業務委託契約書のひな形をWebで拾ってきても、チェックすべき箇所を押さえていなければ意味がない。受注側・発注側それぞれで、見るべき条文は異なる。実務で弁護士が必ずチェックする10項目を、優先順位付きで解説する。
この記事の結論
- 業務範囲・成果物の特定が最重要。曖昧なら後で「やった/やってない」紛争になる
- 知的財産権の帰属と損害賠償の上限は受注側・発注側で利害が真逆
- 下請法・偽装請負・契約類型(請負/準委任)の確認は法的リスク回避の必須項目
実務チェック10項目
①業務範囲・成果物の特定
「Webサイト制作一式」のような曖昧表現は紛争の元。納品物の仕様・数量・形式・受入条件を別紙で詳細化し、変更時の取り扱いまで記載する。
②契約類型(請負/準委任)
請負か準委任かで、報酬支払タイミング・成果物責任・解除条件が変わる。実態が請負なのに「業務委託」と書かれているケースが多く、税務・労務リスクの起点になる。
③報酬・支払条件
金額、消費税の扱い、支払サイト(締日・支払日)、振込手数料の負担、源泉徴収の有無。下請法対象なら60日以内の支払義務に注意。
④知的財産権の帰属
成果物の著作権・特許権の帰属。発注側に譲渡するのか、受注側に留保するのか、ライセンスのみ与えるのか。著作者人格権の不行使特約の要否。
⑤秘密保持・個人情報
業務遂行上知り得た情報の保護義務、退職後・契約終了後の存続期間、個人情報を扱う場合の安全管理措置。
⑥損害賠償の上限
受注側は「契約金額相当額」までの上限設定が望ましい。発注側は故意・重過失の場合は上限を外す条項を入れる。BtoBなら有効性のハードルは低い。
⑦解除条項
中途解約の可否、解約予告期間、違約金、催告解除の事由列挙。受注側は早期解約時の精算ルールを明確化したい。
⑧再委託の可否
再委託を認めるか、事前承諾制とするか、禁止か。発注側は情報漏えいリスク観点で原則禁止か承諾制が望ましい。
⑨契約不適合責任(瑕疵担保)
請負契約の場合、改正民法562条以下の契約不適合責任の期間設定。受注側は1年、発注側は2年〜が目安。
⑩裁判管轄・準拠法
紛争時の管轄裁判所。受注側・発注側のいずれかの本店所在地を専属管轄とするのが標準。
受注側が特に注意すべき条文
- 業務範囲を超える追加依頼への対応(追加報酬の根拠)
- 発注者の検収遅延ルール(受領なしの場合のみなし受入)
- 支払サイトが120日超など下請法違反水準でないか
- 知的財産権の全面譲渡を求められていないか(自社ノウハウの転用余地)
- 損害賠償の上限が契約金額を大きく超えていないか
発注側が特に注意すべき条文
- 成果物の品質基準・受入テスト方法の明確化
- 再委託の制限(情報漏えい・品質低下リスク)
- 知的財産権の帰属を発注側に明記
- 受注者の損害賠償責任の範囲(故意・重過失時は上限外)
- 業務委託が偽装請負と認定されない実態確保(指揮命令禁止)
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下請法該当性のチェック
発注側が資本金1,000万円超で、受注側が資本金1,000万円以下の事業者・個人事業主の場合、下請法(下請代金支払遅延等防止法)が適用される可能性がある。適用されると60日以内の支払義務、書面交付義務、買いたたき禁止、不当な取引制限の禁止など強い規制がかかる。
対象業種は製造委託・修理委託・情報成果物作成委託(ソフトウェア・デザイン等)・役務提供委託の4類型。Web制作・システム開発・コンサルティングの一部は対象。発注側の人事・経理担当者は、契約締結前に必ず該当性を確認する。
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