対応しています。「みんなの法務部」として、問題が起きる前から伴走できる体制を整えています。 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料) よくある質問 Q. 景品表示法違反で措置命令が出ると、具体的にどうなりますか? 消費者庁または都道府県から措置命令が出ると、問題となった表示の即時停止と再発防止策の実施が命じられます。さらに、違反行為による売上の3%相当の課徴金が課される場合があります(課徴金制度は一定規模以上の売上が対象)。命令内容は消費者庁のウェブサイトで公表されるため、レピュテーション(評判)へのダメージも無視できません。 Q. 「通常価格から○○円引き」という表示は問題になりますか? 問題になり得ます。有利誤認表示にあたるかどうかは、「通常価格」が実際に相当期間・相当量販売された実態があるかどうかで判断されます。通常価格の設定期間が短すぎる、あるいは実質的にほとんど販売されていない価格を「通常価格」として設定している場合は、有利誤認表示とみなされるリスクがあります。消費者庁のガイドラインでは、おおむね「直近4週間のうち半分以上の期間で販売されていた価格」が比較対象として使える基準とされています。 Q. 広告代理店に任せていたので、自社には責任がないと言えますか? 言えません。景品表示法の規制対象は、広告を「表示した事業者」です。実際の制作を外部に委託していても、その表示で利益を得ている事業者(広告主)が責任を負います。代理店に任せきりにしてしまい、自社内で広告内容を確認していなかったという状況は、行政処分の軽減理由にはなりません。 Q. 小さな会社でも景品表示法の調査対象になりますか? なります。景品表示法には企業規模による適用除外はありません。消費者庁は大手企業を優先する傾向はありますが、都道府県による調査は中小企業も対象です。また、適格消費者団体からの差止請求は民事上の手続きのため、企業規模に関係なく申し立てが可能です。「うちは小さいから大丈夫」という認識は、リスク管理上は持たないほうが安全です。 当事務所が参考にした実務書 当事務所では本テーマに関する最新の実務書を継続的に確認し、顧問先企業のリスク評価に反映しています。本記事の作成にあたり特に参考にした書籍を以下に紹介します。 『景品表示法』 — 川合弘造/有斐閣/2019年7月/分類:学術書・体系書 『景品表示法の実務〔第2版〕』 — 山田香織、武田邦宏/中央経済社/2022年11月/分類:Q&A形式の実務解説書 『景品表示法精義』 — 友添明/商事法務/2020年9月/分類:条文逐条解説書 『実務解説 景品表示法』 — 芳賀則人・田中雅敏・伊藤憲二・有吉尚哉・橋本雄太郎/弘文堂/2022年4月/分類:Q&A形式の実務解説書 『不動産広告の法律実務』 — 弁護士法人淀屋橋・山上合同/民事法研究会/2021年5月/分類:業種特化型実務書 ※ 書籍内容は引用しておらず、書誌情報のみ表示しています。本記事は弁護士法人ブライトが監修・執筆しています。 この記事の監修者 和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士 弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒 専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生 住宅・不動産の広告表示リスク、景品表示法への対応、社内規程の整備など経営上の課題を継続的に相談できる顧問弁護士をお探しの方は、弁護士法人ブライト「みんなの法務部」にお問い合わせください。顧問先 142社 の実名を公開しており、企業法務部の弁護士歴平均14年以上の経験豊かな弁護士が対応します。企業法務窓口:06-4965-9590(平日9:00〜18:00) 「みんなの法務部」というブライトの考え方 中小企業の社長に「専属の法務部」を持っていただく——これがブライトの顧問サービスの基本姿勢です。社内に法務部を置けない規模でも、契約書・労務・債権回収・M&Aまで日常的に相談できる体制を、月額固定で。企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームで、142社の顧問先と向き合っています。 ▶ みんなの法務部とは(詳しく見る) 企業法務のご相談は弁護士法人ブライトへ弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先142社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずはお気軽にご相談ください。法務チェックリスト 無料ダウンロード顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る06-4965-9590(みんなの法務部)LINE相談(無料)