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顧問弁護士と問題社員対応|判断を迷わないための実践ガイド

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「この社員、このまま放っておいていいのだろうか。でも、下手に動いて逆に訴えられても困る。」

問題社員への対応は、多くの社長が「正解がわからないまま、時間だけが過ぎていく」と感じる場面のひとつです。注意しても改善しない、周囲への影響が広がっている、でも解雇したら争われるかもしれない——そんな板挟みの中で、「今すぐ動くのも怖いし、何もしないのも怖い」という状態が続いていないでしょうか。

この記事では、問題社員対応において社長の判断が狂いやすい理由と、顧問弁護士を使って「揉めない状態」をつくる具体的な方法をお伝えします。

企業の法律問題でお困りの経営者・法務担当者様へ

弁護士法人ブライトは、契約書・債権回収・労務トラブル・M&Aを伴走支援する「みんなの法務部」です。
弁護士歴平均15年以上のチームで、120社超の顧問先と日々向き合っています。

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問題社員対応で判断を誤りやすい、本当の理由

問題社員への対応を間違える会社の多くは、「知識がなかったから」ではありません。むしろ、「早めに手を打とうとしたのに、その手の打ち方が法的には逆効果だった」というケースがほとんどです。

たとえば、こんな判断が後で問題になります。

  • 「口頭で何度も注意した」→ 記録が残っていないため、裁判では「注意した事実」を証明できない
  • 「本人も納得して退職届を出した」→ 後から「辞めさせられた」と主張され、退職の任意性を争われる
  • 「懲戒解雇にした」→ 手続きの不備や就業規則の不整備を理由に、解雇無効と判断される
  • 「問題行動をメールで注意した」→ 感情的な表現が残り、ハラスメントだと逆主張される

判断のズレが生まれる最大の原因は、「労働法は会社よりも従業員を守る方向に設計されている」という前提を、多くの社長が体感レベルで理解していないことです。善意で動いても、手続きを踏まなければ法的には「不当」とみなされることがある。この構造を知らないと、「普通の対応」が致命的なミスになります。

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顧問弁護士が「問題前」にできること

揉めてから弁護士を使うのではなく、揉めないように弁護士を使う——これが顧問弁護士の本来の役割です。問題社員対応における「事前の整備」には、大きく3つのポイントがあります。

① 就業規則と懲戒規定の整備

解雇や懲戒処分は、就業規則に規定がなければ原則として行使できません。「うちにも就業規則はある」という会社でも、問題行動に対応できる懲戒事由が具体的に列挙されているか、手続きの流れが明記されているかは確認が必要です。顧問弁護士と定期的に就業規則を見直すことで、「いざというとき使える」状態を維持できます。

② 採用・雇用契約書の見直し

試用期間の設定方法、雇用形態の明確化、業務内容・勤務地・役職の記載——これらが曖昧だと、後々「雇用条件が違う」「試用期間中の解雇は無効だ」という主張の土台になります。入口の書類を整えておくことが、出口(退職・解雇)のトラブルを防ぎます。

③ 問題行動の記録ルールを社内に設ける

証拠は、紛争になってから急に作れるものではありません。日常業務の中で、問題行動をどう記録するかのルールを決めておくことが重要です。顧問弁護士に「こういう行動があったとき、どの形式で何を残せばいいか」を事前に確認しておくだけで、いざというときの証拠力が大きく変わります。

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問題が発生したときの対応フロー

問題社員への対応は、「感情」ではなく「順番」で動くことが重要です。以下のフローを参考にしてください。

STEP 1|事実の確認と記録(動く前に整理する)

まず、何が起きているかを客観的な事実として整理します。「問題社員だ」という印象ではなく、いつ・どこで・何をした・誰が見ていたという形で記録します。メール・チャット・始末書・勤怠記録なども証拠として保全してください。

STEP 2|顧問弁護士に相談して「対応の方針」を決める

「注意指導で改善を促す」「業務命令で配置転換する」「退職勧奨を行う」「懲戒処分を検討する」——対応の選択肢は複数あります。どの手段を、どの順番で使うかは、問題の性質・会社の規模・就業規則の内容によって異なります。この判断を一人で行うことが、判断ミスの原因になります。

