監修:和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士|大阪弁護士会 大阪で20年以上、中小企業の企業法務・顧問弁護士サービスを提供。顧問先130社以上に透明性の高いリーガルサポートを実践している。 「取締役会を開いているが議事録の書き方が正しいか自信がない」「役員報酬を変えたいが株主総会は必要か」「代表取締役の交代をどう進めればいいか」——顧問先の経営者からこうした相談が絶えません。 会社法は、取締役会・株主総会・監査役などの機関ごとに手続きを厳格に定めています。手続きに瑕疵があると決議が無効になるリスクがあり、後から問題が発覚したときの損害は大きくなります。中小企業では「とりあえず形式を整えておく」という運用が多いですが、実態と異なる議事録は後継者問題・M&A・融資審査の場面で必ず問題化します。 このページでは、弁護士法人ブライト「みんなの法務部」が顧問先130社以上の実務で蓄積した、会社運営・機関設計の法律知識を体系化してお届けします。 会社法の手続きが正しいか、顧問弁護士に確認しませんか 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 会社の機関設計とは何か 会社法は、株式会社の意思決定と業務執行を担う「機関」について詳細なルールを定めています。機関とは、株主総会・取締役・取締役会・代表取締役・監査役(監査等委員)・会計参与などを指します。 中小企業に多い3つの機関設計パターン 中小企業が選択する機関設計は、会社の規模・株主構成・事業フェーズによって異なります。大阪の顧問先130社以上の実態から見ると、以下の3パターンが大半を占めます。 パターン 機関構成 向いている会社 主な注意点 A. 取締役のみ 株主総会+取締役1〜2名 1人社長・家族経営 取締役会決議不要・書面決議可 B. 取締役会設置 株主総会+取締役3名以上+監査役 中規模・融資あり 取締役会議事録・招集通知が必須 C. 監査等委員会設置 株主総会+取締役(監査等委員兼任) 将来上場予定 定款変更・登記コストが発生 会社法上、取締役会を設置する会社(会社法362条)では、取締役3名以上と監査役(または会計参与)が必須です。「名前だけ取締役にした」という場合も、法律上は同等の責任を負います。顧問先でよくある問題が、「退任した旧役員が登記上まだ取締役のままになっていた」というケースです。この場合、旧役員が第三者に対して責任を負うリスクがあります(会社法429条1項)。 機関設計・登記状態を点検したい方へ 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 株主総会の運営と決議要件 株主総会は、会社の最高意思決定機関です。定時株主総会は決算期から3ヶ月以内に開催する義務があります(会社法296条)。中小企業では「毎年形式的に開いているが、議事録をきちんと残していない」というケースが少なくありません。 普通決議と特別決議の使い分け 株主総会の決議には、出席議決権の過半数で成立する普通決議と、3分の2以上の賛成が必要な特別決議の2種類があります。 主な決議の種類(会社法309条) 普通決議(過半数):役員の選任・解任、役員報酬の決定、計算書類の承認 特別決議(3分の2以上):定款変更、資本金の減少、解散、合併・会社分割 特殊決議(4分の3以上):発行する全株式を譲渡制限株式にする定款変更 根拠条文:会社法309条・466条・471条・783条 役員報酬の決定(普通決議)については、「どのように決議するか」「取締役会への委任の範囲をどう定めるか」が実務上の論点になります。詳しくは役員報酬の決議|株主総会の手続きと取締役会への委任をご参照ください。 株主総会議事録の記載事項(会社法318条)については、株主総会議事録のテンプレートと作成方法で6パターンのひな型を提供しています。 書面決議(みなし決議)の活用 取締役会を設置していない会社(いわゆる小規模会社)では、株主全員の書面による同意があれば株主総会の開催を省略できます(会社法319条)。1人社長の会社では「書面決議を使えば毎年の手間が減る」という点をご存知でない方も多いです。ただし、議事録に相当する書面は作成・保存が必須(10年間・会社法318条2項)です。 取締役会の運営と議事録 取締役会設置会社では、会社法上の重要事項の決定を取締役会で行う義務があります(会社法362条4項)。「重要な財産の処分」「多額の借財」「支配人その他の重要な使用人の選任・解任」などが代表例です。 取締役会の招集と定足数 取締役会の招集は、各取締役が行うことができます(原則)。ただし、招集権者を代表取締役に限定する旨を定款・取締役会規程に定めることが多いです。招集通知は会日の1週間前(定款で短縮可)に各取締役・監査役に発する必要があります(会社法368条)。 