問題社員への対応手順を弁護士が解説|タイプ別5つのステップと解雇・退職勧奨・懲戒の進め方【大阪・使用者側】

問題社員への対応手順を弁護士が解説|タイプ別5つのステップと解雇・退職勧奨・懲戒の進め方【大阪・使用者側】

問題社員とは、問題行動や能力不足、ハラスメント行為などにより、会社に悪影響を与える社員を指します。会社に問題社員がいてもすぐさま解雇することは難しく、組織や周囲の社員に悪影響を及ぼさないよう、適切な対応をとるのは困難です。この記事では、問題社員への基本的な対応方法や円満に解決する方法、問題社員を放置した場合のリスク、問題社員を生まない方法などについてご紹介します。今、まさに問題社員を抱えている会社の担当者や、今後問題社員が出てきた場合に備えて対策方法を知りたい方の参考にご覧ください。

和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士

/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒

注力分野:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生

先に結論だけ知りたい方へ——問題社員対応・5つのステップ早見表

  1. 問題行動の特定と記録開始(日時・内容・相手の反応を書面化)
  2. 口頭注意→書面による警告書の交付(就業規則の該当条項を明示)
  3. 改善機会の付与と業務改善計画(PIP)の実施
  4. 退職勧奨の実施(強要にならない進め方と退職合意書の作成)
  5. 懲戒処分または解雇の実施(弁明機会付与→懲戒委員会→書面通知)

各ステップの詳しい進め方・判例根拠は「経営者が踏むべき5つのステップ」で解説しています。

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問題社員の類型別初期対応・注意指導書の書き方(実例文付き)・懲戒規定の整え方・退職勧奨の進め方・「解雇できる記録」の作り方を5章にまとめました。注意指導書テンプレート(Word形式)付きです。

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問題社員対応に「唯一の正解」はありません

「この社員を辞めさせたい」という目的は同じでも、最適な手段は状況によってまったく異なります。解雇が有効なケースもあれば、退職勧奨が適切なケース、配置転換で問題が解消するケースもあります。

なお、退職勧奨そのものは使用者が基本的に自由に行える適法な働きかけですが、社員が拒否の意思を示した後も執拗に繰り返すなど社会通念上相当な範囲を逸脱すると違法な退職勧奨として不法行為となり、慰謝料の支払いを命じた裁判例もあります(渡辺弘『労働関係訴訟〔改訂版〕Ⅱ(リーガル・プログレッシブ・シリーズ)』(青林書院、2021年))。

弁護士法人ブライトは「何ができるか」ではなく、「あなたの目的に何が最適か」から考えます。法務部がない会社の「外部法務部」として、顧問先130社以上・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。

このページでは、問題社員に悩む大阪・全国の経営者が「どの手段を選ぶべきか」を判断するための整理をします。各手段の詳細な進め方は、それぞれのスポーク記事でご確認ください。

問題社員対応は「その場しのぎ」より「体制づくり」が大切です

弁護士法人ブライトの顧問先130社以上に共通することは、問題社員が起きるたびに弁護士を呼ぶのではなく、就業規則・懲戒規程・証拠収集の方法をあらかじめ整備している点です。弁護士法人ブライトは、単発対応ではなく再発防止まで伴走する「外部法務部」です。詳しくは顧問弁護士サービス(外部法務部)をご覧ください。

「どの手段が向くか」から相談できます

弁護士法人ブライトは、法務部がない会社の「外部法務部」。顧問より一歩、会社の中へ——大阪の中小企業の顧問先130社以上を実名公開・企業法務部の弁護士歴平均14年以上のチームが伴走します。まずは無料でご相談ください。

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大阪の中小企業経営者から届く、よくある相談

弁護士法人ブライトに寄せられる問題社員相談の大半は、次のような状況です。

  • 「とにかくこの社員に辞めてほしい。でも、どうすればいいか分からない」
  • 「解雇したいが、逆に訴えられそうで怖い」
  • 「退職勧奨を試みたが、拒否された。次の手が分からない」
  • 「証拠が全然ない。今から取れるのか」
  • 「労基署に駆け込まれるのではと不安で何もできていない」