STEP 3|注意指導は「書面」で残す

口頭での注意は、後から「言った・言わない」になります。注意指導書・業務改善指示書などの書面を交付し、本人のサインまたは受領確認を取っておくことが、後の手続きの土台になります。弁護士に文書の書き方を確認してもらうことで、感情的な表現や逆用されるリスクを排除できます。

STEP 4|改善されない場合の次の手を事前に決めておく

「注意しても改善しなかった場合、次はどうするか」を事前に弁護士と決めておくことが大切です。場当たり的な対応は、一貫性のなさを突かれる原因になります。注意→書面指導→改善期限の設定→懲戒処分という段階的なプロセスを踏むことで、最終手段(解雇)に至った場合にも、手続きの正当性を示せます。

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失敗事例の構造:なぜ相談が遅れたのか

実際の顧問先からの相談をもとに(事実関係は匿名加工済み)、問題社員対応が手遅れになるパターンを整理します。

【事例A】セクハラ問題で動けなかった会社

女性社員へのセクハラ問題が社内で発覚しました。「ハグしただけ」「本人も嫌がっていなかった」という加害側の主張があり、会社は「どこまでが問題行為なのか」を判断できないまま対応が止まりました。その間、被害社員の不満は高まり、第三者への相談・SNS投稿というリスクが生まれる状況になりました。

なぜ相談が遅れたのか:「セクハラかどうか」を会社が自己判断しようとしたため、判断に迷って動けなかった。顧問弁護士に「この行為は問題か」と確認する一手が最初にあれば、対応の方針は早期に固まっていました。

【事例B】問題行動を記録していなかった会社

数年にわたって遅刻・無断欠勤・指示無視を繰り返す社員を、ついに解雇しようとしたとき、記録として残っていたのはメールの一部だけでした。口頭での注意は10回以上行っていましたが、証拠がなく、「解雇は唐突だった」という主張に反論できない状況になりました。

なぜ証拠が残っていなかったのか:「記録するほどのことではない」「いつか辞めるだろう」という楽観が続き、記録のルール化を後回しにしていたから。証拠は、揉めてから急に作れるものではありません。

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うちの会社では、どう考えればいいか

問題社員対応に「正解の一手」はありません。ただ、「危ない判断をしないための安全装置」としての顧問弁護士の使い方は、どの会社でも共通しています。

以下のチェックリストで、自社の現状を確認してください。

  • 就業規則に、問題行動に対応できる懲戒規定が明記されているか
  • 問題行動を記録するルールが社内にあるか
  • 注意指導を書面で行う習慣があるか
  • 「このケースはどう対応すべきか」を気軽に相談できる弁護士がいるか
  • 退職勧奨・懲戒処分・解雇の手順の違いを説明できるか

ひとつでも「できていない」があれば、それが次のトラブルの入口になりえます。顧問弁護士との関係は、「揉めたときに使う保険」ではなく、「判断の質を上げる日常的なパートナー」として機能するときに最もコストパフォーマンスが高くなります。

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再発防止:問題社員を生まない組織のつくり方

問題社員対応のゴールは「その社員を排除すること」ではありません。同じ問題が繰り返されない組織をつくることです。解決後に取り組むべきことを整理します。

① ルールを「見直す」機会にする

今回の問題で明らかになった就業規則・雇用契約書の不備を、このタイミングで修正する。問題が起きたときこそ、ルール整備の最大の契機です。

② 管理職に「記録の文化」を根付かせる

「記録を残す」のは一部の管理職の仕事ではなく、組織としての習慣です。顧問弁護士と連携して、記録フォーマットや運用ルールを整備することで、次回以降の対応を格段に楽にできます。

③ 採用段階でのリスク低減

問題社員の多くは、採用・試用期間の段階で兆候があります。試用期間の法的な使い方、内定取り消しのリスク、採用時の書類整備——これらを顧問弁護士と定期的に確認しておくことが、入口でのリスク管理になります。

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よくある質問(Q&A)

Q1. 問題社員をすぐに解雇することはできますか?

