既存の取引先と支払サイトを30日から60日に延長したい、振込日を月末から翌月10日に変更したい――こうした支払条件の変更は、覚書で済ませることが多い。ただし下請法該当性・税務影響・社内決裁基準など、見落とすと後で問題になる論点がある。実務注意点を整理する。
この記事の結論
- 支払条件変更の覚書は、変更内容・適用開始日・変更前条件の取り扱いを必ず明記
- 下請法対象取引では支払サイト60日超への変更はそもそも違法
- 変更で受注側が不利益を被る場合、合意を強要したと評価される交渉経過を残さない
支払条件変更の典型パターン
- 支払サイトの延長(30日 → 60日)/短縮(60日 → 30日)
- 支払日の変更(月末締翌月末払い → 月末締翌々月10日払い)
- 支払方法の変更(小切手 → 銀行振込/一括払い → 分割払い)
- 通貨の変更(円建て → ドル建て)
- 前払い・後払いの切替え
覚書記載の必須項目
- 元契約の特定:YYYY年MM月DD日締結の○○契約書を一部変更
- 変更前後の条件:変更前→変更後の対比表または明文
- 適用開始日:YYYY年MM月DD日以降の発注分から適用
- 未払債権の取り扱い:覚書発行時点で未払いの代金は変更前条件で支払う旨
- その他条項の維持:変更条項以外は元契約のまま有効と明記
支払条件変更の社内ルール整備でお困りの経営者様へ
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発注者が資本金1,000万円超で、受注者が資本金1,000万円以下の事業者・個人事業主の場合、下請法が適用される。下請法では支払サイトを引渡しから60日以内に設定することが義務(下請法2条の2)。
下請法対象の取引で支払サイトを60日超に延長する覚書は、下請法違反として無効。覚書を結んでも公正取引委員会の指導対象となるリスクがある。経理担当者は元契約の下請法該当性を必ず確認してから覚書を作成する。
税務・会計への影響
支払サイトの変更は、買掛金・売掛金の決算処理に影響する。決算期またぎで条件変更すると、買掛金(または売掛金)の計上時期と支払時期がずれて、財務諸表の見え方が変わる。
経理部門と事前協議を行い、変更タイミングと決算期との関係を整理してから覚書を発行する。月次の資金繰りシミュレーションも必要に応じて実施。
社内決裁基準
- 金額閾値(変更影響額が一定額超なら役員決裁)
- サイト延長は経理部・財務部の承認必須
- 下請法該当性のチェックリスト記入
- 覚書ひな形の使用と独自文言追加時の法務確認
- 両当事者署名後の覚書原本の保管ルール
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