監修:和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会 大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先141社に透明性の高いリーガルサポートを実践している。 ある朝ログインしたら、セラーセントラルに見慣れない通知が出ていた——。Amazonのセラーアカウントは、前触れなく停止・閉鎖され、同時に売上金の入金も止まります。仕入れの支払いは待ってくれませんから、経営者にとっては資金繰りの問題に直結します。 この記事は、セラーアカウントに何かが起きた事業者の方が、まず自分の状況がどれに当たるのかを見分け、次に何をすべきかを判断するための入口としてまとめたものです。類型ごとの詳しい手順は、それぞれの解説記事にリンクしています。大阪の顧問弁護士として、Amazonをはじめとするモール型ECの取引トラブルを扱ってきた立場から整理しました。 この記事でわかること いま起きている症状から、どのトラブル類型かを引く早見表 類型ごとに「最初の72時間でやること」と「やってはいけないこと」 売上金・在庫がどうなるか、返してもらう法的な筋道 自力で進める限界と、弁護士に相談すべきタイミングの目安 Amazonセラーアカウントのトラブルを大阪の弁護士に相談する 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、大阪からEC事業者の交渉と法的手続きを伴走します。 顧問サービス(みんなの法務部プラン)を見る 06-4965-9590(みんなの法務部)LINEで相談する 症状から引く早見表——いま起きているのはどれか Amazonから届く通知の文言は似通っていて、どの類型なのか判断しにくいことがあります。まず「何が止まったか」で切り分けてください。ここを取り違えると、提出すべき書類も交渉相手も変わってしまいます。 いま起きていること 考えられる類型 最初にやること 出品が取り下げられ、特定商品だけ売れなくなった 知的財産権の侵害申告/商品の適格性審査 申告の内容と申告者を特定し、権利関係を確認する 「商品の真正性を確認できませんでした」等の通知が来た 真贋調査 仕入先の請求書など、要件を満たす証憑をそろえる アカウント全体が停止し、出品が消えた アカウント停止(サスペンド) 停止理由を特定し、改善計画(POA)を組み立てる 再開の見込みがない旨の通知が来た アカウント閉鎖・恒久停止 復活交渉と並行して、残高の返還請求へ切り替える 販売は続いているのに入金だけ止まった 売上金の留保 留保の理由と解除条件を確認し、期間を記録する 身に覚えのない権利侵害を申告された 競合セラーによる不当申告 申告内容を保全し、撤回請求と損害の記録を始める 購入者から執拗な暴言・不当要求が続く カスタマーハラスメント やり取りを記録し、対応窓口を一本化する 譲り受けた・買い取ったアカウントが止まった アカウント譲渡・売買に伴う措置 譲渡契約の内容と、支払った対価の回収可能性を確認する 複数が同時に起きることも珍しくありません。たとえば真贋調査からアカウント停止に進み、同時に売上金が留保されるという流れは典型的です。その場合は「復活させる」と「お金を取り戻す」の2本立てで考えることになります。 アカウントが止まって、入金も止まっていませんか 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、大阪からEC事業者の交渉と法的手続きを伴走します。 顧問サービス(みんなの法務部プラン)を見る 06-4965-9590(みんなの法務部)LINEで相談する 最初の72時間でやること・やってはいけないこと 初動を誤ると、あとから弁護士が入っても打てる手が減ります。実務で差がつくのは、証拠を残したかどうかと感情的な連絡をしなかったかどうかの2点です。 やること 通知の全文を保存する——セラーセントラルの通知は、アカウントにアクセスできなくなると読めなくなることがあります。画面のスクリーンショットに加え、受信メールも本文ごと残してください 残高と在庫の数字を記録する——停止時点の未入金額・FBA在庫の数量と評価額を控えます。あとで返還を求める際の請求額の根拠になります 仕入の証憑をそろえる——請求書・納品書・取引先との契約書。真贋調査では、記載事項が要件を満たしているかが結論を左右します 時系列のメモを作る——いつ何の通知が来て、いつ何を提出し、いつ返答があったか。交渉でも訴訟でも、この一覧が土台になります やってはいけないこと 新しいアカウントを作って販売を再開する——多くの場合、関連アカウントとみなされて新規アカウントまで止まります。復活交渉の余地も狭まります 思い当たる理由をすべて書き並べて謝罪する——改善計画は「原因の特定」と「再発防止策」を筋道立てて示す文書です。反省文ではありません。不用意な記載が不利に働くことがあります 同じ内容の申立てを何度も送る——定型の返答が繰り返されるだけで、時間だけが過ぎます 証憑を作り替える——これは論外です。発覚すれば復活の可能性は事実上なくなります 類型別の要点と、詳しい手順の解説 アカウント停止(サスペンド)——復活の鍵は改善計画(POA) 停止の通知には、たいてい抽象的な理由しか書かれていません。