これらの相談に共通しているのは「辞めさせたいという結論は出ているが、手段の選び方が分からない」という状態です。

重要なのは、どの手段を選ぶかは「なぜ辞めさせたいのか」という目的によって決まるということです。目的を整理しないまま手段を選んでも、効果が出ないか、法的リスクを招く結果になります。

ブライトが顧問先から実際に相談を受けた事例では、「解雇できるか」と尋ねてきた経営者に対して、まず「なぜ辞めさせたいのか」「周囲の社員への影響は出ているか」「就業規則の整備状況は」という確認から入ります。この最初の15分が、手段選択のすべてを左右します。

📋 まず、自社の状況を整理してみてください

当てはまる項目が多いほど、対応の準備が整っています。空欄が多い場合は、動く前に「整える」段階です。

  • ☐ 問題行動が繰り返し発生している(1回限りではない)
  • ☐ 口頭で注意・指導をした記録がある
  • ☐ 書面(注意書・警告書)で記録を残している
  • ☐ 改善の機会(改善期間・目標設定)を与えた
  • ☐ 就業規則に懲戒・解雇事由が明記されている
  • ☐ 周囲の社員への影響(離職・士気低下・業務支障)が出ている

空欄が多いなら、まず「記録」と「就業規則」から。チェックの数より、空欄の埋め方が結果を分けます。

今の状況を一緒に整理します

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問題社員対応マニュアル|経営者が踏むべき5つのステップ

問題社員対応で会社が「負ける」ケースの共通点は、手順を無視して解雇に踏み切ったことです。弁護士法人ブライトの顧問先(130社以上)の実績から、次の5ステップが法的に有効な対応の骨格です。

【問題社員対応 5ステップ】

  1. 問題行動の特定と記録開始(日時・内容・相手の反応を書面化)
  2. 口頭注意→書面による警告書の交付(就業規則の該当条項を明示)
  3. 改善機会の付与と業務改善計画(PIP)の実施(記録継続・期間設定)
  4. 退職勧奨の実施(強要にならない進め方と退職合意書の作成)
  5. 懲戒処分または解雇の実施(弁明機会付与→懲戒委員会→書面通知)

最高裁判所は、使用者が解雇権を行使できるのは「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当と認められる場合」に限るとしています(労働契約法16条)。重要なのは、ステップ1〜3を経ずに解雇したケースは裁判で高確率で無効とされることです。大阪の経営者が問題社員への対応で最初に弁護士に相談すべき理由はここにあります。

▶ 判例:最高裁判所第二小法廷 昭和52年1月31日判決(昭和49年(オ)第165号/判例秘書 L03210004)
アナウンサーが業務ミスを2度繰り返したことを理由に解雇されたが、最高裁は「改善の余地があった」として解雇を無効とした。この判例が示すのは、「問題があっても、まず改善機会を与えたか」が解雇有効性の鍵という原則です。

▶ 判例:最高裁判所第二小法廷 昭和50年4月25日判決(昭和43年(オ)第499号/判例秘書 L03010057)
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当として是認できない場合には、解雇権の濫用として無効になる——という解雇権濫用法理を最高裁として明示した判例。実務上も、弁明機会の付与なしの懲戒解雇は無効になるリスクが高い。

📄 無料ダウンロード:問題社員・解雇対応 実務ガイド

本記事の手順を社内で運用できる資料にまとめています。問題社員の類型と初期対応・注意指導書の書き方(実例文付き)・懲戒規定の整え方・退職勧奨の進め方・「解雇できる記録」の作り方の5章構成+注意指導書テンプレート(Word形式)付きです。

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なぜ辞めさせたいのか——目的を4つのレベルで整理する

「問題社員を辞めさせたい」という相談の背景には、実は異なる目的が混在しています。目的のレベルによって、最適な手段はまったく違います。

レベル1:能力・成果の問題(能力不足型)

業務をこなせない、指示に従えない、成果が出せないという状況です。本人に悪意はなく、単純に「会社が求めるレベルに達していない」ケースです。

特徴:急ぐ必要はないが、放置すると他の社員の負担が増す。証拠は「業務の指示記録と達成状況」。

レベル2:周囲への悪影響(職場環境破壊型)

