家賃滞納を弁護士に依頼する分かれ目|保証会社・管理会社の社内エスカレーション基準【滞納月数・金額・時効】

家賃滞納を弁護士に依頼する分かれ目|保証会社・管理会社の社内エスカレーション基準【滞納月数・金額・時効】

和氣 良浩

監修:和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会

大阪を拠点に、中小企業の企業法務・顧問業務を提供。不動産の明渡し、未払賃料や求償債権の回収など、会社側の案件を扱っている。

毎月、滞納の一覧に新しい行が加わる。電話と督促状で払ってくれる人もいれば、何か月たっても動かない人もいる。家賃保証会社の求償担当や、賃貸管理会社の督促担当が本当に困るのは、個々の督促の書き方よりも「この案件は、いつまで自社で追いかけて、どこで弁護士に出すのか」という線引きです。

この線引きが担当者の感覚に任されていると、同じような案件でも扱いがばらつきます。時効が迫っていることに気づかない、連絡の取れない入居者を何か月も「様子見」にしてしまう、といったことも起きがちです。

この記事は、滞納を件数で扱う会社の社内判断基準をつくるための整理です。滞納月数・金額・時効の残り・連絡の可否・相手の資力と居住状況・信頼関係の壊れ方という6つの軸で、「自社で続ける」「上長が判断する」「弁護士に出す」の分かれ目を表にしました。個人のオーナーが自分の物件の滞納に対応する手順は、家賃滞納で借主を立ち退かせる方法で解説しています。

滞納案件を「どこから外に出すか」でお困りの担当者さまへ

弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の外部法務部です。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが、滞納案件の仕分けから回収・明渡しまで伴走します。

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結論:外に出すかどうかは「金額」より「時間」と「相手の状況」で決まる

先に結論をまとめます。弁護士に出すかどうかの判断で、多くの会社が一番に見ているのは滞納額です。けれども、実務で結果を分けやすいのは金額そのものより、残された時間と相手の状況です。

社内の判断基準づくりからご相談いただけます

どの案件を外に出すか、社内の基準づくりから一緒に考えます。顧問より一歩、会社の中へ。大阪を拠点に、件数のある滞納案件をお預かりしています。

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自社の督促で済む案件と、済まない案件の違い

自社の督促で済みやすいのは、相手と連絡が取れていて、払う意思があり、一時的な事情で遅れているだけの案件です。電話・書面・分割の相談で多くは動きます。

一方で、次のような案件は、督促の回数を増やしても状況が変わりにくい傾向があります。

  • 何度連絡しても応答がない、または住んでいる気配がない
  • 払うと言いながら、約束した日に入金がない状態が続いている
  • 滞納額が膨らみ、今の収入では払いきれない水準に達している
  • 滞納に加えて、無断での同居・転貸や近隣トラブルなど別の問題がある

こうした案件は、督促を続けること自体に意味がなくなっている可能性があります。必要なのは「払ってもらう工夫」ではなく、法的な手続に進むかどうかの判断です。

判断が遅れると失われるもの

判断を先送りした場合に失われるものは、主に4つあります。

  • 時効:古い月の賃料や求償債権から、順に請求できなくなっていきます
  • 占有の状態:知らない第三者が住み始めると、明渡しの相手が変わり手続が重くなります
  • 相手の資力:勤務先や預金などの財産が見えるうちに動かないと、差し押さえる対象が見つからなくなります
  • 損失の積み上がり:明渡しが遅れるほど、賃料が入らない月が増え、次の入居者も入れられません

「もう少し様子を見る」は、何もしない選択ではありません。時間を相手に渡す選択です。社内の基準は、この時間の損失を担当者が見落とさないためにつくります。

社内のエスカレーション基準表(6つの軸)

次の表は、滞納案件を「自社で続ける」「上長が判断する」「弁護士に出す」の3段階に仕分けるためのたたき台です。数字は一般的な目安であり、自社の保証委託契約・管理委託契約の内容や、物件の種類(居住用か事業用か)に合わせて調整してください。1つの軸でも右端に当たれば、弁護士への相談を検討するという使い方を想定しています。

