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業務委託契約書の知的財産権帰属条項|成果物・派生物・既存IP

業務委託で生まれる成果物の著作権・特許権はどちらに帰属するか――これは契約条文の設計次第で全く違う結論になる。受注側・発注側の利害が真逆になる典型条項である。

この記事の結論

  • 成果物の著作権・特許権の帰属は、譲渡・ライセンス・共有のいずれかで設計
  • 派生物・改良物の権利既存IPのライセンス範囲を区別する
  • 著作者人格権の不行使特約を入れないと、後で改変・利用に制約が出る

成果物の権利帰属パターン

パターンA:発注側に全面譲渡

「成果物に関する一切の知的財産権は発注側に譲渡する」と規定。発注側が自由に利用・改変・転売できる。受注側のノウハウ蓄積・他社への横展開は不可。

パターンB:受注側に留保+発注側にライセンス

「成果物の著作権は受注側に帰属し、発注側に対して目的範囲内で独占的(または非独占的)使用許諾を与える」と規定。受注側はノウハウとして活用可能。

パターンC:共有

「成果物に関する権利は両当事者の共有とする」と規定。実務的には複雑になりやすく、行使条件を別途明記する必要がある。

派生物・改良物の取扱い

「成果物」だけでなく、業務遂行過程で生まれた派生物・改良物・関連するノウハウの権利関係も明示する必要がある。

  • 業務委託の主目的物(成果物):パターンA・B・Cで設計
  • 派生的に生まれた汎用ノウハウ:受注側の事業継続のため留保が望ましい
  • 発注側の業務情報を改良して生まれた派生物:発注側に帰属
  • 受注側の既存ライブラリ・コードを使った成果物:当該既存IPのライセンスとして扱う

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既存IPのライセンス

受注側がもともと持っているコード・素材・ライブラリを成果物に組み込んだ場合、当該既存IPの権利は受注側に留保し、成果物の利用に必要な範囲で発注側にライセンスする設計が標準。

ライセンス範囲(独占/非独占)、地域、期間、サブライセンス可否、改変権を明文化する。

著作者人格権の取扱い

著作権法59条により、著作者人格権は譲渡できない。著作権が譲渡されても、著作者人格権(氏名表示権・同一性保持権)は受注側(個人著作者)に残る。

発注側が成果物を自由に改変・修正するためには、契約書で「著作者人格権の不行使特約」を必ず入れる。これがないと、発注側が改変するたびに著作者から異議を受けるリスクがある。

職務著作との関係

受注側が法人で、その従業員が成果物を作成した場合、著作権法15条の職務著作要件を満たせば著作権は法人に帰属する。法人→発注側に著作権譲渡という流れで権利移転が完結。

受注側がフリーランス個人の場合は職務著作にならず、個人から発注側への譲渡という形になる。著作者人格権の不行使特約がより重要になる。

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和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士

弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒

専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生

  • この記事を書いた人

笹野 皓平

弁護士法人ブライト パートナー弁護士: あなた自身や周りの方々がよりよい人生を歩んでいくために、また、公正な社会を実現するために、法の専門家としてサポートできることを日々嬉しく感じています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
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顧問弁護士担当弁護士

  • image

    笹野 皓平

    2008年

    京都大学 法学部(Kyoto University Faculty of Law)卒業

    2010年

    司法試験合格・立命館法科大学院修了

    2011年

    弁護士登録(大阪)

    2019年

    大阪弁護士協同組合 総代

    法人向け・個人向けを問わず、幅広い業務に取り組んできました。その場しのぎの単なる助言だけで終わるのではなく、最終的な局面を見据えた「真の問題解決」を目指す姿勢を大切にしています。

    プロフィールを詳しく見る

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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