この記事の監修者 和氣 良浩(わけ よしひろ) 弁護士法人ブライト|代表弁護士 大阪弁護士会 取扱分野:顧問弁護士・企業法務・債権回収・不動産(明渡し) 家賃保証会社の求償・回収部門では、毎月何十件という代位弁済が発生します。担当者からよく聞くのは、次のような悩みです。「分割で払ってもらっている案件と、連絡が取れない案件が混ざっていて、どれがいつ時効になるのか一覧で見えない」「支払督促と少額訴訟、どちらを標準にすべきか社内で決まっていない」。 求償債権の回収で最初に押さえるべきことは、代位弁済をするたびに、その日から別々の時効が動き出すという点です。そのうえで、①債務者の承認をどう取るか、②分割合意書に何を書くか、③法的手続をどの基準で使い分けるか、を社内のルールとして決めておくと、件数が増えても取りこぼしが減ります。 この記事では、大阪で企業法務・債権回収を扱う弁護士法人ブライトが、家賃保証会社の担当者向けに、求償債権の時効・承認・分割合意・手続の使い分けを、社内でそのまま使える表の形で整理します。なお本記事は一般的な制度の説明です。個別の債権について結論を出すものではありません。実際の対応は、契約書と経過を確認したうえで弁護士にご相談ください。 求償債権の回収を、件数で回る形に整えたい保証会社さまへ 求償債権の回収は、1件ずつの督促よりも「時効の管理と手続の選び方を、件数で回る形に整えること」が要です。弁護士法人ブライトは大阪で、保証会社さまをご依頼者とする求償債権の回収を、件数ごと預ける形でお受けしています(お受けできるかは、利益相反の有無を確認して判断します)。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。 保証会社・管理会社向けのご依頼の形を見る 債権回収のサービスを見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00) 求償債権の回収は「代位弁済の日付の管理」から始まる 求償債権は、賃貸人への代位弁済という「支払った事実」から生まれる債権です。回収の設計は、この債権がいつ生まれ、どこまでの範囲で請求できるかを正確に押さえるところから始まります。 代位弁済をするたびに求償権が生まれる 賃借人から委託を受けて保証をした保証会社が、賃借人に代わって家賃を支払うと、保証会社は賃借人に対して求償権を取得します(民法459条1項)。家賃保証の場合、滞納が続く限り毎月代位弁済をすることが多いため、1人の賃借人に対して、支払月ごとに複数の求償権が積み上がっていく形になります。 時効の起算点は「支払った日」 最高裁は、委託を受けた保証人が弁済などで主たる債務を消滅させたことにより取得する求償権(事後求償権)について、消滅時効はその弁済等をした時から進行すると判断しています。事前求償権を取得していた場合でも、両者は別個の権利であり、この結論は変わらないとされました(最高裁判所第三小法廷 昭和60年2月12日判決・昭和59年(オ)第885号・民集39巻1号89頁)。 実務に置き換えると、4月・5月・6月に代位弁済した案件は、4月分・5月分・6月分がそれぞれ別の日に時効を迎えるということです。案件単位の「最終入金日」だけで管理していると、古い月の分から先に時効が近づいていることに気づきにくくなります。 請求できる範囲は「支払った額+α」 求償できるのは、代位弁済のために支出した額です(民法459条1項)。これに加えて、弁済した日以後の法定利息と、避けることができなかった費用その他の損害も求償の範囲に含まれます(同条2項・442条2項)。保証委託契約に遅延損害金や事務手数料の定めがある場合は、その定めも確認します。ただし賃借人が消費者である場合、遅延損害金の定めは年14.6%を超える部分が無効になるなど、消費者契約法の制限を受けます(消費者契約法9条1項2号)。 求償の根拠と範囲(民法) 求償権の発生:委託を受けた保証人が主たる債務者に代わって弁済したとき、支出した財産の額について求償権を取得する(459条1項) 範囲:弁済その他免責があった日以後の法定利息、避けることができなかった費用その他の損害の賠償を含む(459条2項が準用する442条2項) 時効の起算点:事後求償権の消滅時効は、弁済等をした時から進行する(最判昭和60年2月12日) 根拠:民法459条・442条2項、消費者契約法9条1項2号(e-Govで条文確認) 月ごとに動く時効の管理から相談できます 求償債権の回収は、1件ずつの督促よりも「時効の管理と手続の選び方を、件数で回る形に整えること」が要です。