代金が完済されるまでは商品の所有権を売主に留保する「所有権留保特約」は、買主の倒産リスクに対する強力な保全手段である。しかし第三者への対抗要件・登記の要否・買主による加工・転売の場合の効力など、実務的に詰めておくべき論点が多い。売買契約での所有権留保の使い方を整理する。
この記事の結論
- 所有権留保は動産売買の代金回収を強化する有力手段。買主倒産時の取戻しが可能
- 第三者対抗要件は引渡し。占有改定で対抗できるが、加工・善意取得には弱い
- 実務では所有権留保+連帯保証+集合動産譲渡担保の3点セットが定番
所有権留保特約とは
売買契約で「代金が完済されるまでは目的物の所有権が売主に残り、完済時に買主に移転する」とする特約。民法上の合意は自由で、動産売買・不動産売買のいずれでも設定できる。
実務上は割賦販売・継続供給契約・OEM取引などで使われる。代金が長期分割で支払われる取引や、買主の与信に不安がある取引で有効。
効力範囲
買主倒産時の取戻し
買主が破産・民事再生・会社更生に入った場合、所有権留保特約に基づいて目的物の取戻しを主張できる。破産の場合は別除権、民事再生では更生担保権の立場になる。
第三者対抗要件
動産の場合、引渡しが対抗要件(民法178条)。占有改定でも対抗できるが、買主から善意・無過失で取得した第三者には対抗できない(即時取得・民法192条)。
加工・転売時の効力
買主が目的物を加工して新たな製品にした場合、加工によって新たな所有権が発生し、所有権留保の対象から外れることがある。原材料供給型の取引では特約で「加工後物にも所有権留保が及ぶ」と明記する。
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- 所有権留保+連帯保証:人的担保と物的担保のセット
- 所有権留保+集合動産譲渡担保:在庫全体に対する担保強化
- 所有権留保+自家保険条項:目的物の保険金請求権を売主に譲渡
- 所有権留保+検収後即時取戻し条項:支払遅延時の取戻し手続簡略化
所有権留保とリース・割賦販売の比較
リース契約は所有権がリース会社に終始残る点で所有権留保と類似する。割賦販売も同じく所有権を売主に留保する形が多い。違いは、リースは賃貸借契約、所有権留保売買は売買契約という法的性質の差にある。
税務上は、リースは経費計上、所有権留保売買は資産計上と償却で扱いが異なる。買主の決算戦略にも影響する。
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