グループ会社間の人事交流・関連会社支援・キャリア育成――出向は企業実務で頻繁に行われるが、「在籍出向か転籍出向か」「人件費はどちらの会社が負担するか」「労働者派遣法との関係」など、法的整理が必要な論点が多い。
この記事の結論
- 在籍出向=出向元との雇用契約を維持。出向先と二重の指揮命令関係
- 転籍出向=出向元との雇用契約を解消。出向先のみと雇用関係
- 労働者派遣法との抵触に注意。グループ会社間で利益が伴うと派遣業の許可が必要になることも
在籍出向と転籍出向
在籍出向
労働者は出向元と雇用契約を維持しつつ、出向先で就労する。出向先からは指揮命令を受け、賃金は出向元が支給するか、出向先が支給する。雇用主(基本的責任者)は出向元のままだが、労務管理は出向先と分担する。
転籍出向
労働者の出向元との雇用契約を解消し、出向先と新たな雇用契約を締結する。実質的には転職と同じだが、グループ会社間で従業員を移動させる場合に「転籍出向」と呼ぶ。労働者の同意が必要。
人件費負担の典型パターン
在籍出向の人件費負担パターン
- パターンA 全額出向元負担(無償出向)。グループ内の経営支援・社員育成目的
- パターンB 出向元と出向先で按分。50:50・70:30・30:70など案件次第
- パターンC 全額出向先負担。実質的に派遣に近い構造
- パターンD 出向元が立替払い→出向先から請求書で精算。経理処理が複雑
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在籍出向で出向先が出向元に出向料を支払う形だと、外形上は労働者派遣に近い。労働者派遣法では「業として行う場合」に許可が必要だが、在籍出向は通常「業として」に該当しない。
判定基準は、(1)出向の目的が労働者派遣ではないこと、(2)出向料が労働者の賃金相当額に収まり利益が出ていないこと、(3)社員育成・経営支援などの正当目的があること。グループ会社間で出向が頻繁・大規模で利益も伴うと、労働者派遣業の許可を要求される可能性がある。
出向契約書の必須条項
- 出向の種類(在籍/転籍)
- 出向期間と更新ルール
- 賃金支払者(出向元/出向先)
- 人件費負担割合
- 労働時間・休日・休暇の管理
- 就業場所と業務内容
- 労災発生時の責任
- 機密保持・成果物の取扱い
- 復職時の処遇
- 解除条件と精算ルール
労働者の同意取得
在籍出向では、就業規則に出向命令の根拠規定があれば包括同意で命令可能(最判平成15年4月18日)。ただし出向先・期間・処遇を考慮した合理的な命令でなければならない。
転籍出向は労働者の個別同意が必須。包括同意では足りない(東京地裁判例多数)。
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