従業員に「入社時に秘密保持誓約書を取っているから大丈夫」と考えている企業は多いが、これだけでは退職後の情報保護として弱い。入社時・退職時の2段構えで誓約書を取得し、就業規則・社内体制と一体で運用するのが実務の標準である。具体的な設計を整理する。
この記事の結論
- 入社時の包括誓約書に加えて、退職時の個別誓約書で具体的な秘密情報を特定
- 誓約書だけでなく就業規則・社内体制と連携して秘密管理性を確保
- 退職時の個別ヒアリング・データ削除確認・物理返還のセットで実効性を確保
入社時の秘密保持誓約書
入社時の誓約書は「包括的」に設計する。入社後にどんな情報に触れるかは未確定なので、「業務上知り得た秘密情報全般」を対象とする。
- 在職中・退職後を通じた秘密保持義務
- 目的外利用の禁止・第三者開示の禁止
- 退職時の物理返還義務(書類・PC・USB等)
- 電子データの削除義務
- 違反時の損害賠償・違約金(金額は定額または年収相当)
- 退職後の競業避止義務(地域・期間・代償措置を別紙で)
従業員の秘密保持・退職時管理でお困りの経営者様へ
弁護士法人ブライトは、入社・退職時の誓約書整備、就業規則改定、退職時ヒアリングと営業秘密保護の運用設計を伴走支援します。
▶ 顧問契約・スポット相談 📞 0120-929-739(平日9-18時)退職時の個別誓約書
退職時には、個別の秘密情報を具体的に特定した誓約書を取得する。包括誓約書だけでは「何が秘密情報か」が争われるため、退職時に具体化することで紛争予防になる。
- 在職中に取り扱った具体的な秘密情報の列挙
- 退職後の使用・開示禁止の確認
- 競業避止義務の内容と代償措置の確認(必要に応じて)
- 退職後の連絡先・転職先(情報秘密関連の確認のため)
- 問い合わせ窓口の通知
就業規則との関係
誓約書だけでなく就業規則にも秘密保持義務を明記する。両者の関係は、就業規則が一般ルール、誓約書が個別合意。退職後にも残る義務として両方で根拠を確保する。
- 就業規則:在職中・退職後の秘密保持義務、違反時の懲戒処分・退職金不支給
- 誓約書:個別の秘密情報の特定と具体的な合意
- 教育記録:秘密保持教育の実施記録、年1回の確認
退職時の実務手順
- 退職届受領後の聞き取り:在職中に取り扱った秘密情報の特定、転職先の確認
- 個別誓約書の作成・取得:聞き取り内容を反映
- 物理返還:社員証・PC・名刺・書類・USB等の回収
- 電子データ削除確認:個人PC・スマホからのデータ削除を本人確認+IT部門でログ確認
- SNS・メール退会:業務用アカウントの引継ぎ・削除
- 顧客への通知:退職を取引先に通知し、秘密情報の取扱い変更を周知
競業先転職時の追加対応
- 競業避止義務の確認と請求書の送付(代償措置がある場合)
- 転職先への抗議文書(情報持ち出しの可能性を伝達)
- 退職者のメール・ファイルアクセスログ調査
- 重大ケースは差止仮処分の検討
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