弁護士法人ブライトは大阪で、保証会社さまをご依頼者とする求償債権の回収を、件数ごと預ける形でお受けしています(お受けできるかは、利益相反の有無を確認して判断します)。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。 保証会社・管理会社向けのご依頼の形を見る 債権回収のサービスを見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00) 求償債権の消滅時効は何年か|改正民法と経過措置の整理 2020年4月1日に改正民法が施行され、消滅時効のルールが変わりました。家賃保証の求償債権では、保証委託契約をいつ結んだかによって、どちらのルールが適用されるかが分かれます。 【表1】求償債権の消滅時効の整理(社内台帳の区分に使える形) 保証委託契約の時期 適用されるルール 時効期間 起算点の考え方 2020年4月1日以後に締結 改正後の民法166条1項 ①権利を行使できると知った時から5年②権利を行使できる時から10年(いずれか早い方) 保証会社は代位弁済をした時点で請求できると知っているのが通常のため、実務上は「代位弁済日から5年」で管理するのが基本 2020年3月31日以前に締結(代位弁済が施行日以後でも同じ) 改正前の規律(民法改正法附則10条4項) 会社が当事者となる保証委託から生じた求償債権は、旧商法522条の商事消滅時効(5年)が問題になるのが一般的(同条は改正に伴い削除済み。経過措置により旧ルールで判断する) 権利を行使できる時=代位弁済日から進行 判決・仮執行宣言付支払督促などで権利が確定した後 民法169条1項 確定の時から10年 確定時に弁済期が来ていない部分には適用されない(同条2項) 2020年4月以後の契約は「代位弁済日から5年」が基本 改正後の民法166条1項は、権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年のいずれか早い方で時効が完成すると定めています。保証会社は自ら代位弁済をしているため、支払った時点で求償できることを知っているのが通常です。そのため実務では、代位弁済日から5年を管理の基準にします。 古い保証委託契約は「契約日」で区分する 改正法の附則10条は、施行日前に債権が生じた場合の時効期間について「なお従前の例による」としています。ここでいう「施行日前に債権が生じた場合」には、施行日以後に生じた債権であっても、その原因となる法律行為が施行日前にされたものを含むと定められています(附則10条1項かっこ書き・4項)。 そのため、2020年3月以前の保証委託契約に基づく求償債権は、代位弁済が2020年4月以後であっても、改正前のルールで考える場面があります。更新を重ねた長期契約が残っている保証会社では、台帳に「保証委託契約の締結日」の欄を持っておくことをおすすめします。期間の結論がどちらのルールでも5年となることが多い一方、どちらのルールで判断したかを記録しておかないと、争いになったときに説明ができません。 判決や仮執行宣言付支払督促を取ると10年になる 確定判決や、確定判決と同一の効力を有するもの(異議がなく確定した仮執行宣言付支払督促、裁判上の和解など)によって権利が確定すると、時効期間は10年になります(民法169条1項、民事訴訟法396条)。債務名義を取った案件と取っていない案件は、時効の管理表を分けて持つと混乱しません。債権全体の時効の考え方は、売掛金の消滅時効と時効完成を防ぐ方法でも整理しています。 時効を止める手段|承認・催告・協議の合意・法的手続 改正民法では、時効を「一時的に止める」ことを完成猶予、「ゼロから数え直させる」ことを更新と呼びます。件数で扱う会社にとっては、どの手段がどちらの効果を持つかを、担当者全員が同じ理解で使えることが大切です。 【表2】時効を止める手段と効果(民法147条〜152条) 手段 効果 期間・注意点 社内で完結できるか 債務者の承認(一部弁済・分割の申入れ・残高確認書への署名など) 更新(その時から新たに進行) 最も使いやすい。承認した事実を書面・入金記録で残す できる 催告(督促状・内容証明) 完成猶予のみ 催告から6か月。猶予中に再度催告しても延びない(民法150条2項) できる(ただし6か月以内に次の手を打つ前提) 協議を行う旨の書面合意 完成猶予のみ 原則1年。