判断の軸 自社で続ける 上長が判断する 弁護士に出す(検討)
滞納月数 1〜2か月で、支払の約束が守られている 3か月前後に達した/約束の不履行が2回以上 3か月以上で改善の見込みがない/明渡しを求めたい
金額 少額で、分割で完済できる見通しがある 毎月の収入に比べて大きくなってきた 自社の督促では回収の見通しが立たない水準(明渡しが目的なら金額を問わない)
時効の残り 最も古い債権でも十分に余裕がある 最も古い債権の時効まで1年を切った 時効まで半年を切った/時効が近い債権がある
連絡の可否 電話・書面に応答がある 応答が途切れがち・連絡先が変わった 長期間応答がない/所在が分からない
相手の資力・居住状況 勤務先・収入があり、住んでいる 転職・収入減の情報がある 住んでいる気配がない/第三者が住んでいる疑い/破産手続の通知が来た
信頼関係の壊れ方 滞納のみで、経緯に事情がある 督促への不誠実な対応が続く 無断転貸・用法違反・近隣への迷惑など滞納以外の問題もある

表の使い方のポイントは、滞納月数だけで判断しないことです。滞納2か月でも、住んでいる気配がなく第三者が出入りしているなら、早い段階で相談したほうがよい案件です。反対に、滞納が4か月でも、毎月少しずつ払っていて経緯に事情がある案件は、明渡しを求めても解除が認められにくいことがあります。

滞納月数:「3か月」は目安であって、自動で決まる線ではない

賃料の滞納を理由に賃貸借契約を解除するには、原則として、相当の期間を定めて支払を催告し、その期間内に支払がないことが必要です(民法541条)。さらに、賃貸借は当事者間の信頼関係を基礎とする契約であるため、判例上、不払があっても信頼関係を壊すに至らない特段の事情がある場合には、解除が認められないことがあります。

たとえば最高裁判所第三小法廷昭和39年7月28日判決(昭和37年(オ)第747号)は、催告期間内に延滞賃料が払われなかった事案で、催告額の半分がすでに供託されていたこと、長年にわたり延滞がなかったこと、賃借人が屋根の修繕費を自ら負担していたことなどの事情から、解除は信義則に反し許されないと判断しました。

実務で「3か月」がよく目安にされるのは、このような判断枠組みの中で、おおむね3か月程度の滞納があると信頼関係の破壊が認められやすい傾向があるためです。社内基準では「3か月で機械的に解除」ではなく、「3か月前後で、明渡しに進むかを判断する場に上げる」と定めておくのが安全です。

金額:少額でも外に出すべき案件がある

金額だけを基準にすると、少額の案件はいつまでも社内に残ります。しかし、明渡しを求めることが目的の案件では、滞納額の大小はあまり関係がありません。次の入居者を入れられない損失は、滞納額とは別に毎月積み上がるからです。

回収が目的の案件では、手続の選択肢が金額で変わります。60万円以下の金銭請求なら簡易裁判所の少額訴訟を使えます(民事訴訟法368条)。訴訟の目的の価額が140万円を超えない請求は簡易裁判所、超える請求は地方裁判所が第一審です(裁判所法33条1項1号)。支払督促は金額にかかわらず申し立てられますが、相手が異議を出すと通常の訴訟に移ります。どの手続が合うかは、金額と「相手が争ってくるか」で決まります。

時効の残り:古い債権から消えていく

賃料債権は、原則として、各月の支払期日から5年で時効にかかります(民法166条1項1号)。保証会社が代位弁済して取得した求償権も、別の債権として時効が進みます。件数を扱う会社では、案件ごとに「最も古い債権の時効がいつか」を一覧で管理することが、基準表を機能させる前提になります。

⚖️ 時効を止める・延ばす主な方法(2020年4月施行の改正民法)