本人の問題行動が他の社員の退職・士気低下・生産性低下を引き起こしているケースです。パワハラ、ハラスメント、暴言が典型です。

特徴:放置のコストが高い。他の優良社員が先に辞める前に動く必要がある。証拠は「被害を受けた社員の証言・チャット記録・診断書」。

※プライバシー保護のため、複数の事例をもとに内容を一部変更して紹介しています。

ブライトが実際に相談を受けた事例では、職場でセクハラ行為を繰り返した社員への対応で、録音記録と他の社員の証言を積み上げ、退職勧奨を試みながら「次のトラブルが起きたときが潮時」と判断するまでの期間設計を行いました。問題社員を一度「和解」した後に使いにくくなる点も、長期的な対応設計の中で考慮しています。

レベル3:信頼の崩壊(コンプライアンス違反型)

横領、情報漏洩、SNS誹謗中傷など、会社への信頼・企業の信用を傷つける行為です。

特徴:即時対応が必要なことが多い。懲戒解雇の選択肢が浮上するが、手続きを誤ると無効になるリスクがある。

レベル4:業務規律の逸脱(規律違反型)

無断欠勤、遅刻常習、業務命令への不服従などです。本人が「辞めさせられたい(労基署への駆け込み目的)」で戦略的に動いているケースもあります。

特徴:書面による注意指導と改善機会の付与が必須。感情的に動くと会社側が不利になる。

手段の全体像——意思決定フロー(目的別・紛争リスク別)

目的のレベルが整理できたら、次に「どの手段が向くか」を検討します。以下の表は、手段ごとの特性を目的・紛争リスク・難易度・準備の観点で整理したものです。

手段 向くケース(目的) 紛争リスク 主な前提
口頭・書面指導 能力不足・規律違反の初期 低(必須準備段階) 記録が残せること
配置転換・職種変更 能力不足・職場環境破壊(直接接触を断つ) 低〜中 就業規則に根拠・業務上の必要性
人事評価反映(降格・減給) 成果不足・能力不足 中 評価制度の客観性・就業規則根拠
退職勧奨 能力不足・職場環境破壊で「合意退職」を目指す場合 中(強要は違法) 指導記録の積み上げ・弁護士同席推奨
懲戒処分(譴責〜懲戒解雇) 規律違反・コンプライアンス違反(段階的に) 中〜高(手続き厳格) 就業規則の懲戒事由・弁明機会の付与
普通解雇・能力不足解雇 能力不足で退職勧奨も拒否された場合 高(無効リスク大) 長期の指導記録・改善機会の付与・就業規則根拠
懲戒解雇 横領・情報漏洩・重大なコンプライアンス違反 高(最も厳格な要件) 証拠確保・弁明機会・就業規則の明記

意思決定の分岐——あなたはどこにいますか

STEP1:問題行動を記録しているか?

→ NO:まず書面による注意指導から(記録なしではどの手段も失敗します)

→ YES:STEP2へ

STEP2:就業規則に懲戒・解雇事由が明記されているか?

→ NO:就業規則整備が先決(就業規則なし状態での懲戒・解雇は無効リスク大)

→ YES:STEP3へ

STEP3:問題行動の性質は?

→ 能力不足・成果不足:退職勧奨→応じない場合は普通解雇を検討

→ ハラスメント・職場環境破壊:退職勧奨を先に(懲戒は証拠が揃ってから)

→ 横領・情報漏洩・重大違反:証拠確保→弁明機会→懲戒解雇を検討

→ 無断欠勤・音信不通:解雇予告通知から手続きを進める

目的のレベルを一緒に整理します

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各手段の入口——あなたのケースに近い記事を選んでください

各手段の詳細な進め方は、以下のスポーク記事で解説しています。自社の状況に近い記事から読み始めてください。

退職勧奨(合意退職を目指す場合)

指導を重ねたが改善しない社員に、話し合いで退職を促す方法です。強要は違法になるため、進め方に注意が必要です。
→ 退職勧奨の進め方|違法にならない手順と経営者が知るべき判断基準

能力不足・成果不足を理由とした解雇

解雇権濫用法理のもと、能力不足解雇は日本で最も無効になりやすい手段の一つです。進める場合の条件と手順を確認してください。
→ 能力不足社員の解雇|判断基準と対応手順

懲戒処分(譴責→減給→出勤停止→諭旨解雇→懲戒解雇)