再度の合意は通算5年まで。催告による猶予中の合意は効果なし(民法151条) できる(書面・電磁的記録が必要) 支払督促・訴訟の提起 手続中は完成猶予、権利が確定すれば更新 確定すれば時効期間は10年に。確定せずに終わると終了から6か月の猶予のみ(民法147条) 申立て自体は社内でも可能。争われた後の対応は検討が必要 強制執行・財産開示・第三者からの情報取得 手続中は完成猶予、終了で更新 取下げ・取消しで終わった場合は更新しない(民法148条) 債務名義が前提 承認は「更新」=最も効果が大きい 権利の承認があると、時効はその時から新たに進行を始めます(民法152条1項)。一部の弁済、支払猶予や分割払いの申入れ、残高を認める書面への署名は、承認として扱われるのが一般的です。電話で「来月払います」と言われただけでは、後から承認を証明するのが難しくなります。通話記録や、合意内容を送ったSMS・書面の控えなど、客観的な形で残してください。 なお、承認などによる時効の更新は、原則として当事者とその承継人の間でのみ効力を持ちます(民法153条3項)。一方で、主たる債務者について生じた時効の完成猶予・更新は、保証人にも効力が及びます(民法457条1項)。求償債務に別の保証人がついている場合は、誰の承認を取ったのかを台帳に記録しておくと、後で整理しやすくなります。 催告は「6か月の延命」にすぎない 督促状や内容証明郵便による催告は、6か月間、時効の完成を猶予するだけです(民法150条1項)。猶予中に再度催告しても、さらに延びることはありません(同条2項)。時効の直前に内容証明を送り、その6か月以内に支払督促か訴訟に進む、という段取りを社内ルールにしておく必要があります。内容証明の書き方は内容証明郵便の書き方と文例も参考になります。 時効完成後に承認があった場合の扱い 最高裁大法廷は、債務者が消滅時効の完成後に債務を承認した場合、時効完成を知らなかったときでも、信義則に照らしてその後の時効の援用は許されないと判断しています(最高裁判所大法廷 昭和41年4月20日判決・昭和37年(オ)第1316号・民集20巻4号702頁)。 ただし、これは「時効が過ぎた債権でも、承認させれば回収できる」という意味ではありません。承認を得た経緯によっては、信義則上の制限が働かない場面もあり得ます。時効期間を過ぎた可能性がある案件は、請求の前に社内で区分し、扱いを個別に検討するのが安全です。 社内台帳に最低限持っておきたい項目 保証委託契約の締結日(改正前・改正後の区分) 代位弁済日と金額(支払月ごと) 直近の承認の日付・方法・相手(本人/保証人) 催告の日付(6か月の期限を自動計算) 債務名義の有無と確定日(10年管理への切替え) 時効の近い案件の棚卸しから相談できます 求償債権の回収は、1件ずつの督促よりも「時効の管理と手続の選び方を、件数で回る形に整えること」が要です。弁護士法人ブライトは大阪で、保証会社さまをご依頼者とする求償債権の回収を、件数ごと預ける形でお受けしています(お受けできるかは、利益相反の有無を確認して判断します)。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。 保証会社・管理会社向けのご依頼の形を見る 債権回収のサービスを見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00) 分割合意書の設計|条項ごとのチェック表 家賃保証の求償債権は、一括では払えない債務者が多く、分割合意が回収の中心になります。分割合意書は、時効の更新(承認)の証拠であると同時に、支払が止まったときに次の手続へ進むための土台です。 【表3】求償債権の分割合意書・条項チェック表 条項 入れる理由 抜けていると起きること 債務の特定と承認文言(代位弁済日・金額・残高を明記し「債務を承認する」と書く) 承認の証拠として時効を更新させる どの月の求償分を承認したのか争いになる 分割の金額・支払日・振込先 履行の基準を明確にする 遅れたかどうかの判断がぶれる 期限の利益喪失(例:2回分以上の遅滞で残額を一括請求) 不履行時に残額全体を請求できるようにする 未払の各回分しか請求できず、手続を何度も取ることになる 遅延損害金の率 遅滞への抑止と損害の填補 消費者相手に年14.6%を超えて定めると超過部分は無効(消費者契約法9条1項2号) 連絡先・住所変更の届出義務 所在不明による手続の停滞を防ぐ 支払督促が送達できず手続が止まる 求償債務の保証人の署名(いる場合) 保証人に対する請求の根拠と承認を同時に確保 保証人について別途時効管理が必要になる 「どの債務を承認したか」を特定する 件数を扱う会社でよくあるのが、ひな形の「貴社に対する一切の債務」という書き方だけで済ませてしまうケースです。