  • 承認による更新:相手が債務を認めると、時効はそこから新たに進みます。一部の支払や、分割払いの合意書への署名がこれに当たります(民法152条)
  • 催告による完成猶予:督促をすると6か月は時効が完成しません。ただし、猶予中に重ねて催告しても、さらに延びることはありません(民法150条)
  • 協議を行う旨の合意:書面で合意すると、原則1年は時効が完成しません(民法151条)
  • 裁判上の請求・支払督促:手続中は完成が猶予され、判決などで権利が確定すると、そこから新たに時効が進みます(民法147条)

根拠条文:民法147条・150条・151条・152条・166条1項

ここで注意したいのは、「督促状を送ったから大丈夫」ではないという点です。催告で止まるのは6か月だけで、繰り返しても延びません。時効まで半年を切った案件は、承認を得られる見込みがなければ、裁判上の手続を検討する段階です。時効の仕組みの全体は債権の消滅時効の解説もあわせてご覧ください。

連絡の可否・相手の資力・居住状況

連絡が取れない案件は、社内の督促が最も空回りしやすい案件です。応答がないまま督促を続けても、時効と空室損失だけが進みます。

住んでいる気配がない場合、担当者は「部屋を開けて確認したい」「荷物を片付けて次に貸したい」と考えがちです。しかし、明渡しの手続を経ずに鍵を替えたり荷物を運び出したりすることは、自力救済として違法となるおそれがあります。所在不明の案件こそ、早い段階で法的手続の要否を判断する必要があります。

第三者が住み始めている疑いがあるときは、さらに急ぎます。訴訟の途中で占有者が入れ替わると、判決を得ても新しい占有者には執行できないおそれがあるためです。この場合、占有移転禁止の仮処分を先に検討します。仮処分の執行後に占有した者に対しては、本案の債務名義で明渡しの強制執行ができると定められています(民事保全法62条)。

信頼関係の壊れ方:滞納以外の事情を記録しておく

解除が認められるかどうかは、滞納額だけでなく、それまでの経緯全体で判断されます。無断での転貸、用法違反、近隣からの苦情、督促への不誠実な対応などは、信頼関係の破壊を裏づける事情になりえます。

社内では、督促の日時・方法・相手の反応を、案件ごとに時系列で記録しておくことが大切です。弁護士に出したとき、この記録がそのまま証拠と主張の材料になります。

時効が迫っている案件・連絡が取れない案件をお持ちの方へ

時効の残りが短い案件、連絡が取れない案件は、判断を先送りするほど打てる手が減ります。案件の一覧をお持ちいただければ、どこから手を付けるかを整理します。

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自社でできること・してはいけないこと

基準表で「自社で続ける」と仕分けた案件でも、やってよいことには限りがあります。保証会社と管理会社では立場が違うため、分けて整理します。

行為 判断 理由・注意点
保証会社が、代位弁済後の求償債権を自社名で督促する できる 自社の債権の請求。ただし深夜の連絡や勤務先への執拗な連絡など、社会通念を超える方法は避ける
管理会社が、管理委託契約に基づき入金の案内・状況確認をする 契約の範囲で可 どこまでが委託業務かは契約と実態で判断が分かれる。オーナーの債権について報酬を得て交渉・回収を代行すると弁護士法72条の問題になりうる
分割払いの合意書に署名をもらう できる 承認による時効の更新につながる。支払が滞ったときに残額を一括で請求できる条項(期限の利益喪失)を入れておく
部屋の鍵を替える・荷物を搬出する・ライフラインを止める してはいけない 自力救済として違法となるおそれ。損害賠償を請求される危険がある
保証委託契約の条項を根拠に「明渡し済み」と扱い、鍵交換や荷物の搬出をする してはいけない 同種の条項を最高裁が消費者契約法10条に当たると判断している(下記)。条項があっても、自力救済として違法となるおそれがある
公正証書(執行証書)で明渡しを強制執行する できない 執行証書で強制執行できるのは金銭等の一定額の請求に限られ、明渡しには訴訟などで得た債務名義が必要(民事執行法22条5号)