取締役会の決議要件は、議決権を行使できる取締役の過半数が出席し、その過半数の賛成です(会社法369条1項)。なお、利益相反取引の承認議案については、当該取引に利害関係を有する取締役は議決権を行使できません(会社法369条2項・特別利害関係人)。 取締役会議事録の作成方法・保存義務については取締役会議事録のテンプレートをご参照ください。また、取締役会の運営全般については取締役会の運営・議事録・決議要件で詳しく解説しています。 利益相反取引と承認手続き 取締役が自己または第三者のために会社と取引をする場合(直接取引)、または会社が取締役の債務を保証する場合(間接取引)は、利益相反取引として取締役会の承認が必要です(会社法356条・365条)。 顧問先でよくある具体例として、「社長個人が会社に土地を売却する」「社長保証の借入を会社が肩代わりする」「子会社との取引で親会社の取締役が両社の代表を兼ねている」といったケースがあります。これらは承認なしで行うと、取引の無効・取締役の損害賠償責任のリスクがあります。利益相反取引の承認手続きは利益相反取引の承認|取締役会議事録の書き方で解説しています。 利益相反・役員変更の手続きを顧問弁護士に確認する 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 役員(取締役・監査役)の選任・辞任・解任 役員の選任・解任は株主総会の普通決議で行います(会社法329条・339条)。ただし、正当な理由のない解任は損害賠償請求の根拠になります(会社法339条2項)。「問題がある取締役を外したい」という場合でも、手続きと理由の整備が必要です。 代表取締役の変更 代表取締役は取締役会決議で選定・解職します(取締役会設置会社の場合・会社法362条2項3号)。取締役会を設置していない会社では、定款または株主総会決議によります。代表取締役の変更は2週間以内に法務局への登記が必要です(会社法911条3項14号・915条1項)。 「代表取締役を解職したが、前の社長が会社の印鑑を持ったまま対外的に取引をしている」というトラブルが発生することがあります。こうした事態に備えて、解職と同時に印鑑証明・代表者印の引き渡し・取引先への周知を速やかに行うことが重要です。代表取締役の解任手続きは代表取締役の解任手続きで解説しています。 取締役の辞任と権利義務取締役 取締役が辞任の意思を示しても、後任取締役が選任されるまでの間は「権利義務取締役」として業務を続ける義務があります(会社法346条1項)。この仕組みを知らずに「退任届を出したから終わり」と思い込むケースがあります。実際には後任が決まるまで法的地位が継続します。取締役の辞任手続きは取締役の辞任手続きで詳しく解説しています。 定款変更の手続きと費用 定款は会社の根本規則です。事業目的の追加・商号変更・機関設計の変更・株式の譲渡制限の設定など、経営上の重要な場面で定款変更が必要になります。 定款変更は株主総会の特別決議(3分の2以上の賛成・会社法466条)が必要です。登記が必要な事項(商号・目的・発行可能株式総数など)は2週間以内に法務局へ申請します。費用は変更の内容によって異なりますが、登録免許税3万円(資本金額によって異なる場合あり)+司法書士費用が一般的な目安です。 定款変更の具体的な手順・費用の詳細は定款変更の手順と費用をご参照ください。また、定款変更の議事録の書き方については定款変更の手続き|株主総会特別決議・登記要否・典型例で解説しています。 役員報酬の決め方・変更手続き 役員報酬は原則として定款または株主総会決議で定めます(会社法361条)。「社長が勝手に役員報酬を決めている」という状態は、手続きとして問題があるだけでなく、税務調査でも問題となります。不定期・不規則な役員報酬の変更は、税務上「不相当に高額な役員給与」として損金算入を否認されるリスクがあります。 役員報酬を変更する場合も、原則として株主総会決議が必要です。ただし、株主総会で「取締役会一任」とすれば各取締役への配分は取締役会で決定できます(会社法361条1項)。役員報酬の決め方・変更手続きは役員報酬の決め方・変更手続き・議事録で詳しく解説しています。 増資・株式発行の手続き 増資(第三者割当・株主割当・有利発行)は、会社法199条以下に定められた手続きに従って行います。取締役会設置会社では原則として取締役会決議(一定の場合は株主総会特別決議)が必要です。 中小企業で多いのは「会社に資金が必要になったため、社長個人または知人に新株を引き受けてもらう」第三者割当増資です。この場合、既存株主の持分比率が変わるため、株主への影響を事前に整理することが重要です。増資の具体的な手続きは増資の手続き|第三者割当・株主割当・有利発行で解説しています。 少数株主への対応 中小企業では、創業者一族・元経営者・元役員が少数株主として残っているケースがあります。少数株主は議決権行使・株主代表訴訟提起(会社法847条)・会計帳簿閲覧請求(433条)などの権利を持ちます。