規律違反・コンプライアンス違反に対して段階的に行使する手段です。就業規則の根拠と弁明機会の付与が必須です。
→ 懲戒処分の進め方|要件・手続き・各段階の注意点

メンタル不調社員への対応(休職・復職・退職)

精神疾患・うつ病を理由に欠勤・休職している社員への対応は、通常の問題社員対応とは異なるルールが適用されます。
→ メンタル不調社員の対応|休職・復職・退職の判断基準

解雇して逆に訴えられた場合(失敗パターン)

手続きを誤った解雇が無効とされ、会社が多額の支払いを命じられた実例を紹介します。失敗の共通点を事前に把握してください。
→ 解雇失敗4パターン|会社が負けた事例と対策

無断欠勤・音信不通の社員を解雇する手順

連絡が取れない社員への対応は、手順を踏まないと解雇無効になるリスクがあります。
→ 無断欠勤・音信不通の社員を解雇する正しい手順

社内不倫・不貞行為社員への懲戒処分

不倫を理由とした懲戒・解雇には判例上の厳しい制限があります。
→ 社内不倫・不貞行為社員への懲戒処分と解雇の可否

横領・着服社員への対応

横領・着服には懲戒解雇・損害賠償請求・刑事告訴の選択肢があります。証拠の確保が先決です。
→ 横領・着服した社員への損害賠償請求と刑事告訴の実務

不正行為・問題社員の解雇——証拠収集から懲戒手続きまで

横領・業務上の不正・規律違反を理由に解雇を進める場合、証拠収集の手順と懲戒手続きの適法性が判断を左右します。解雇無効リスクを回避するための実務フローを解説しています。
→ 不正行為をした問題社員の解雇方法|証拠収集・懲戒手続き・不当解雇リスクの回避

問題社員の対応を放置することで起きる4つのリスク

「今すぐ動かなくていい」と先送りすることで、問題は必ず大きくなります。ブライトが顧問先から相談を受けた事例では、放置から始まって取り返しのつかない事態に発展したケースが少なくありません。

リスク1:優良社員が先に辞める

問題社員が放置されている職場では、真面目に働いている社員が先に限界を迎えます。「なぜこの人だけ注意されないのか」「経営者は見て見ぬふりをしている」という不信感が積み重なり、退職につながります。優良人材の流出コストは問題社員対応コストの数倍になることがほとんどです。

リスク2:懲戒処分が難しくなる

問題社員に対して、これまでの問題を会社が見て見ぬふりをし、必要な指導や懲戒処分を行っていないと、いざ懲戒処分を行う際に裁判所が制限的に判断することがあります。「なぜ今まで何もしなかったのか」という事実が、会社側の対応を弱める材料になります。

リスク3:逆パワハラに発展する

最初は些細な問題発言だったとしても、それを放置していると逆パワハラに発展するケースがあります。部下が上司に暴言を吐いたり、業務命令を公然と無視したりという事態に陥ると、上司が精神疾患になるリスクも出てきます。

リスク4:紛争に発展する(残業代・解雇無効請求)

ブライトが実際に相談を受けた事例では、問題社員の放置が10名超の退職を招き、その社員が退職後に300万円超の残業代請求を提起し、他の退職社員も追随したという事例があります。就業規則で固定残業代を明記していなかったことが根本原因でした。書類整備後には「この状態でやられても出ない」という状態になりましたが、早期に顧問と整備できていれば防げていたケースです。

解雇権濫用法理——日本の解雇規制の核心

  • 労働契約法16条:解雇は「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当でない場合」は無効
  • 判例の蓄積:最高裁判所第二小法廷 昭和50年4月25日判決(昭和43年(オ)第499号/判例秘書 L03010057)が「解雇権濫用の法理」を最高裁として明示。現行の労働契約法16条に引き継がれた。
  • 段階的指導の記録が有無が決定的:書面注意→改善指示→最終警告の証跡がなければ、裁判所は解雇の合理性を認めにくい

根拠:労働契約法16条・最二小判昭50.4.25(昭和43年(オ)第499号/判例秘書 L03010057)