保証会社は「自社の債権」、管理会社は「オーナーの債権」

保証会社が代位弁済をすると、賃借人に対する求償権を自社の債権として持つことになります。自社の債権を自社で請求するのは通常の業務です。

これに対し、管理会社が扱う滞納賃料は、原則としてオーナー(賃貸人)の債権です。弁護士法72条は、弁護士でない者が報酬を得る目的で法律事件について代理や和解などの法律事務を取り扱うことを業とすることを禁じています。入金の案内や状況確認を超えて、相手と減額や支払条件の交渉を代行する場面では、この線を意識する必要があります。

自力救済にあたる行為は、担当者の善意でも避ける

鍵の交換、室内への立ち入り、荷物の搬出、電気・ガス・水道を止めるといった行為は、裁判所の手続を経ずに権利を実現しようとするもので、違法となるおそれがあります。担当者が「次の入居者のため」「部屋の状態を確認するため」と善意で行っても、会社が損害賠償を請求されることがあります。社内規程で「やってはいけない行為」を明文化しておくことをおすすめします。

保証委託契約の「明渡しみなし」「無催告解除」条項に頼らない

最高裁判所第一小法廷令和4年12月12日判決(令和3年(受)第987号・民集76巻7号1696頁)は、家賃債務保証の契約書にあった次の2つの条項について、いずれも消費者契約法10条に規定する消費者契約の条項に当たると判断しました。

  • 賃料等の不払が賃料3か月分以上に達したとき、保証会社が無催告で賃貸借契約を解除できるとする条項
  • 賃料等の不払が2か月以上続き、連絡が取れず、電気・ガス・水道の利用状況などから相当期間利用していないと認められる場合などに、賃借人が明示的に異議を述べない限り、明渡しがあったものとみなすことができるとする条項

また、この判決は理由の中で、保証会社が保証債務を履行したときは、賃貸人との関係では賃借人の賃料債務が消滅するため、賃貸人はその遅滞を理由に解除することはできず、特段の事情がある場合に限られる、という考え方を示しています。この場合に無催告で解除できるのは、賃借人に信頼関係を裏切って賃貸借関係の継続を著しく困難にするような不信行為があるなどの特段の事情があるときに限られる、とされています。代位弁済を続けている間は、賃貸人側から見た解除の理由の組み立て方が変わるという点は、明渡しに進むタイミングを考えるうえで重要です。個別の案件で解除が認められるかは事情によって異なるため、代位弁済が続いている案件は早めに方針を相談してください。自社の契約書に同種の条項がある場合は、条項の見直しとあわせて専門家に確認してください。

弁護士に出したあとの流れと、社内に残る仕事

弁護士に出すと社内の手間がゼロになるわけではありません。ただ、担当者の仕事は「督促を続けること」から「資料をそろえて判断すること」に変わります。工程ごとの役割分担は次のとおりです。

工程 弁護士が行うこと 社内で用意するもの
①受任前の確認 依頼者の確認(求償=保証会社/明渡し=賃貸人)、利益相反の確認、見通しと費用の説明 契約書一式、滞納の明細、督促の記録、入居者の情報
②請求・解除の通知 内容証明郵便で支払の催告・解除の意思表示、分割交渉 入金の有無の連絡、相手からの連絡の転送
③保全 必要に応じて占有移転禁止の仮処分、財産の仮差押え 現地の状況(表札・郵便物・電気メーター等)の情報
④訴訟・支払督促 明渡しと未払賃料の請求(1本の訴訟にまとめることが多い)、和解交渉 追加資料の提出、和解条件についての意思決定
⑤強制執行 明渡しの催告・断行の申立て、財産の差押え 執行日の立会いの調整、残置物の保管先の手配