実務では、パフォーマンス指標(注文不良率・出荷遅延率など)、商品の適格性、真贋、規約違反のどれに当たるのかを先に特定します。特定できないまま改善計画を出しても、的外れな内容になり通りません。 改善計画(Plan of Action)は、①発生した問題の根本原因 ②すでに講じた是正措置 ③再発を防ぐ仕組み、の3点を、具体的かつ検証可能な形で書きます。「今後は注意します」という記述は評価されません。詳しくはAmazonアカウント停止の原因と復活させる方法とPOAでアカウントを復活させる完全ガイドで解説しています。 真贋調査——問われているのは「商品」ではなく「証憑」 真贋調査は、出品商品が正規品かを確認する手続きですが、実際に審査されるのは商品そのものではなく提出した仕入証憑です。発行元・宛名・日付・商品名・数量といった記載事項が求められる形式を満たしているか、仕入先が正規の流通ルート上にあるかが見られます。 ここでつまずく事業者が多いのは、ふだんの仕入で「要件を満たす請求書」を受け取っていないためです。平時から取引先に発行してもらう書面を整えておくことが、そのまま予防になります。詳細は真贋調査でアカウント停止になったときの対応と予防策をご覧ください。 留保された売上金の回収可能性を、無料で見立てます 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、大阪からEC事業者の交渉と法的手続きを伴走します。 顧問サービス(みんなの法務部プラン)を見る 06-4965-9590(みんなの法務部)LINEで相談する 売上金の留保——止まっているお金をどう取り戻すか アカウントが停止・閉鎖されると、未入金の売上金が留保されます。事業者にとっては最も切実な問題です。法的には、規約に基づく留保がどこまで許されるか、そして留保の理由が消滅した後も返さないのであれば、その保持に法律上の原因があるかが争点になります。 実務では、まず留保の理由と解除条件を書面で確認させ、期間の経過を記録します。そのうえで返還を求め、応じなければ法的手続きへ進みます。留保金を弁護士で回収する方法、閉鎖後の残高は取り戻せるのか、時間が経ってしまった場合の1年以上前に留保された売上金も参考にしてください。 競合セラーからの不当な申告——申告した側の責任を問う 権利者でない者が虚偽の知的財産権侵害を申告し、競合の出品を止めさせる行為があります。これは申告した側が法的責任を負い得る行為です。虚偽の事実を告知・流布して他人の営業上の信用を害する行為として、差止めや損害賠償の対象になり得ます。 対応は、①申告内容と申告者の特定 ②権利関係の反論 ③撤回の請求 ④損害の記録、の順です。売上の落ち込みを立証できるかで賠償額が変わるため、申告前後の売上データを早い段階で確保してください。詳しくは競合セラーからの嫌がらせ・不正申告への法的対処法と知的財産権侵害申告への反論手順を参照してください。 購入者からのカスタマーハラスメント 返品・返金を執拗に求められる、暴言を書き込まれる、といったケースです。2026年10月1日からは、事業主に顧客等からの著しい迷惑行為に対する雇用管理上の措置が法律上義務づけられます(改正労働施策総合推進法33条1項)。従業員を守る体制づくりは、EC事業者にとっても義務になります。 対応の型はカスタマーサービスへの暴言クレームへの対応とAmazonセラーへのカスハラ対策にまとめています。義務化の中身と罰則の有無はカスハラ対策義務化に罰則はあるのかで条文とともに整理しました。 アカウントの譲渡・売買にともなう停止 アカウントを買い取った、あるいは事業譲渡で引き継いだ後に停止された、という相談があります。この類型はAmazonとの関係(復活できるか)と、譲渡した相手との関係(支払った代金を取り戻せるか)の二層で考える必要があります。契約書に何が書かれているかで結論が変わるため、まず譲渡契約の確認が出発点です。セラーアカウント譲渡でアカバンされたときの対処法で解説しています。 自力で進める限界と、弁護士に相談すべきタイミング すべてを弁護士に依頼する必要はありません。パフォーマンス指標の改善など、原因がはっきりしていて自社で是正できる類型は、自力で復活する例が多くあります。一方で、次のような状況になったら外部の力を入れたほうが早く、結果的に安く済みます。 状況 判断 理由 改善計画を2回以上出したが定型の返答しか来ない 相談を推奨 原因の特定を誤っている可能性が高く、同じ書面を重ねても進みません 留保されている売上金が事業の資金繰りに影響する規模 早めに相談 回収の設計と資金繰りの手当てを並行して考える必要があります 閉鎖・恒久停止の通知が来た 相談を推奨 復活の交渉から残高の返還請求へ、方針の切り替え判断が要ります 競合からの申告で売上が目に見えて落ちている すぐ相談 損害の立証資料は時間が経つほど集めにくくなります 譲渡・売買したアカウントの問題 すぐ相談 相手方への請求に時効その他の期間制限が関わることがあります 従業員が購入者対応で疲弊している 相談を推奨 2026年10月からは体制整備が事業主の義務になります 費用の考え方は、取り戻せる金額と、止まっている期間の逸失利益を天秤にかけるのが基本です。留保額が数十万円で復活の見込みが薄いなら、費用倒れになることもあります。弁護士法人ブライトでは、まず「そもそも動く価値のある案件か」から率直にお伝えします。