承認の効果を争われたときに備え、代位弁済日ごとの金額と合計残高を別紙で添付しておくと、どの求償分について時効が更新されたかを明確にできます。分割払いの一般的な注意点は分割払いの合意書を作るときの注意点で解説しています。 私文書・公正証書・即決和解の使い分け 分割合意を私文書で結んだだけでは、支払が止まったときに改めて支払督促や訴訟が必要です。金額が大きい案件や、過去に約束を破ったことがある債務者については、合意の時点で強制執行ができる形にしておく選択肢があります。 【表4】分割合意の形式の比較 形式 強制執行できるか 向いている案件 注意点 私文書の分割合意書 できない(別途、債務名義が必要) 少額・初回の分割・支払意思が明確 承認の証拠としては十分。不履行時は支払督促等へ 公正証書(強制執行認諾文言付き) できる(民事執行法22条5号) 金額が大きい・長期分割 債務者と公証役場へ行く手間と費用がかかる 訴え提起前の和解(即決和解) できる(和解調書) 明渡しと未払金を同時に整理したい案件 簡易裁判所への申立て(民事訴訟法275条)。明渡しは賃貸人さまの案件として別に扱う 相手からの「払う意思はある」という申し出にどこまで応じるかの判断基準は、「払う意思はある」は信用してよいかで類型別に整理しています。 支払督促・少額訴訟・通常訴訟の使い分け 分割合意が取れない、または合意が守られない案件は、法的手続に進みます。件数で扱う会社は、どの基準でどの手続を標準にするかを決めておくと、担当者ごとの判断のばらつきを防げます。 【表5】求償債権の回収手続の使い分け 手続 金額の上限 申立先 向いている案件 件数で使うときの注意 支払督促 なし 債務者の住所地を管轄する簡易裁判所の書記官(民事訴訟法383条) 争いがなく、住所が判明している案件 異議が出ると債務者の地元の裁判所で訴訟になる。送達から2週間が過ぎて仮執行宣言を申し立てられるようになった時から30日以内に申し立てないと失効(同法392条) 少額訴訟 60万円以下(同法368条) 簡易裁判所 金額が小さく、証拠がそろっている案件 同じ簡易裁判所で年10回まで。件数で使うとすぐ上限に達する。被告の申述で通常訴訟に移行する(同法373条) 通常訴訟(簡易裁判所) 140万円以下(裁判所法33条1項1号) 簡易裁判所 争いが予想される・分割の交渉を裁判上で詰めたい案件 社員を代理人にするには裁判所の許可が必要(民事訴訟法54条1項ただし書) 通常訴訟(地方裁判所) 140万円超 地方裁判所 高額・複数の保証人がいる案件 弁護士以外は代理人になれない(同法54条1項) 支払督促は「争いのない案件の標準ルート」 支払督促は書類審査のみで発付され、債務者が受け取ってから2週間以内に異議を申し立てなければ、債権者の申立てにより仮執行宣言が付されます。仮執行宣言付支払督促に異議がなければ、確定判決と同一の効力を持ちます(民事訴訟法391条・396条)。手続が早く、裁判所に出向く必要もないため、住所が判明していて争いのない案件の標準ルートに向いています。 注意点は、異議が出ると支払督促を発した簡易裁判所、またはその所在地を管轄する地方裁判所での訴訟に移行することです(同法395条)。大阪の保証会社が遠方の債務者に支払督促を申し立てた場合、異議が出れば遠方の裁判所での訴訟対応が必要になります。なお2026年5月21日以降、支払督促や訴えはオンラインでも申し立てられるようになり、弁護士等の訴訟代理人には電子申立てが義務付けられています(裁判所ウェブサイト)。 少額訴訟は「年10回」の上限に注意 少額訴訟は60万円以下の金銭請求について、原則1回の審理で判決まで進む手続です。ただし、同じ簡易裁判所で利用できるのは1人(1社)につき年10回までです。毎月何十件と代位弁済が発生する保証会社では、少額訴訟を標準ルートにするとすぐに上限に達します。また、判決で3年以内の分割払いや支払猶予が定められることがある点も、通常訴訟との違いです。 勝った後の回収まで見て手続を選ぶ 判決や仮執行宣言付支払督促を得ても、債務者に財産がなければ回収はできません。