「来月から支払サイトを30日から60日に変更します」――取引先からこんな通知が来たとき、受注側はどう対応すべきか。下請法対象なら違法の可能性、対象外でも交渉余地は大きい。実務的な対応を整理する。
この記事の結論
- 下請法対象なら支払サイト60日以内が法律上の上限。それを超える変更は違法
- 下請法対象でなくても、一方的変更は買いたたき・優越的地位の濫用として独禁法違反リスク
- 受注側は反対意思の明示・交渉・公正取引委員会への相談の3段階で対応
下請法の支払サイト規制
下請代金支払遅延等防止法(下請法)2条の2は、親事業者は下請代金を給付の受領後60日以内かつできる限り短い期間内に支払わなければならないと定める。違反すると公正取引委員会の指導・勧告・公表対象となる。
下請法対象の判定:(1)親事業者の資本金が1,000万円超かつ、(2)下請事業者の資本金が1,000万円以下の事業者・個人事業主、で、(3)製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託のいずれかに該当する場合。
支払サイト変更要求への対応
下請法対象の場合
60日超への変更要求はそのものが違法。「下請法2条の2違反になります」と書面で指摘し、変更を断る。それでも親事業者が押し通す場合は、公正取引委員会または中小企業庁の下請相談窓口に相談する。
下請法対象外の場合
下請法は適用されないが、独占禁止法の優越的地位の濫用に該当する可能性がある。一方的な不利益変更で取引先がやむを得ず受け入れざるを得ない状況なら、独禁法違反として公取委に申告できる。
業務委託料の支払サイト変更でお困りの経営者様へ
弁護士法人ブライトは、下請法該当性評価、支払サイト変更の交渉、公取委への相談まで伴走サポートします。
▶ 顧問契約・スポット相談 📞 0120-929-739(平日9-18時)受注側の交渉カード
- 反対意思の明示(書面):「現契約の支払サイトを維持する」と書面で回答
- 取引価格の見直し提案:支払サイト延長の代償として単価アップを要求
- 新規発注のみ新サイト適用:既存発注は従前条件を維持する条件を提示
- 段階的延長の提案:30日→45日→60日と段階的に延長
- 公的相談窓口の活用:公正取引委員会・中小企業庁・下請かけこみ寺
発注側の合法的な変更手順
- 下請法該当性の事前確認:60日超に変更できないケースを除外
- 変更理由の説明:経営状況・業界水準等の客観的理由を文書化
- 事前協議:受注側との協議記録を残す
- 代償措置の検討:取引価格の見直し・前払金制度の併用
- 覚書での合意:両当事者署名による書面合意を取得
支払遅延が発生した場合
- 遅延損害金の請求:法定利率(年3%)または契約上の利率
- 下請法違反の申告:公取委・中小企業庁への申告で介入を要請
- 取引停止:継続取引でも支払不履行時は取引停止権を発動
- 支払督促・少額訴訟:60万円以下なら少額訴訟が迅速
- 仮差押え:相手方の倒産が懸念される場合
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