「損害賠償は契約金額を上限とする」――業務委託契約でよくある条項だが、本当にどこまで有効か。BtoB事業者間ではほぼ有効だが、無効化されるラインも存在する。判断枠組みと実務相場を整理する。
この記事の結論
- BtoB事業者間の損害賠償上限条項は原則有効。消費者契約法の規制対象外
- 業界相場は「契約金額」または「直近12ヶ月支払額」
- 故意・重過失時は上限解除するのが標準。完全上限は公序良俗違反リスク
BtoB事業者間の原則
BtoB事業者間の損害賠償上限条項は、契約自由の原則から原則有効。消費者契約法10条の規制対象外で、当事者間の合意がそのまま効力を持つ。
ただし民法90条の公序良俗違反として無効化されるケースもあり得る。極端に低い上限・故意による損害も上限内に抑える条項などが該当する。
業界相場
損害賠償上限の業界相場
- システム開発(請負) 契約金額の100%
- システム開発(準委任) 直近6ヶ月の支払額
- SaaS提供 直近12ヶ月の支払額
- コンサルティング 契約金額の50〜100%
- Webサイト制作 契約金額の100%
- クリエイティブ制作 契約金額の100%
- アウトソーシング(BPO) 直近12ヶ月の支払額
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▶ 顧問契約・スポット相談 📞 0120-929-739(平日9-18時)間接損害の除外
「逸失利益・営業機会損失等の間接損害は賠償しない」が標準条項。直接損害のみに限定することで、賠償額の天井を実質的に下げる。
間接損害除外の典型文言:「本契約に関連する一切の損害について、両当事者は逸失利益・特別損害・間接損害について賠償の責を負わない」。
故意・重過失時の上限解除
完全上限の条項(「いかなる場合も契約金額を上限とする」)は、故意による損害も上限内に収めることになり、公序良俗違反として無効化されるリスクがある。
実務的な設計:「ただし、故意または重大な過失による場合、本上限は適用されない」と例外条項を入れる。これにより通常の過失時は上限内、故意・重過失時は実損ベースで賠償、というバランスが取れる。
受注側・発注側の交渉観点
交渉観点
- 受注側 上限を低く(直近6ヶ月支払額)/間接損害除外を強く/重過失要件の限定(『悪意または重大な過失』)
- 発注側 上限を高く(契約金額または年間支払額)/故意・重過失時は無制限/知財侵害・データ漏えいは上限解除
上限が無効化されるリスク
- 上限が極端に低い(契約金額の1%等)
- 故意・重過失も含めて完全上限
- 知財侵害・人身事故・違法行為も上限内
- 受注側の力関係で発注側が一方的に押し付けた条項
- 業界水準から大きく乖離した上限
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