回収と明渡しの手続の詳しい流れは、建物明渡し訴訟と強制執行の流れと家賃滞納の強制執行と裁判で解説しています。内容証明で送る催告書の書き方は督促状(内容証明)のテンプレートが参考になります。

回収の工程:求償債権・未払賃料

回収では、まず内容証明郵便で請求し、分割の合意ができればその内容を書面に残します。合意ができない、または連絡がない場合は、支払督促や訴訟に進み、判決などの債務名義を得たうえで、給与や預金の差押えを検討します。相手に差し押さえる財産がない場合、手続を進めても回収できないことがあります。

明渡しの工程:解除から断行まで

明渡しでは、催告と解除の通知のあと、明渡請求の訴訟を起こします。判決を得ても相手が退去しない場合は、強制執行を申し立てます。執行官は明渡しの催告をすることができ、引渡し期限は原則として催告の日から1か月を経過する日とされています(民事執行法168条の2第2項)。期限までに退去がなければ、断行によって明渡しを実現します。

誰の名前で進めるのか

同じ物件の滞納でも、求償債権の回収は保証会社、賃貸借契約の解除と建物の明渡しは賃貸人(オーナー)が当事者です。管理会社は日々の連絡の窓口にはなれますが、依頼者にはなりません。委任状も、それぞれの当事者からいただく必要があります。

保証会社は分割で回収を続けたい、賃貸人は早く明け渡してほしい、というように意向が分かれることもあります。その場合、1人の弁護士が両方の依頼を同時に受けることはできません。その場合は、どちらか一方のご依頼だけをお受けします。依頼の前に、関係者の意向が同じ方向を向いているかを確認しておくと、手続がスムーズです。

費用の考え方:工程で分けて見積もる

弁護士費用は、事務所や案件の内容によって大きく異なります。件数で依頼する場合に大切なのは、総額の比較よりも費用の構造を理解しておくことです。

工程ごとに見積もる

滞納案件の費用は、①家賃・求償債権の回収、②建物明渡し(催告・解除/訴訟/強制執行)、③継続でのお預かり、のように工程を分けて見積もると比較しやすくなります。すべての案件が強制執行まで進むわけではないため、工程ごとに分かれていれば、途中で解決した案件の費用も見通せます。弁護士費用の一般的な仕組みは弁護士費用の仕組みで解説しています。

弁護士報酬と実費を分ける

見積りを見るときは、弁護士報酬と、裁判所に納める印紙・郵券や執行官への予納金などの実費を分けて確認します。特に明渡しの断行では、荷物の搬出・運搬・保管などの作業費が別にかかり、物件の広さや残置物の量で大きく変わります。断行の実費は別途と考え、発生する前に概算を確認しておくと、社内の予算管理がしやすくなります。

費用倒れかどうかは「回収」と「損失の停止」を分けて考える

回収見込みの小さい案件は、費用倒れに見えることがあります。ただ、明渡しが目的の案件では、手続によって毎月の空室損失を止めるという効果があります。回収額だけで判断せず、明渡しが遅れた場合に失う賃料と、次の入居者を入れられる時期もあわせて比べるのが実務的です。

なお、ご紹介に対する謝礼・対価を、名目や金額の決め方を問わず弁護士とやりとりすることはできません。弁護士業務に関する法令・規程上の制約があるためです。費用は、依頼者に負担していただくのが原則です。

弁護士に相談すべきケースと、件数ごと預ける形

ここまでの内容を、「自社でできること」「自社では決められないこと」「件数ごと預ける形」の3段で整理します。

自社で決められない案件を、弁護士に預けるという選択

求償債権の回収は保証会社さま、明渡しは賃貸人さまのご依頼として、案件を分けてお受けします。お受けできるかは、利益相反と資料を確認したうえでご回答します。

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①自社でできること

  • 基準表に沿った仕分けと、案件ごとの時効の管理
  • 自社の債権(保証会社の求償債権)についての督促と、分割払いの合意
  • 督促の日時・方法・相手の反応の記録
  • 契約書の条項(解除条項・期限の利益喪失・明渡しに関する条項)の点検

