NDAに「永久に秘密保持する」「契約終了後10年間秘密保持する」と書かれているケースがあるが、長期化するほど履行確認が困難になり、実効性は逆に下がる。情報の陳腐化サイクルと業界実務に合わせた合理的な期間設定を整理する。
この記事の結論
- 実務の標準は契約期間1〜3年+残存期間3〜5年
- 永久秘密は技術的に履行困難。情報の陳腐化を考慮すべき
- 業界別ではIT3〜5年・製造10年・医薬品15〜20年・M&A情報5〜7年が目安
契約期間と残存期間の分離
NDAの期間設計は、(1)契約自体の有効期間、(2)契約終了後も残存する保護義務期間、の2つに分けるのが一般的。
契約期間中は情報のやりとりが続き、契約終了後は新規の情報開示はないが、それまでに開示した情報の保護義務が残るという構造。両者を一致させると、契約終了と同時に保護義務がなくなり、情報が拡散するリスクがある。
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業界別NDA期間の目安
- IT・SaaS 契約1〜3年+残存3〜5年(技術陳腐化が早い)
- 製造業(一般) 契約3〜5年+残存5〜10年(製品ライフサイクルに連動)
- 医薬品・バイオ 契約5〜10年+残存15〜20年(特許保護期間と整合)
- M&A初期 契約2〜3年+残存3〜5年(DD情報の陳腐化)
- 採用関係 契約1年+残存2〜3年(候補者の処遇情報)
- 業務委託前段 契約1〜2年+残存2〜3年(提案情報)
- 共同開発 契約3〜5年+残存5〜10年(成果物・ノウハウ)
永久秘密の落とし穴
「永久に秘密保持する」と契約しても、(1)受領者の人事異動・退職で履行責任者が不在になる、(2)情報の陳腐化で実質的価値がなくなる、(3)裁判所が長期間の秘密保持義務を合理的でないと判断するリスクがある。
実務的には、特殊な技術ノウハウ・営業秘密の根幹情報のみ「特に長期保護を要する」として個別合意し、それ以外は通常の3〜5年残存にするのがバランスが取れる。
情報の陳腐化サイクル
- ITサービスの仕様:1〜2年で陳腐化
- 営業戦略・販売価格:1〜3年で公知化
- 新製品の技術情報:3〜5年で技術進歩
- 顧客リスト・取引データ:5〜10年で価値減少
- 製造プロセス・歩留まり:5〜15年で改善・公知化
- 医薬品の臨床データ:特許保護期間内(〜20年)
NDA期間はこのサイクルに合わせて設定するのが合理的。陳腐化した情報を長期間保護する義務を負わせるのは、受領者にとっても運用負荷が高くなる。
更新・延長の設計
- 自動更新条項:契約期間満了の○ヶ月前までに不更新通知がなければ自動更新
- 個別合意での延長:双方合意での期間延長(覚書で対応)
- 残存期間の延長:特定情報のみ残存期間を延長する条項
- 新規情報の追加開示:別NDAを追加締結するか、覚書で旧NDAを延長
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