※プライバシー保護のため、複数の事例をもとに内容を一部変更して紹介しています。

放置リスクの前に、今すぐ相談できます

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法律上のポイント——解雇権濫用法理の全体像

問題社員対応のあらゆる手段の背景にあるのが「解雇権濫用法理」です。労働契約法16条は次のように規定しています。

労働契約法16条:解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

この条文が意味するのは、解雇には「客観的合理的理由」と「社会的相当性」の両方が必要だということです。どちらか一方でも欠ければ解雇は無効になります。

実務の裁判例分析でも、懲戒・解雇の有効性は「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」の二段構えで判断され、就業規則や労働協約で求められる弁明などの手続に違反したこと自体が、処分の効力を争う独立の攻撃防御の対象になると整理されています(佐々木宗啓ほか『類型別 労働関係訴訟の実務〔改訂版〕Ⅱ』(青林書院、2022年))。

解雇権濫用の主要判例

  • 1回の非違行為でも解雇が認められた事例:セクハラ・横領・情報漏洩等の重大な非違行為は、1回でも懲戒解雇が有効と判断されることがある。ただし事実確認・弁明機会の付与が前提。この弁明の機会は形式的に設ければ足りるものではなく、弁明の中で新たな説明が出た場合には、改めて事実関係を調査したうえで処分を判断すべきと解説されています(労務行政研究所『実務Q&Aシリーズ 懲戒処分・解雇』(労務行政、2017年))。
  • 能力不足解雇の厳しい基準:中途採用者であっても「即戦力として期待した業務能力が全く欠如」する場合は解雇が有効とされることがある。ただし新卒・一般職は指導・教育機会を与えない解雇は無効となる可能性が高い。
  • 無断欠勤に対する解雇:2週間以上の無断欠勤が続き、会社の連絡・督促にも応答しない場合に解雇が有効とされることがある。期間・連絡の有無・過去の勤務態度が判断要素。
  • 解雇無効時の金銭負担:解雇が無効と判断された場合、未払い賃金の遡及支払い義務が生じる。復職を望まない場合でも解決金として数百万円規模になるリスクがある。

根拠条文:労働契約法16条(解雇権濫用)・15条(懲戒権濫用)・労働基準法20条(解雇予告)・89条(就業規則)

問題社員対応こそ、顧問弁護士が最も力を発揮する場面です

「問題社員が出てから弁護士に相談した」という経営者の多くが、もっと早く相談すればよかったと話します。理由は明確で、問題社員対応は「記録の積み上げ→注意指導→退職勧奨→解雇」の一連の流れが法的有効性を左右するからです。

弁護士法人ブライトが顧問先130社以上から選ばれている理由の一つが、この「問題が起きる前から設計できる」点です。顧問契約があれば、就業規則の整備・雇用契約書のチェック・問題行動の記録設計を事前に整えられます。

スポット相談では「今の案件」しか対応できませんが、顧問なら「次に起きそうなリスク」を先に潰せます。大阪の中小企業経営者が顧問弁護士を検討するきっかけは、問題社員への対応が最も多いのも事実です。

再発防止——問題社員を生まない体制づくりと法務ドック

問題社員への個別対応を終えた後、多くの顧問先が気づくのは「同じことがまた起きるかもしれない」という不安です。再発防止のためには、以下の体制整備を優先してください。

  • 就業規則の整備:懲戒・解雇事由が現実の問題行動をカバーしているか確認する(形式的な整備では機能しない)
  • 採用時の書面設計:雇用契約書・秘密保持・競業避止の整備(役員候補採用では特に重要)
  • 問題行動の記録習慣:口頭注意だけでは後で使えない。書面と日付が命
  • 定期的な法務ドック:「問題が出てから相談」ではなく、就業規則・評価制度・運用の整合性を定期的に点検する

弁護士法人ブライトでは、「法務ドック」として年1〜2回の定期診断を顧問先に提供しています。問題社員が出た後の対応だけでなく、問題が起きにくい体制を作ることが真の目的です。大阪を拠点に全国対応しています。

解決実績——問題社員・労務トラブルを大きな争いにせず解決した実例

問題社員対応の結果は「証拠の初動」と「手段の選び方」で大きく変わります。以下は当事務所が使用者側で解決した労務分野の実例です。専門職を多く擁する企業からIT関連企業、不動産業まで、業種を問わず対応してきました。

