LINE相談

KNOWLEDGE

雇い止め法理と無期転換ルール|労契法19条と18条の実務

「有期契約だから契約期間で終了するのは当然」――そう考えていると、労契法19条の雇い止め法理で雇い止めが無効化される。さらに5年超の継続だと労契法18条の無期転換ルールも適用される。実務での対応を整理する。

この記事の結論

  • 労契法19条:解雇権濫用と同視できる場合・継続雇用の合理的期待ある場合は雇い止め無効
  • 労契法18条:通算5年超で労働者の申込みで無期転換
  • 5年直前の雇い止めは19条違反リスク。形式的な期間管理では対応できない

労契法19条の枠組み

労働契約法19条は、有期労働契約の更新拒絶(雇い止め)について、(1)解雇権濫用と同視できる場合、(2)契約更新の合理的期待がある場合、のいずれかに該当する場合、客観的合理性・社会通念上の相当性のない雇い止めは無効と定める。

解雇権濫用同視の典型例=過去更新が反復され実質的に無期雇用と同視できる場合。合理的期待の典型例=更新を期待させる説明があった場合・更新が定例化していた場合。

雇い止めが無効化される典型パターン

  • 更新回数が3回以上で、各更新時に簡単な手続きしか経ていない
  • 「特に問題なければ更新」と説明していた
  • 業務内容が正社員と同様で、有期契約の合理的理由がない
  • 周辺の有期労働者が長期間雇用されていた
  • 更新拒絶の理由が客観的に乏しい(業務縮小・本人の能力不足の立証不十分等)

有期雇用・雇い止め・無期転換でお困りの経営者様へ

弁護士法人ブライトは、有期雇用ポリシーの設計、雇い止め時の対応、無期転換社員制度の整備まで伴走サポートします。

▶ 顧問契約・スポット相談 📞 0120-929-739(平日9-18時)

労契法18条の無期転換ルール

通算契約期間が5年を超え、労働者が無期転換を申し込んだ場合、使用者の承諾を待たずに無期転換が成立する。クーリング期間(6ヶ月以上の空白)がない限り通算される。

無期転換後の労働条件は、特段の合意がない限り転換前と同じ。賃金・職務・労働時間は変わらず、契約期間だけが無期になる。

5年直前の雇い止めリスク

「5年を超えると無期転換が発生するから、5年経過前に契約を打ち切る」という運用は、労契法19条の雇い止め法理で無効化されるリスクが高い。判例上「無期転換回避目的の雇い止め」は合理性なしとされる傾向。

5年経過前の雇い止めを行うなら、(1)業務量の減少・組織再編など客観的事由、(2)本人の能力不足の立証、(3)十分な説明と代替案提示、(4)更新時の毎回の説明(「次回更新は確約しない」等)の4点を整備しておく必要がある。

実務での対応

  1. 有期雇用ポリシーの明文化:何のために有期にするか(業務量変動・専門業務等)
  2. 更新時の毎回説明:「次回更新は確約しない」「業務状況により更新しない可能性あり」を書面で
  3. 5年経過前の対応方針決定:無期転換を許容するか、4年で雇い止めするか、業務終了まで延長するか
  4. 無期転換社員の処遇規程整備:転換後の賃金・職務・定年
  5. 雇い止め時の説明・記録:理由を文書化、本人面談記録を保管

関連する論点・関連記事

和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士

弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒

専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生

  • この記事を書いた人

笹野 皓平

弁護士法人ブライト パートナー弁護士: あなた自身や周りの方々がよりよい人生を歩んでいくために、また、公正な社会を実現するために、法の専門家としてサポートできることを日々嬉しく感じています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

関連記事

顧問弁護士担当弁護士

  • image

    笹野 皓平

    2008年

    京都大学 法学部(Kyoto University Faculty of Law)卒業

    2010年

    司法試験合格・立命館法科大学院修了

    2011年

    弁護士登録(大阪)

    2019年

    大阪弁護士協同組合 総代

    法人向け・個人向けを問わず、幅広い業務に取り組んできました。その場しのぎの単なる助言だけで終わるのではなく、最終的な局面を見据えた「真の問題解決」を目指す姿勢を大切にしています。

    プロフィールを詳しく見る

事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

お問い合わせ

CONTACT

弁護士法人 ブライトへの法律相談、
メディア出演依頼・取材に関する
お問い合わせはこちら

お電話での
お問い合わせ

TEL:06-4965-9590

※受付時間 9:00-18:00

法務ドックで経営が変わる

あなたの会社を法的トラブルから守る
弁護士法人ブライト (著)
多くの企業は法的トラブルを未然に防ぐ対策を講じておらず、顧問弁護士も不在です。本書では「法務ドック」を活用し、リスク回避を図る「みんなの法務部」を提案します。
多くの企業は法的トラブルを未然に防ぐ対策を講じておらず、顧問弁護士も不在です。本書では「法務ドック」を活用し、リスク回避を図る「みんなの法務部」を提案します。

顧問弁護士

経営者のための弁護士「活用」バイブル
弁護士法人ブライト (著)
顧問弁護士はトラブル対応だけでなく契約書作成など実務も担う身近な存在となりました。本書では顧問弁護士の活用メリット、自社に合う選び方、法的リスクのマネジメントについて解説します。
顧問弁護士はトラブル対応だけでなく契約書作成など実務も担う身近な存在となりました。本書では顧問弁護士の活用メリット、自社に合う選び方、法的リスクのマネジメントについて解説します。