A. 日本の労働法では、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が求められます。一度や二度の問題行動では、即時解雇が認められないケースがほとんどです。注意指導・業務改善指示・配置転換などのステップを経たうえで、改善が見られない場合に解雇が選択肢となります。まず顧問弁護士に現状を共有し、今どの段階にいるかを確認することが先決です。

Q2. 退職勧奨と解雇は何が違うのですか?

A. 退職勧奨は「会社が退職を勧める行為」であり、応じるかどうかは本人の自由意思です。一方、解雇は会社が一方的に雇用契約を終了させる行為で、より厳しい法的要件が課されます。退職勧奨は適切に行えば有効な手段ですが、強迫・執拗な繰り返しは「違法な退職強要」とみなされます。どこまでが適法な範囲かは、顧問弁護士と確認しながら進めることを強くお勧めします。

Q3. 顧問弁護士に相談するタイミングはいつが適切ですか?

A. 「問題が明確になってから」ではなく、「何かおかしいと感じた段階」が最適なタイミングです。早期相談のメリットは、記録の取り方・対応の順番を最初から正しく設計できること。問題が大きくなってから相談すると、すでに「取り返せない事実」が積み上がっていることがあります。顧問弁護士との関係は、相談すればするほど強くなります。

Q4. 顧問弁護士なしで問題社員対応をすることのリスクは?

A. 最大のリスクは、「善意でとった行動が法的に問題になる」ことです。注意の仕方・書面の書き方・退職勧奨の進め方・解雇の手続き——どれひとつとっても、知識なしに動くと後から「不当だった」と争われる余地を与えてしまいます。また、対応が長引くほど周囲の社員への影響も広がります。法務機能を外部に持つことで、判断の質と速度を同時に上げることができます。

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和氣良浩 弁護士

この記事の監修者

和氣 良浩(わけ よしひろ)

弁護士法人ブライト|代表弁護士/パートナー弁護士

弁護士歴20年(2006年登録)/大阪弁護士会/大阪大学法学部卒

専門:顧問弁護士・企業法務・M&A・経営権紛争・事業再生

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  • この記事を書いた人

笹野 皓平

弁護士法人ブライト パートナー弁護士: あなた自身や周りの方々がよりよい人生を歩んでいくために、また、公正な社会を実現するために、法の専門家としてサポートできることを日々嬉しく感じています。

本記事は、一般的な情報の提供を目的とするものであり、個別案件に関する法的助言を目的とするものではありません。また、情報の正確性、完全性及び適時性を法的に保証するものではありません。
なお、本記事の内容に関する個別の質問や意見などにつきましては、ご対応できかねます。ただし、当該記事の内容に関連して、当事務所へのご相談又はご依頼を具体的に検討されている場合には、この限りではありません。

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顧問弁護士担当弁護士

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    笹野 皓平

    2008年

    京都大学 法学部(Kyoto University Faculty of Law)卒業

    2010年

    司法試験合格・立命館法科大学院修了

    2011年

    弁護士登録(大阪)

    2019年

    大阪弁護士協同組合 総代

    法人向け・個人向けを問わず、幅広い業務に取り組んできました。その場しのぎの単なる助言だけで終わるのではなく、最終的な局面を見据えた「真の問題解決」を目指す姿勢を大切にしています。

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事務所概要

事務所名 弁護士法人 ブライト(大阪弁護士会所属)
開 業 平成21年(代表弁護士独立開業)
設 立 平成24年11月設立、平成27年1月に法人化
所在地 〒530-0057 大阪府大阪市北区曽根崎2丁目6番6号 コウヅキキャピタルウエスト12階
TEL 0120-931-501(受付時間9:00~18:00)
FAX 06-6366-8771
事業内容 法人向け(法律顧問・顧問サービス、経営権紛争、M&A・事業承継、私的整理・破産・民事再生等、契約交渉・契約書作成等、売掛金等の債権保全・回収、経営相談、訴訟等の裁判手続対応、従業員等に関する対応、IT関連のご相談、不動産を巡るトラブルなど)、個人向け(交通事故・労災事故を中心とした損害賠償請求事件、債務整理・破産・再生等、相続、離婚・財産分与等、財産管理等に関する対応、不動産の明渡し等を巡る問題など)

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