経営に非協力的な少数株主への対応は、M&A・事業承継・融資場面で大きな障害となります。 少数株主を排除する法的手段としては、特別支配株主の株式等売渡請求(会社法179条以下・総株主議決権の90%以上保有が必要)や全部取得条項付種類株式などがあります。少数株主への対応は少数株主への対応をご参照ください。 会社法の問題を弁護士に相談する 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 会社運営・機関設計でよくある質問 取締役会を設置しなくても良い会社はどんな会社ですか? 非公開会社(全株式に譲渡制限を設けている会社)で、大会社(資本金5億円以上または負債200億円以上)に該当しない場合は取締役会の設置は任意です(会社法327条1項1号・2条6号・2条15号)。1人社長の中小企業の多くはこのパターンに該当し、取締役1名でも会社として機能します。取締役会を設けるかどうかは、融資条件・株主構成・将来の事業承継・M&Aの予定を考慮して判断します。大阪の中小企業では顧問弁護士に相談しながら決める例が増えています。 利益相反取引を取締役会承認なしで行った場合、どうなりますか? 会社法356条・365条に違反した利益相反取引は、会社側から無効を主張できる可能性があります(判例上、善意の第三者には対抗できない場合もあります)。また、承認なしで取引を行った取締役は、会社に対する損害賠償責任(会社法423条)や競業避止義務違反として責任を問われます。実務上は「知らずにやっていた」というケースが多く、発覚のきっかけはM&Aのデューデリジェンスや株主間紛争です。発覚後に追認手続きを取る場合も弁護士の関与が必要です。 定款変更と登記変更はどちらが先ですか? 定款変更の効力は株主総会特別決議の時点で生じます。一方、登記が必要な事項(商号・目的・機関設計など)については、変更の効力発生から2週間以内に法務局への申請が必要です(会社法915条1項)。登記は効力発生の「宣言」ではなく「公示」の役割であり、登記前でも会社内部では変更の効力が生じています。ただし、第三者への対抗要件として登記は重要であり、登記懈怠(しない・遅らせる)は過料(100万円以下)の制裁対象です(会社法976条)。 顧問弁護士に会社の機関設計を相談するメリットは何ですか? 機関設計のミスは後から修正コストが大きくなります。例えば、取締役会設置会社なのに取締役が2名しかいない状態は会社法違反であり、その間に行った取締役会決議の有効性が問われます。また、M&Aや融資の審査で「登記と実態が異なる」と判明すると交渉が頓挫します。大阪の弁護士法人ブライトでは、顧問先の定時株主総会・取締役会の議事録確認・定款整備を定常業務として担い、「後で問題になる芽」を早期に摘む体制を提供しています。弁護士歴平均14年以上のチームが、形式的な書類作成ではなく実態に即したアドバイスを行います。 会社法の手続きを間違えると株主から訴えられますか? はい、手続きの瑕疵は株主代表訴訟(会社法847条)や決議取消訴訟(会社法831条)の根拠になります。例えば、招集通知の期間が不足していた株主総会の決議は、決議日から3ヶ月以内であれば取消訴訟の対象となります。中小企業では「株主が自分しかいないから関係ない」と思われがちですが、後継者・相続人・M&Aの買い手が「潜在的な株主」として問題を起こすリスクがあります。特に少数株主が存在する場合は、議事録・招集通知の正確な管理が重要です。 まずは大阪の弁護士法人ブライトに無料相談する 弁護士法人ブライト「みんなの法務部」は大阪の中小企業の外部法務部。顧問先130社以上を実名公開・弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」を見る 無料で相談する 関連記事(会社運営・機関設計クラスター) 取締役会の運営・議事録・決議要件|会社法362条を弁護士解説 株主総会の運営方法|開催準備・議題・決議の種類・議事録の書き方 利益相反取引とは|中小企業の取締役会承認5ステップ 利益相反取引の承認|取締役会の議事録の書き方と特別利害関係人の判定 役員報酬の決議|株主総会の手続きと取締役会への委任 役員報酬の決め方・変更手続き・議事録 定款変更の手順と費用 定款変更の手続き|株主総会特別決議・登記要否・典型例 株主総会議事録のテンプレート|会社法318条準拠の6パターン 取締役会議事録のテンプレート|会社法準拠の7パターン 取締役の辞任手続き|権利義務取締役・辞任届テンプレ 代表取締役の解任|「解職」と「解任」の手続き 増資の手続き|第三者割当・株主割当・有利発行 少数株主への対応 監査役と監査等委員会の違い|3つの機関設計モデル 企業法務トップ 顧問弁護士サービス「みんなの法務部」 弁護士に相談する ▶ 会社運営の法務を弁護士に相談(サービス案内) →