自力対応の限界についてはAmazonアカウントトラブルを自力で解決する方法と限界もご覧ください。 「動く価値のある案件か」から率直にお伝えします 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、大阪からEC事業者の交渉と法的手続きを伴走します。 顧問サービス(みんなの法務部プラン)を見る 06-4965-9590(みんなの法務部)LINEで相談する 止まってから動くより、止まらない設計を 相談を受けていて感じるのは、アカウントが止まる会社には、止まる前から共通した弱点があるということです。仕入証憑が整っていない、規約の禁止事項を現場が把握していない、購入者対応が担当者個人に委ねられている——いずれも、平時であれば低コストで直せます。 仕入証憑の様式を取引先と合意しておく——真贋調査で通る形の請求書を、ふだんから受け取る 禁止事項を現場の言葉に落とす——規約そのものではなく、自社の運用ルールとして。セラー規約の重要条項を参照 購入者対応の記録と窓口を決める——誰が、どこまで対応し、どこから上に上げるか 商品の安全性に関する責任を確認する——輸入品を扱うなら特に。PL法(製造物責任法)リスクと製品事故への対応 表示・広告のチェック体制を持つ——景品表示法・特定商取引法の観点。ECサイトの特定商取引法表記ガイド EC事業全般の法務論点は小売・EC事業でよくある法律トラブル、Amazon法務の全体像はAmazonセラーのEC法務ガイドにまとめています。個別の論点ごとに社内で判断し続けるのが負担であれば、外部法務部としての顧問契約もご検討ください。 止まらない設計を、外部法務部として一緒に作ります 弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問先141社を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、大阪からEC事業者の交渉と法的手続きを伴走します。 顧問サービス(みんなの法務部プラン)を見る 06-4965-9590(みんなの法務部)LINEで相談する よくある質問 アカウントが停止されました。まず何から手を付けるべきですか? 通知の全文を保存し、停止時点の未入金額とFBA在庫の数量を記録することが最優先です。アカウントにアクセスできなくなると、セラーセントラル上の通知や数字が確認できなくなることがあるためです。そのうえで、停止理由がパフォーマンス指標・商品の適格性・真贋・規約違反のどれに当たるかを特定します。ここを取り違えたまま改善計画を出しても通りません。なお、新しいアカウントを作って販売を再開することは避けてください。関連アカウントとみなされて新規アカウントも停止され、復活交渉の余地が狭まります。 留保されている売上金は返してもらえますか? ケースによります。争点は、規約に基づく留保がどこまで認められるか、そして留保の理由が消滅した後もなお保持し続けることに法律上の原因があるか、という点です。実務では、まず留保の理由と解除条件を書面で確認させ、期間の経過を記録したうえで返還を求め、応じない場合に法的手続きへ進みます。判断には、留保額・経過期間・停止理由・提出済みの資料が関わりますので、個別にご相談ください。金額が小さく復活の見込みも薄い場合は、費用倒れになる可能性を含めて率直にお伝えしています。 身に覚えのない権利侵害を競合から申告されました。放置してよいですか? 放置は避けてください。出品が止まっている間の売上減少は戻りませんし、申告が積み重なるとアカウント全体の評価に影響します。虚偽の事実を告知・流布して他人の営業上の信用を害する行為は、申告した側が差止めや損害賠償の責任を負い得る行為です。対応は、申告内容と申告者の特定、権利関係の反論、撤回の請求、損害の記録という順序で進めます。とくに損害の立証には申告前後の売上データが要りますので、早い段階で確保してください。 改善計画(POA)は自分で書いてもよいですか? 原因がはっきりしていて自社で是正できる類型なら、自力で作成して復活する例も多くあります。ポイントは、反省文ではなく、根本原因の特定・すでに講じた是正措置・再発防止の仕組みを、具体的かつ検証可能な形で示す文書だという点です。「今後は注意します」という記述は評価されません。逆に、2回以上提出しても定型の返答しか返ってこない場合は、原因の特定自体を誤っている可能性が高いため、同じ書面を重ねずに一度専門家に見てもらうことをおすすめします。 大阪でAmazonのアカウントトラブルを相談できますか? はい。弁護士法人ブライトは大阪を拠点に、EC事業者のアカウント停止・売上金の留保・競合からの不当申告・購入者対応まで幅広くご相談をお受けしています。オンラインでの打ち合わせにも対応していますので、所在地を問わずご利用いただけます。ご相談の際は、Amazonから届いた通知の全文、停止時点の未入金額と在庫の状況、これまでに提出した書面と回答の履歴をご用意いただけると、初回から具体的な見通しをお伝えできます。まずは「動く価値のある案件かどうか」からご一緒に判断します。 ※本記事は一般的な法律情報の提供を目的としており、個別の法律アドバイスではありません。具体的な問題については弁護士にご相談ください。記載内容は2026年9月時点の法令に基づきます。