②自社では決められないこと

  • 信頼関係の破壊が認められるか、解除に進んでよいか
  • 所在不明・第三者占有の疑いがある案件で、どの手続から始めるか
  • 時効が迫った案件で、どの手段で時効を止めるか
  • 保証会社と賃貸人の意向が分かれたときの進め方
  • 保証委託契約・管理委託契約の条項が有効に使えるか

これらは、どれも個別の事実関係によって結論が変わる法的判断です。判断を誤ると、手続のやり直しや損害賠償のリスクにつながります。基準表で右端に当たった案件は、早めに弁護士へ相談してください。

③件数ごと預ける形

毎月一定の件数が出る会社では、1件ずつその都度相談するより、件数ごと継続して預ける形のほうが、社内の判断が速くなります。どの基準で案件を出すか、どの資料をそろえるか、誰に何を報告するかを最初に取り決めておけば、担当者は仕分けと資料の準備に集中できます。

弁護士法人ブライトでは、保証会社・管理会社・法人オーナーの皆さまからのご依頼について、お受けする単位・情報のやりとりの範囲・費用の考え方を保証会社・管理会社向けのご案内ページにまとめています。継続でのお預かりを前提に、当初は1件ごとのお見積りとし、実績が見えた段階で月ごとの枠をご相談します。企業法務全般の外部法務部サービスや企業法務トップもあわせてご覧ください。

債権回収全体の考え方は中小企業の債権回収ガイド、法人テナントの滞納への段階別の対応は法人テナントの家賃滞納回収、督促から強制退去までの基本の手順は家賃滞納への対応手順、連帯保証人の極度額については連帯保証人の極度額で解説しています。

よくある質問

滞納が何か月になったら弁護士に依頼すべきですか?

一律の月数はありません。実務では3か月前後がひとつの目安ですが、連絡が取れない、住んでいる気配がない、第三者が住んでいる疑いがある、時効が近いといった事情があれば、2か月以内でも早めに相談したほうがよい案件です。反対に、少しずつでも支払が続き経緯に事情がある案件は、解除が認められにくいことがあります。大阪の弁護士法人ブライトでは、案件の一覧をもとに、どこから手を付けるかの整理からご相談いただけます。

督促状を送り続けていれば、時効は止まりますか?

止まりません。督促(催告)で時効の完成が猶予されるのは6か月だけで、その間に重ねて督促しても期間は延びません(民法150条)。時効を新たに進め直すには、相手に債務を認めてもらう(一部の支払や分割合意書への署名など)か、支払督促や訴訟などの裁判上の手続が必要です。時効まで半年を切った案件は、社内の督促とは別に手続を検討してください。

入居者と連絡が取れず、住んでいないようです。荷物を片付けて次に貸してもよいですか?

明渡しの手続を経ずに鍵を替えたり荷物を運び出したりすることは、自力救済として違法となるおそれがあり、損害賠償を請求される危険があります。保証委託契約に「明渡しがあったものとみなす」条項があっても、同種の条項を消費者契約法10条に当たると判断した最高裁判決(令和4年12月12日)があります。解除と明渡しの手続を進めることを前提に、弁護士へご相談ください。

保証会社と管理会社のどちらが弁護士に依頼するのですか?

請求の中身によって依頼者が変わります。代位弁済した家賃の求償債権の回収は保証会社、賃貸借契約の解除と建物の明渡しは賃貸人(オーナー)が依頼者です。管理会社は日々の連絡の窓口を担っていただけますが、委任状はご本人からいただきます。弁護士法人ブライト(大阪市北区)では、案件を分けてお受けし、関係者の意向が分かれていないかを受任前に確認しています。

滞納案件を件数ごと預ける形について、まずはご相談ください

継続でのお預かりを前提に、当初は1件ごとのお見積りから始め、件数と対象範囲をうかがって設計します。回収額や見込みをお約束するものではありません。

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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。
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