債務名義があれば、裁判所の手続で預貯金などの情報を金融機関から取得できる場合があります。一方で、勤務先の情報を取得する手続は、養育費や生命・身体の侵害による損害賠償などの債権に限られ、求償債権では使えません(裁判所ウェブサイト「情報取得」)。判決後の強制執行の流れは少額訴訟で勝訴判決を得た後の強制執行で解説しています。 手続の標準ルートづくりから相談できます 求償債権の回収は、1件ずつの督促よりも「時効の管理と手続の選び方を、件数で回る形に整えること」が要です。弁護士法人ブライトは大阪で、保証会社さまをご依頼者とする求償債権の回収を、件数ごと預ける形でお受けしています(お受けできるかは、利益相反の有無を確認して判断します)。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。 保証会社・管理会社向けのご依頼の形を見る 債権回収のサービスを見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00) 家賃保証会社が回収で注意したいこと 求償債権は保証会社自身の債権です。そのため回収は自社で行えますが、家賃保証という事業の性質上、特に注意すべき点があります。 契約条項に頼った「みなし明渡し」は使えない 最高裁は、家賃保証会社の契約書にあった、①賃料等の滞納が3か月分以上になったときに保証会社が無催告で賃貸借契約を解除できる条項、②一定の事情があるときに賃貸住宅の明渡しがあったものとみなす条項について、いずれも消費者契約法10条に規定する消費者の利益を一方的に害する条項に当たると判断し、その使用の差止めを認めました(最高裁判所第一小法廷 令和4年12月12日判決・令和3年(受)第987号・民集76巻7号1696頁)。 求償債権の回収と明渡しは、別の問題として進める必要があります。回収の圧力として部屋の明渡しを持ち出す、鍵を交換する、荷物を搬出するといった対応は、紛争を大きくし、回収そのものを難しくします。 求償債権と明渡しは「ご依頼者」が違う 弁護士法人ブライトでは、同じ物件でも、代位弁済された家賃の求償債権の回収は保証会社さま、賃貸借契約の解除・建物の明渡しは賃貸人(オーナー)さまをご依頼者として、案件を分けてお受けしています。保証会社さまは分割で回収を続けたい、賃貸人さまは早く明け渡してほしい、というようにご意向が分かれることがあるためです。ご意向が分かれている場合は、どちらか一方のご依頼としてお受けします。 督促の方法は「後から説明できるか」で決める 深夜や早朝の連絡、勤務先への頻繁な連絡、第三者への事情の説明は、債務者との関係を悪化させ、苦情や紛争の原因になります。督促の時間帯・回数・連絡先の範囲を社内ルールとして定め、記録から後で説明できる督促に揃えておくことが、結果として回収を安定させます。滞納全体の段階別の対応は法人テナントの家賃滞納回収|段階別対応と保証会社・連帯保証人の活用も参考にしてください。 自社でできること・自社では決められないこと・件数ごと預ける形 求償債権の回収は、すべてを弁護士に出す必要はありません。社内で回せる部分と、判断が必要な部分を分けることで、コストと取りこぼしの両方を抑えられます。 【表6】求償債権の回収|社内と弁護士の役割分担 区分 具体的な内容 ①自社でできること 代位弁済日ごとの時効管理/承認の取得と記録/分割合意書(ひな形)の締結/催告(督促状・内容証明)/争いのない案件の支払督促の申立て ②自社では決められないこと 時効期間を過ぎた可能性がある案件の扱い/改正前・改正後どちらのルールかが微妙な案件/督促異議が出た後の訴訟対応/公正証書・即決和解の条項設計/債務者の破産・死亡・所在不明が絡む案件/明渡しとの進め方の調整 ③件数ごと預ける形 月あたりの件数と対象範囲を決めて継続でお預かりする形。当初3か月は1件ごとのお見積りとし、実績が見えた時点で月ごとの枠をご相談 社内の判断基準づくりから、継続でのお預かりまでご相談いただけます 求償債権の回収は、1件ずつの督促よりも「時効の管理と手続の選び方を、件数で回る形に整えること」が要です。弁護士法人ブライトは大阪で、保証会社さまをご依頼者とする求償債権の回収を、件数ごと預ける形でお受けしています(お受けできるかは、利益相反の有無を確認して判断します)。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。 