自社のケースではどう進めるのが早期解決につながるのか。本記事の5つのステップと合わせて、初回の無料相談でご確認いただけます。

大阪の経営者が弁護士に相談すべきケース

全ての問題社員対応で弁護士が必要なわけではありません。ただし、以下のいずれかに該当する場合は、早めに弁護士に相談することを強くお勧めします。

  1. 相手方に弁護士がついた、または弁護士からの通知書が届いた
  2. 「解雇」を検討せざるを得ない状況になったとき
  3. 「退職勧奨」を進めることを検討しているとき
  4. 問題社員との間で合意書・退職合意書を作成する必要が生じたとき
  5. 問題社員からハラスメントや不当解雇を主張されたとき
  6. 金銭的な不正請求など、会社の財産や信用に重大な影響を及ぼす行為があったとき
  7. 証拠の集め方・記録の残し方に不安があるとき
  8. 就業規則の整備を検討しているとき

問題社員対応に限らず、契約書チェック・会社運営・債権回収など企業法務全般のご相談は企業法務トップからもご確認いただけます。

参考文献(当事務所蔵書)
  • 佐々木宗啓ほか『類型別 労働関係訴訟の実務〔改訂版〕Ⅱ』(青林書院、2022年)
  • 渡辺弘『労働関係訴訟〔改訂版〕Ⅱ(リーガル・プログレッシブ・シリーズ)』(青林書院、2021年)
  • 石嵜信憲ほか『労働契約解消の法律実務〔第3版〕』(中央経済社、2018年)
  • 労務行政研究所『実務Q&Aシリーズ 懲戒処分・解雇』(労務行政、2017年)

本記事は上記の専門書および本文中に引用した判例に基づき執筆しています。

よくある質問

Q. 問題社員への対応は、すぐに解雇できないのですか?

A. 即座の解雇は法的リスクが高く、無効とされるリスクが大きいです。まず「記録の積み上げ→注意指導→退職勧奨」という順序を踏むことが、法的に有効な対応への近道です。どの段階にいるかによって最善の手段が異なるため、早めに弁護士に相談することを推奨します。

Q. 退職勧奨と解雇は何が違うのですか?

A. 退職勧奨は会社が「退職を促し、当事者の同意を得て」雇用契約を終了させる方法です。解雇は会社が一方的に雇用契約を終了させる方法です。退職勧奨は合意退職なので後のトラブルになりにくい一方、強要は違法(退職強要)になります。解雇は労働契約法16条の厳格な要件を満たさないと無効になります。

Q. 証拠がない状態でも相談できますか?

A. 相談できます。むしろ、証拠がない状態で動いてしまうと手を誤るリスクがあります。「今から取れる証拠は何か」「どの順番で積み上げるか」という設計から一緒に考えます。問題行動の記録は、注意した日時・内容・相手の反応を書面に残すことから始まります。

Q. 顧問弁護士と問題社員対応を進めると何が違いますか?

A. 顧問弁護士がいると、問題が発生する前から就業規則・雇用契約書・記録設計を整えることができます。問題が起きたときに「相談できる人がいる」という事実が、経営者の判断スピードを上げます。スポット相談では「今の案件」しか見れませんが、顧問なら「次に起きそうなこと」を予防できます。

Q. 問題社員への対応は弁護士に相談すべきですか?自分で対応できますか?

A. 初期段階(問題行動の記録・口頭注意)は経営者自身で対応できます。ただし「退職勧奨・解雇・懲戒処分」の段階に進む場合は弁護士への相談を強くお勧めします。判例上の要件(最二小判昭52年1月31日(昭和49年(オ)第165号)等)を満たさないと、せっかく取った手段が無効とされるリスクがあります。大阪の弁護士法人ブライトでは電話・メールで相談を受け付けています。

Q. 問題社員への対応マニュアルを自社で作るには何から始めればいいですか?

A. 問題社員対応マニュアルは「就業規則に懲戒・解雇事由が明記されているか」の確認から始めます。次に「問題行動を記録する書式(注意書・警告書)」を整備します。弁護士法人ブライトでは顧問先の就業規則整備・記録書式の作成をサポートしています。労働基準法89条では就業規則への制裁規定の記載が義務付けられており、根拠のない懲戒処分は無効とされます。

問題社員対応の手段選択をご相談ください

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本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。
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