「うちのSLAは99.5%」「業界標準は99.9%」――BtoB SaaSの可用性目標と損害賠償上限は、契約交渉で必ず議論になる。数字の見栄えだけでなく、未達時の補償条項とのセットで設計しないと意味がない。実務相場と設計の考え方を整理する。
この記事の結論
- 可用性は99.5%(月3.6時間ダウン)/99.9%(月43分ダウン)/99.95%(月22分ダウン)の3水準が標準
- 未達時はサービスクレジット(月額の数〜十数%返金)が現実的
- 損害賠償上限は「直近12ヶ月支払額」が業界標準。間接損害は除外
可用性目標の3水準
可用性とダウンタイム上限
- 99.5% 月3時間36分/年43時間50分。エントリーSaaS・無料枠の標準
- 99.9% 月43分/年8時間46分。BtoB SaaSの中堅水準
- 99.95% 月22分/年4時間23分。エンタープライズSaaSの目安
- 99.99% 月4分/年52分。金融・医療系の高可用ライン
計画停止(メンテナンス)を含めるか除くかで実数が大きく変わる。一般には「計画停止は除く」が標準だが、頻度・通知期間を別途規定する。
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SLA未達時の補償は、現実には返金よりサービスクレジット(次月以降の利用料割引)が一般的。実務的な設計例は次のとおり。
- 可用性99.0〜99.5%:月額の10%相当のサービスクレジット
- 可用性98.0〜99.0%:月額の25%相当
- 可用性98.0%未満:月額の50%相当
- 可用性95.0%未満:契約解除権付与
サービスクレジットの上限は通常、月額の100%(同月料金まで)。年間ベースの累積上限を設けるベンダーもある。
損害賠償上限の業界相場
上限の典型ライン
BtoB SaaSの損害賠償上限は「直近12ヶ月の支払額」または「契約金額」。年間契約数千万円規模ならこの上限で利用企業の損害カバー範囲は限定的だが、ベンダー側の倒産リスクを抑える観点から定着している。
間接損害の除外
「逸失利益・営業機会損失等の間接損害は賠償しない」が標準条項。利用企業の売上機会損失をベンダーが賠償すると損害額が無限大化するため。
上限解除条項
故意・重過失・データ漏えい・知財侵害については上限を外すのが一般的。完全上限の条項は公序良俗違反として無効化リスクがある。
交渉での落としどころ
- 可用性99.9%(マイナーベンダーは99.5%でも妥当)
- 計画停止は事前通知48時間・月1回まで
- サービスクレジットは未達時の自動付与(請求不要)
- 損害賠償上限は12ヶ月支払額または500万円のいずれか高い額
- データ漏えい・知財侵害・故意は上限解除
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