保証会社・管理会社向けのご依頼の形を見る 債権回収のサービスを見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00) 弁護士への相談を検討したい場面 時効まで6か月を切った案件が複数あり、社内の手続では間に合わない 支払督促に異議が出て、遠方の裁判所で訴訟になった 債務者側に弁護士がつき、時効の援用や減額を主張してきた 債務者の破産・死亡・相続の情報が入った 明渡しを進めたい賃貸人さまと、回収を続けたい自社の意向が分かれている 継続でお預かりする場合の考え方 弁護士法人ブライトでは、保証会社さま・賃貸管理会社さま向けに、ご依頼の単位・情報のやりとりの範囲・費用の考え方をまとめたページを用意しています。お見積りは回収・明渡し・継続でのお預かりの工程ごとに分けてお出しし、弁護士報酬と実費は必ず分けてご案内します。回収できる金額や見込みをお約束するものではありません。また、ご紹介に対する謝礼・対価は、名目や金額の決め方を問わず、お支払いもお受け取りもいたしません。詳しくは保証会社・管理会社向けのご依頼の形をご覧ください。 社内に法務担当がいない会社が、日常の契約・債権管理まで相談できる体制を整えたい場合は、顧問弁護士サービスもご検討ください。債権回収全体の流れは中小企業の債権回収|全手順と弁護士活用法にまとめています。 よくある質問 家賃保証会社の求償債権の時効は、いつから数えますか? 委託を受けた保証人の求償権の消滅時効は、代位弁済をした時から進行するとした最高裁判決があります(昭和60年2月12日)。毎月代位弁済している場合は、支払月ごとに別々の時効が進むと考えて管理します。2020年4月以後の保証委託契約であれば、代位弁済日から5年を基準に管理するのが基本です。大阪の弁護士法人ブライトでは、台帳の区分から相談をお受けしています。 督促状を送れば時効は止まりますか? 督促状や内容証明郵便による催告は、6か月間、時効の完成を猶予するだけです(民法150条)。猶予中に再度催告しても延びません。時効を数え直させる(更新する)には、債務者の承認を得るか、支払督促や訴訟で権利を確定させる必要があります。 分割払いの約束をすると、時効はどうなりますか? 分割払いの申入れや一部弁済は、債務の承認として扱われるのが一般的で、承認の時から時効が新たに進行します(民法152条)。後から証明できるよう、代位弁済日ごとの金額と残高を明記した分割合意書を作っておくことをおすすめします。 少額訴訟を標準の手続にしてもよいですか? 少額訴訟は60万円以下の請求で使える手続ですが、同じ簡易裁判所で年10回までという利用回数の上限があります。毎月多数の案件が生じる保証会社では、争いのない案件は支払督促、争いが予想される案件は通常訴訟、という組み合わせを検討するのが現実的です。 求償債権の回収と建物の明渡しを、まとめて大阪の弁護士に頼めますか? 弁護士法人ブライトでは、同じ物件でも、求償債権の回収は保証会社さま、明渡しは賃貸人さまをご依頼者として案件を分けてお受けしています。両者のご意向が同じ方向か確認したうえで、それぞれの委任の範囲内で対応します。ご意向が分かれている場合は、どちらか一方のご依頼としてお受けします。 求償債権の回収は、弁護士法人ブライトにご相談ください 求償債権の回収は、1件ずつの督促よりも「時効の管理と手続の選び方を、件数で回る形に整えること」が要です。弁護士法人ブライトは大阪で、保証会社さまをご依頼者とする求償債権の回収を、件数ごと預ける形でお受けしています(お受けできるかは、利益相反の有無を確認して判断します)。顧問先142社・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが対応します。 保証会社・管理会社向けのご依頼の形を見る 債権回収のサービスを見る 06-4965-9590(平日9:00〜18:00) この記事と併せて読まれている記事 保証会社・管理会社向けのご依頼の形|家賃回収・建物明渡し 売掛金の消滅時効は5年|時効完成を防ぐ4つの方法と起算点の判断 分割払いの合意書を作るときの注意点 「払う意思はある」は信用してよいか|債務者の申し出5類型別の判断基準 売掛金の内容証明郵便の書き方と文例 少額訴訟で勝訴判決を得た後の強制執行 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